もなが風邪をひいた。そう聞いたのは昨日の晩だ。いきなり御幸から電話がかかってきて要件がそれだった。あいつらしくないほど取り乱して。何事かと思えばただの風邪だ。呆れたのは当たり前の反応だろ。たかが風邪でそんなに騒がれるなんて、可哀想だな。もなも。一応見舞いくらい言ってやるか。昼間の休憩中にメールを送るとすぐに返事が返ってくる。どうやら病院からは出たみてぇだ。じゃぁ、御幸の家か。夕方行く。とだけメールを送り携帯をしまう。沢村のバカを連れて行ってやるか。いや、それは一瞬嬉しいだろうが体調的によくねぇな。元気になりゃいつだってあえんだし、いいか。自分で勝手に自己完結してそのまま練習を再開した
御幸の家に行けばすでにあいつは帰っていて俺を見て驚いた顔をしていた。だが大体予想がついたのか俺買い物行くからちょっとあいつのこと見ててくれ。といって御幸はそそくさ出て行った。御幸のいうことを聞くのは癪に障るがもともとの目的はそれなんだから仕方がない。寝室に顔を出すと御幸?と呼ばれ残念。俺だ。というともなはばっと勢いよく体を起こす。おい。と注意する声すらかき消してやっと来た!といって満面の笑みを向ける。こっちこっち。といって自分のいるベッドをバンバンと叩く。ガキか。と言いたかったが今回は黙っていた。なんだ。元気そうじゃねぇか。元気元気。だけど御幸がうるさくてさぁ。まぁ、今回は私が悪かったんだけど。でもさ、もうこんなに元気なのにあと3日もお仕事休まないといけないんだよ?!辛すぎるよ。遊びに行きゃいいじゃん。だから、御幸が家でおとなしくしてろって。家事ひとつやらせてくれないの。ほんと運動せずに寝て食べてなんてなんて生活してたら太るんだけど。ヒャッハ。確かにお前最近肉ついてきたな。また。ちょっと!気にしてること言わないでよ!で、今回は何しでかしたんだよ。ひでぇ熱ってだけでさすがにそんな休むことならねェだろ。俺がそう言うともなはバツの悪そうな顔をして御幸に帰ってこないでっていったの。なんて言いやがった。風邪移しちゃ悪いし、ほんとに酷い奴だったから。でも結局私家で倒れてたみたいでさ。それ御幸が見つけて、病院に連れていかれて。今。病院に御幸が連れて行ったのは知ってた。けどまさかそういう経緯があるとは思ってなかった。そりゃあいつがあんなに取り乱すわけだ。俺からしたらおもしれぇからいいけど、でも面倒でもある。病院で起きたら御幸がいて、すっごい怒ってて。何よりさ・・・・。あんな苦しそうな顔させちゃったんだ。そんな顔させたくなくて、こんな関係になったはずなのに。何やってるんだろ、私。こんな関係?友達ってことか?と聞くともなは曖昧に笑う。まだこいつらは俺に隠してることがあるのか。だってさ、おかしいじゃない。恋人でもない人が同居してるなんて。ただの、友達なのに。ああ、そういうことか。まぁ確かに変な話ではあるが、今更御幸がそのくらいしても変には思わない。あいつは変わりもんだからな。だけどひとつ引っかかることがある。あんな顔させたくないからこんな関係になったって・・・。それじゃまるで御幸に自分を捧げてみるてぇじゃね?俺の知る限りもなと御幸は対等な立場にいるはずだ。なのになんであんな言い方・・・。言い方を間違えただけって可能性だってある。けど、なんか今回は妙に引っかかる。第一、なんでもながそんなに御幸のことを気にする必要がある。好きじゃないって言ってんのに。いや待てよ。もしかしたらもなが嘘を付いてたとしたら。御幸のことが本当は好きだったとしたら。いつも俺に読ませなかったその心のなかの答えが、それだったとしたら。思わず唾液をゴクリと飲み込んだ
なぁ。お前。ホントは御幸のこと好きなんだろ?俺は思わずその言葉を直球で投げつけた。その瞬間もなの目が大きく見開かれる。その表情を見て淡い期待が確実になるのがわかた



見つけた。君を

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