もなさん!一番元気な栄純くんの声が響く。満面の笑みで手をブンブン降ってくる彼をみて私も自然と笑顔になる。ああ、今日は絶対に素敵な日になるよ。
約束通り4人でプールに遊びに来た。かなり大きなこのプールはウォータースライダーやらなんやらがたくさんある。これほど栄純くんに向いた遊び場はないだろう。うん。とりあえず男女で分かれて更衣室で着替えを済ませて外に出る。もちろん私はTシャツ着てるよ。当たり前じゃないか。水に入るときは脱ぐけど、それまでは着とくに決まってるじゃないか。こんな残念な体をさらすのはどうしようもなく恥ずかしい。なにせ一緒に来てる3人ともとてもいい体なのだから。スラっとしててしっかりと筋肉がついてて。もうほんとイケメン!3人ともかっこいい!更衣室からでて彼らを見つけてすぐにそんなことを言いながら3人を抱きしめた。もうほんとにかわいい!あわあわと慌てる春市くんに和んでいるとぐいっとTシャツをつままれて後ろに引っ張られる。まさか。と思って振り返ればやっぱりそこにはいつものふたりがいたのだった。
「御幸・・・・。それに倉持まで・・・」
「あん?反応薄いなもな。せっかく俺が来てやったんだぜ?ヒャッハ。喜べよ」
「私の幸福な時間を奪っといてよく言えるよ。ほんとに一回殴らせて」
私プールに行くとしか言ってないのに。なんでここってバレたんだ。じっと御幸を睨むと素直な沢村に感謝だな。なんていう。どうせ栄純君をはめただけのくせに。くそう。そんなに栄純君たちを独り占めされるのが嫌いか。ほんとに栄純君大好きだよね。御幸って。むすっとした顔のまま私がそう言うと栄純君は気色悪いこと言わないでください!とほんとに嫌そうな顔をする。御幸も御幸で呆れた顔をしていた。でも残念。今日は春ちゃんも栄ちゃんも降ちゃんも私のもんだもん!そう言って3人を精一杯腕を伸ばして抱きしめる。取られまいと。もなそれセクハラ。まさかの御幸にそんなことを言われて本気で凹む。ああ、まさか変態にセクハラなんて言われるなんて・・・。誰が想像しただろうか。
とりあえず脱げ。といって御幸に来ていたTシャツをめくり上げられる。あんたの方がセクハラでしょ!と反抗するけどグイグイ引っ張られてきている意味もなくなってしまう。仕方なく脱ぐと御幸は満足そうに笑って人のTシャツを持ってじゃぁ荷物置く場所決めるか。といって歩き出す。ちょ、私のTシャツ返せ!
いきなり後ろに引っ張られて厚い胸板に収まる。もなさん今日は俺たちのです。そう。まさかの降谷くんが私を今抱きしめているのだ。意外とたくましい体になんだか思わず男を意識してしまい赤面してしまう。それが余計に恥ずかしくて降谷くんの胸板に顔を押し付けて隠す。御幸先輩はいつも独占してるじゃないですか。今日は遠慮してください。つめてぇな降谷、俺はもなと出かけるときしょっちゅうお前らのこと誘ってんじゃん。でも隣をいつも御幸先輩がキープしてます。ずるいです。別にそんなつもりねーけど。バチバチと上で火花が飛び合う。ああ、御幸これで独占欲強いからなぁ。かなり。なんとなく彼の中では私は自分のもの。というあれがあるのだろう。だが残念。今日は先に3人と約束をしていたのだ。絶対にこの位置は譲らん!!ぎゅっと降谷くんに抱きつくともな。と低い声で名前を呼ばれる。思わずビクッと肩をはね上げた。怖!!怖!!ほんとに怖!!ピシッと固まると降谷くんがぎゅっと優しく抱きしめてくれる。可哀想。怖がってますよ。な、なんていい子なんだ・・・!こんな優しくて気遣いのできる子そうはいない。何を思ったのか降谷くんは私をいきなり俵を担ぐように担ぎ上げる。え?と驚いているとすぐに失礼します。といって走り出す。こらこらこら!プールでは走っちゃいけません!慌てて注意すると今度はいきなり水の中に飛び込んだ。こらこらこら!こういうプールで飛び込みはダメです!なんて言っても聞く耳持たずそのまま私を今度は背中に乗せて泳ぎだす。ま、まさかこれは・・・・!私は振り返ってプールサイドで未だに呆気に取られている御幸たちに向かって大きな声で叫んだ
「御幸が鬼ねー!10秒数えたらスタート!」
私の言葉を聞くとみんながきょとんとした顔をする。だけどすぐに悪乗りが大好きな倉持がヒャッハ。さっさと逃げるが勝ち。といって私たちとは別の方向に逃げ出す。逃げるのは水の中だけ!陸に出たら鬼交替。なんて勝手にルールを作ってそそくさ先に逃げる。ちなみにそのルールは安全面を考えてのことだ。先程も言ったかプールサイドで走ってはいけないのだから。頑張ろうね降谷くん!背中でガッツポーズをすると降谷くんは少し嬉しそうな顔をしてこくりと頷いた


あの男から逃げ出す

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