まさかのあの勝負に勝ったのは純さんだった。予想外のことに全員が驚いていた。っしゃああ!と叫ぶ純さんもこれが何をかけていたかを思い出すと複雑そうな顔をする。わたしもあんまり話したことがないので人見知りモードになってしまう。おい、何しおらしくなってんだよ。倉持にバシバシ背中を叩かれる。これでも私人見知りだってば!そう言い返すとけらけらと笑って似合わねぇと言われる。こ、こいつ!純。とりあえず一緒に回っておいでよ。亮さんに手を捕まれ勝手に純さんと手を繋がされ背中を押される。ヒャッハ。よかったなもな。なんて茶化してくる倉持をギロっと睨みつける。倉持がこの前亮さん絶対女装とか似合うって言ってました!と大きな声で告げ口して逃げるかのように純さんの手を引いて走り出す。後ろから倉持がテメェ!と怒っている声が聞こえたがあたりまえのこと無視だ。
ちょっと走ったくらいでゼーハー言っている私とは違って純さんの表情に変化は一切なかった。やっぱりこの人たち本当にすごいなぁ。なんて改めて思う。そういえばこうやって話すのは初めてなんだしもう一度自己紹介でもするべきだろうか。どうしようか悩んでいると純さんがじっと何かを見つめる。その先に何があるのだろうとわたしもそちらを見るとそこには可愛らしい林檎飴があった。とりあえずその前に行って赤いりんごといちごを一つずつ握ってお金を払って純さんの元に戻る。どっちがいいですか?そう聞くと驚いた顔をしてりんごを指さしたのでりんごを渡す。そういえばあっちにかき氷屋さんで自分の好きなように蜜とか練乳とか缶詰とか盛れるところあったんですよ。行ってみませんか?そう誘いを掛けるとしゃぁねぇな。といって今度は純さんが私の手を引いて歩き出す。これはちょっと進展したといってもいいだろうか。
それから少しずつお互いのことを話した。たまに純さんから御幸のことについて聞かれたりしたのも答えた。そのうちに純さんが少女漫画が好きだということを知り、私もです!といってお互いの好きな作品を語り合う。あの作品は泣けますよね!ああ、泣けるな!あんな爽やか男子振ってあの意地悪メガネの元に戻るなんて美波馬鹿ですよ!だよなぁ!俺だったら断然浩二だ。ですよね!寿なんて次いつ浮気するかわからないんですよ。まったくだ。なんであんなチャラ男の方に行っちまうんだよ。確かにたまに優しいけど、けど、けどそんなので選んでいいの?!ってなります。分かるぞその気持ち
すっかりいつのまにか打ち解けてわいわいと騒ぎ出す。それからしばらくちょっと不思議な食べ物巡りをしたり、かわいいものを探してみたり。ひよこすくいを真剣に頑張ってみたり。なんとか一匹をゲットしたところで携帯のバイブが鳴る。純さんのが。どうぞ。というと悪いな。といって純さんは電話に出る。ああ、哲。と最初の言葉を聞いて相手が誰だか直ぐにわかった。電話を切ると純さんは私の手を掴んであっちでみんな待ってるって。と言われてそういえばみんなで来たんだっけ。と思い出す。とりあえずひよこちゃんが潰されてしまわないように守りながら歩き出す。しばらく歩いた先には青道のみんながいた。ああ、元青道だね。もなさん!と一番最初に駆け寄ってきてくれたのは降谷くんだった。そして私の腕の中にいるひよこに気づくと目を輝かせる。可愛いでしょ?というとこくりとうなずかれる。でしょでしょ。なんて調子に乗っていると後ろから思いっきり誰かにチョップされた。イタタ。と言いながら振り返れば不機嫌そうな顔をした御幸がいる。何回電話かけたと思ってんだ。なんて言葉からくどくどと説教が始まる。だけど私の手の中にあるひよこを見ると目を点にして私を見つめた。まさか、飼うきか?降谷くんのようにこくりと気持ち可愛らしく頷くとアホか!と怒られた。むむ。流石に私にあの真似はできないか。でもひよこもらってきちゃったし名前も付けちゃったよ。ボンボンって。だっさ!ヒャハハと大きな声を上げて笑う倉持を無視してじっと御幸を見つめても全然首を縦に振ってはくれない。どうしようボンボン。ひよこに悲しげに話しかけてみるとそれなら俺が預かっといてやるよ。と純さんが自ら言い出してくれた。純さん!私が目を潤ましてそう呼べば純さんはニカっと野球部らしいかっこいい笑みを見せた



世界一君はかっこいい

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