お前。ホントは御幸のこと好きなんだろ?久々に言われたことにかなり動揺した。思わず目を見開いてしまったことをすぐに後悔した。だって、倉持の目が期待に満ちていたから。そうだね。御幸のこと好きだよ。私がそう言うと倉持は驚いた顔をする。予想外の言い方だったんだろう。私だって馬鹿じゃないんだからわかるよ。ここで否定すれば、もっと悪い方に行くって。御幸はいつも私を助けてくれる。きつい言葉を言って私の背中を押してくれる。確かに言葉のきつさにたまに泣きたくなるけど、それは間違ってないって知ってるから。私は言葉がキツくて、不器用な人だけど。そんな御幸のことが人としてとても好きだよ。この言葉を聞くとまた倉持が目を少し大きく開いた。嘘だと言われた。嘘じゃない。と言い返すともう一度嘘だ。とはっきりと言われる。仕方なく息をついてじゃぁ別に倉持の中では私が御幸に対してどう思っていることになっててもいいよ。なんて言うと倉持は眉間にシワを寄せた。不器用なのはどっちだよ。誰が見たってわかんだろ。お前は御幸のこと男として好きなんだろ。だから、それでいいってば。はい、私は御幸のことが男として好きです。これでいいんでしょ?適当に早く話を終わらせようと嫌そうな言い方をしてしまうと倉持はなんだよそれ。と声を低くして怒る。素直に御幸が好きなら好きって認めろよ。だからそうだって言ってるじゃん。その言い方はチゲぇだろ!めんどくせぇからこの場だけ適当にってるだけだろ!いい加減認めやがれ!うるさいな。なんで倉持にそんなこと言われなきゃいけないわけ?第一、勝手に倉持が変な誤解してるだけじゃない。どこが誤解だよ。事実お前は好きだろ。御幸が。人として好きよ。そう言う言い方してる時点で好きなんじゃねぇかよ。男として。意識してそんな言い方してんじゃねぇか。倉持がそういうニュアンスで言うからわざとそう言ってるんじゃない。何勘違いしてるの。なんでお前そういう時臆病なんだよ。別に好きなら好きでいいじゃねぇか。今更逃げんなよ。いつものお前ならバカみたいにまっすぐぶつかってんだろ。いつもの馬鹿はどこいったんだよ。その言葉を聞いた瞬間自分の中でかけていたセーブが効かなくなったのがわかった
「勝手に私のこと語らないでよ!!別に私倉持が思ってるようなまっすぐな人間でも、何でもないし。むしろもっとずる賢い人間だし。逃げてばっかだし。それに、そういう倉持だってちゃんと自分と向き合ってないときあるじゃんか!自分ができないこと、勝手に人に押し付けないでよ!!!」
思わず大きな声でそう叫んだあと後悔した。勝手なことを言ってるのは私なのに、なんで、なんでこんなひどいこと言っちゃったんだ私。友達に嘘ついて、最低なことしてるのは私なのに。何やってるんだろ、ほんと。変わろうって、もっと強くなろうって、御幸にあって、決意したはずだったのに。また、ダメだった。ベッドから飛び降りてそのまま玄関まで走って外に飛び出した。また逃げ出してしまった。友達から、逃げ出した。まっすぐぶつかる?私が?何言ってんの。そんなこと一度だってしたことないよ。幼馴染の友達に御幸とかのこと隠して、倉持たちにも御幸との本当の関係隠して、逃げて逃げて逃げて・・・・ずっとそうやってきた。変わるって、何を変わろうとしてたの私?全然変わらないんだよ。人の真ん中にあるものは。結局いつまでも私はヘタレのままで、最低なんだ。自分で自分を悪く言えば悪く言うほど胸が痛くなり勝手に涙が溢れてきた。自分で言って自分で傷ついたら世話ないよ。でもね、でも、絶対に言えないんだよ。倉持が言ってたことは絶対にいっちゃいけないことなんだ。私は絶対に御幸を好きになっちゃいけない。絶対になったらダメだ。だって、不毛すぎるし・・・・。なにより、御幸が求めているのはそういうのじゃない。倉持も、そう。私に求めているのは普通であるということ。特別視しないということ。もし、そんな目で御幸を見てしまえば、それはとんでもない裏切りになる。



誰が先に裏切ったのでしょうか

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