今度の休みプール行きませんか?そんなお誘いをかけてきたのは春市くんだった。彼からこういった遊びのお誘いは少ない。だから考えもせずに了承してしまった。そのあと気づく。それには色々と問題があることに。
家に帰ってきた御幸は私を見て何やってんだと呆れた顔をする。私は完全に八つ当たりで泳ぎの練習!と大きな声で言い返す。は?と言われてまたむっとなる。春ちゃんとプール行くからその練習。御幸の家の大きなお風呂なら練習できるんじゃないか。そう思って始めたこの練習。もうすでに挫折しかけている。問題その一。私は泳ぐのが苦手だ。いや、泳げないことはない。けど苦手だ。一番ダメなのは背泳ぎだ。なぜなら、沈んでいくからだ。普通あれ空気吸えるとか言うじゃん?普通に吸えないし!沈んでるから顔!表向きのせいで鼻から空気抜けるし最悪だよ!一番ましなのが平泳ぎ。というかそれしかまともに泳げないのが現実である。
第二の問題。太っててお肉がやばいのです。どうしよう。マジでどうしよう。というくらいにお肉がついているわけですよ。二の腕気持ちよすぎて泣ける。お腹も出てるし。でもこの歳でパーカーとか来ていいものだろうか。一応20代。パレオがあろうともまだビキニで居るべき年齢らしい。でもう辛い。こんなダメな体をあの天使たちの前に晒すことが!!
最後の問題として今現在水着を持っていないのである。これは早急に用意しなければならない。だが春一くんとの約束した日はそう遠くない日だ。それまでの私の休日は二日きり。だがこれにはすでに予定を入れてしまっているのである。どうしようか。本当にどうしようか。うんうん悩んでいると御幸がいついくの?と聞いてくるので秘密。と返す。えー。と言われようとも教えるわけがない。だってこの人ついてきそうだもん。これは、私が、春市くんを含め、天使たちから誘われたのだ。久々に天使3人を堪能しようというのだ。その邪魔はさせてなるものか。俺だってもなの水着姿見たことないのに。そりゃそうだよ。私持ってないし。は?それでプールに何しに行くんだよ。今から買いに行くの!いつ?その日を考えてるの!休日予定入ってるし。じゃ、俺買ってきてやろうか?やだ。絶対際どいのかってくる。いいじゃん。俺そういうの好きよん。あんたの趣味聞いてない!それに、そういうのは綺麗なお姉様が着るものであって私が着るようなものじゃないの!強く批判すると御幸はつまらなさそうな顔をする。やっぱりこの人本気だったのか・・・。
じゃ、普通にお前似合いそうなの選んでくるから。いや、別に自分で選ぶって。いいじゃん。俺は連れてってくれねーんだし。それなら俺に選ばせてくれても。いやいや、意味わかんない。俺が選びたいのー。いいじゃんか。なんていきなり駄々をごね出す。いや、ホント思うけどよくそういうことできるね。女の子の水着を買うって。恥ずかしくないのかこの人・・・。
はいはいわかった。御幸に任せます。さすがもなちゃん。ちゃんと可愛いの選んでくるからな。お金は払うからね。ちゃんとかかったお金いってよ。無駄に高いの買わないで。はいはい。ほんとにわかってるのかなぁ、この人。そう思いながらも期限よさげに御幸が笑っていればなとなく私も気分も良くなる。ついつい釣られて私も笑う。そしたら御幸にちゅっと軽いキスをされた。ほんと好きだな。この人。されるがまま黙っていると今度は唇が首元にやって来る。咄嗟に引き離して御幸の口を両手で押さえた
「キスマークは無し」
「あらら。バレてたんだ」
悪びれもなく残念。なんていうこの人には本当にため息しか出ない。プール行くって言ってんのに、そんなの付けられてたまるか。キスマークを蚊に刺されたってごまかせるのは漫画の中だけだっての。
「じゃぁ、その代わりもなからプール行く日までキスして。じゃないと付ける。キスマーク」
ひどい脅し文句だなぁ。呆れを通り越して愛おしい。なんて思う私もほんとどうかしてるよね。
「はいはい。一日一回だけですよ」
ちゅっと優しいキスをした



リップ音をならせて

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