夏の暑さが薄れ、落ち葉散る。さてさて、季節は秋になりました。紅葉がすごく綺麗。とか言えるような寒さじゃないです。ただいまあまりの寒さに布団にこもっています。大事な休日をこんなふうに過ごすなんてもったいないけどこの寒さ耐えれるわけがない。こんな寒いのに御幸は野球があるらしい。毎日トレーニング。ご苦労様です。試合がなくてもそうやって努力を怠らないところはほんとにかっこいいんだけどねぇ。ああ、ほんとに寒い。どうしようか。やっぱり今日は布団から出るのやめよう。なんかすっごい眠いし。そのままウトウトしてきてゆっくりと目を閉じた。
熱い。苦しい。もう一度目を覚ました時には体がおかしくなっていることに気づく。ああ、絶対にこれは風邪だ。まさかの体調不良だ。休日で良かった。でも本気でこれは結構やばいかも知れない。こんなにひどい風邪初めてだ。息をするのすら苦しいなんて。えっと、薬飲んで、いやその前になにか食べないと。それ以前に薬なんてあったっけ。となりで携帯がチカチカと光っているのが見える。画面には御幸の文字が浮かぶ。思わずその名前をつぶやいた。かすれた声で。いや、ダメだ。彼は今練習中なんだから。それに、風邪をうつすわけもいかないし。そうだ家でないと・・・・。でも体起こせないし・・・。とりあえず携帯を握ってメールで御幸にメッセージを飛ばした。ああ、ほんと。誰か来てよ。バカ
んっ。眩しい光を感じてゆっくりと目を開ける。まったく見覚えのない天井。そして窓。ここどこだろうか。ゆっくりと体を起こすとお腹になにか重いものがあった。なんだろうと持って視線をやると御幸がパイプ椅子に座って私にもたれかかって寝ていた。ああ、そうか。ここ病院なんだ。部屋の雰囲気でなんとなく察した。眠る御幸の頭をさらりと撫でる。なんで帰ってきたのよ、バカ。そういったもののホントはすごく嬉しかった。いつもいつも、御幸が私を助けてくれる。ほんと、ほかの誰でもない御幸が。馬鹿だな。なんで私なんかにこの人構ってるのよ。ああ、ほんとに馬鹿。でも、一番馬鹿なのは私かな。きっとそう。ありがとう。小さくそうつぶやくとふざけんなよ。と低い声が聞こえた。驚いて手を引くとその手を掴まれる。ふざけんなよ。再び言われた言葉にドキっとする。まさか、起きていたなんて。み、御幸・・・・?起きてたの?声をかけても御幸は返事ひとつしなかった。メールで帰ってくんなってさ。うん。いきなりなんなわけ。えっと。どうぜ風邪移るとか考えたんだろうけどよ。あ、あはは。意味分かんねぇし、電話しても出ねぇし。うん。何かあったんじゃ、って急いで帰ったら家の電気真っ暗でさ。うん。廊下で倒れてんの。お前が。うん。心臓止まるかと思った。ごめん。すんげぇひどい病気なのかって思った。うん。ごめん。もう、目を開けないんじゃないかって思った。ごめん。頼むから、ほんと頼むから・・・・。ああいう時くらい頼れよ。俺のこときにするんじゃなくて、苦しいって素直に言ってくれよ。ほんと、気が狂いそうだったんだぞ。もう一度ごめんなさい。と素直に謝った。こんなに心配かけて、ひどい友達だよ、私は。俺しばらく仕事行かない。え。なんて言ったらお前家出しそうだからしばらくお前が仕事行くな。休め。体治せ。わかった。家のこともしなくていいから。だからゆっくり寝て、おとなしくしててよ。じゃないと、ほんと次は俺どうなるかわかんねぇよ。もう一度ごめんなさい。と謝る。御幸の言うとおり、しばらくは休むよ。ちゃんと休養する。おとなしくしてるから。泣かないで。握られている手を握り返し、ぎゅっと上からかぶさるように抱きしめた。泣かないで。泣かないで。お願いだから、泣かないで。そんな顔しないで。なぁ、もな。俺、いつかお前が俺の前から消えちまいそうで怖いんだよ。頼むから、消えるな。俺にはお前が必要なんだ。わかってるよ。そんなことずっと前からわかってる。初めて、あなたに抱かれた時からずっと、しってる。だからね、ずっとずっと決めてたよ。絶対に私が最後まで見続けていようって。御幸が本当に笑えるようになるまでちゃんとそばにいるよ。友達として、ずっと。ずっと見てるよ。ちゃんと
ずっと見てるよ。御幸のこと。ずっとずっと。だから大丈夫だよ。この言葉に嘘偽りはなかった



傍にいて。いつまでも

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