目を覚ますとなぜか目の前には可愛い顔が3つもあった。よかった!目を覚ましたんですね!最初に大きな声を上げたのは栄純君。そんな栄純君を春市くんが咎めて私に気分はどうかと尋ねられた。いや、こんな可愛い天使に囲まれる朝とか最高の気分ですけど・・・。いや、でも待って。これ一体どういう状況ですか?!混乱する私に春市くんはここがどこかわかりますか?と聞く。うん。亮さんというお方のおうちだ。その人、僕の兄貴なんですよ。思わず目を大きく見開いてぱちくりとさせる。え?お兄さん??嘘・・・・。嘘だ!!思わず大きな声でそう叫ぶと何が嘘なのかな?と怖いお兄さんが扉にもたれかかってこちらを見ていた。ひっ。と情けない声が出ると春市くんが兄貴。とお兄さんを咎める。な、なんていい子!!もう春市くん大好き!思わず抱きしめると人の弟になにやってんのかな。とまた亮さんが怖い顔をして迫ってくる。こ、この人ブラコンだ!!なんて失礼なことを内心思っていると思いっきりチョップされる。なんで?!と驚いていると今失礼なこと考えてそうだったから。なんて言われた。それって、勘じゃないですか。いや、当たってるけどそれだけで怒られるの?!春市くんのお兄さん・・・・。全然似てない。いや、見た目はすごく似てる。最初気づかないくらいに。でも、でもさすがに中身が違いすぎる。天使と悪魔って・・・・。どこで間違えたんだろうか。亮さんだって中身が春市くんみたいだったらきっと可愛かっただろうに。残念。もう一度チョップの構えをする亮さんを春市くんが慌てて止めに入る、降谷くんが壁になってくれる。うう。なんて優しい子達・・・!って、それ以前になんで3人がここに?と聞くと俺は用事あるからこいつらにお前の面倒見てもらおうと思って。え。いや、私帰ります。じゃ、春市とバカ二人。ちゃんとその大馬鹿見張ってなよ。そう言って本当に亮さんは家を出ていってしまった。そういうことなんで、大人しく寝てください。もなさん。にっこりと笑みを浮かべる春市くん。ああ、可愛い!けど、いつまでも寝てられない!!なんて言ってもお兄さんから私の見張りという使命を与えられている3人はそんなこと許してくれるはずもなく、上手く人数を利用して効率よく私の身の回りの世話をしてくれた。いや、ほんとにもう大丈夫なんだけどなぁ。たまにお粥がちゃいろだったり、思いっきり顔にお湯がかかったりもしたけれど。お迎えがくるって兄貴が言ってたから帰りは心配しなくていいですよ。なんて言われても怒っている御幸しか想像ができない。曖昧に笑うと春市くんはきょとんとした顔をしてどうかしましたか?と聞かれたが答えようがなかった。まさに自業自得というやつだからね。
そのあと沢村君と降谷くんが二人で私の世話を率先してやろうとしてくれるんだけど色々と身の危険を感じるようになったので最終的にはふたりが見張り。春市くんがお世話係となったのは言うまでもない。
夜になると家のインターホンが鳴りとうとう私の地獄タイムがやってきた。ああ、幸せだったなぁ。ほんとに幸せだった。どれだけドジでおバカでもとっても可愛くて、一生懸命で癒しだったよ。そんな天国とはおさらばだ。怖い怖い鬼の顔をしたあの人が迎えに来るだろう。ガクガクと震えている春市くんが元気よく迎えに行ってしまう。い、行かないで!!なんて言いたくても言えなかったよ。びくびくしながら待っていると部屋の扉が開いてまず最初に春市くん。それから亮さんが入ってくる。そして次に入ってきたのはまさかの倉持だった。驚いて固まっていると亮さんに間抜け顔。と言われたがそれどころじゃない。私喧嘩したって言いませんでしたっけ?!思わず大きな声になってしまい声がでかいと怒られる。いや、でも。なんて反論もできず黙り込む。な、何を話せばいいんだ。気まづくて目もまともに合わせられないっていうのに。そしたらいきなり倉持が悪かった!と大きな声で叫ぶように謝った。いや、謝ったのだろうか。なんか完全に開き直ってる感じだけど。
「しつこく聞いて悪かった!けど、悩んでることあるなら話せよ!そんくらい当たり前にする仲だろ?!」
違うか?!と逆ギレのように叫ばれ咄嗟にいえ、ちがいません。なんて返すとだろ!と言われて思わず笑ってしまう。なんだよ。と不機嫌そうな顔をされて。何でもない。と最初に言ってまたくすりと笑う。だからなんだよ。と言われて倉持。と倉持の名前を呼んだ。
「ごめん。ありがとう。これで仲直りにしてよ」
そう言って手を差し出せば仕方ねーな。なんて言って握り返してくれた。


手を出せば君とつながった

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