家に久々に帰るともなが目を赤く晴らしていた。どうした。と聞いても大丈夫。としか言わない。なわけねぇだろ、そんな顔して。何があったのか少しくらい話せばいいじゃねぇか。なのにもなはかたくなに話そうとはしなかった。きっとあいつにとって人に話してはいけないような出来事なんだろう。たとえば、告白、とかな。もなは人の気持ちをペラペラと他人に喋るような奴じゃない。まぁ、噂話とかになると別だけどな。もしかして誰かに告白して振られたのか?そしたら泣いていることも納得できる。だけどそんなことならたぶん俺にくらい言うだろう。じゃぁ、告白された方か?それでなく必要がどこにある。いや、もしかしたら身近なやつからの告白だとしたら、泣くかも知れない。こいつなら。勝手に感情移入して。あ、お醤油切らしちゃってる。普段ないようなミス。急いで買ってくる。と出ていきそうなもなを引き止めて車で行きゃいいだろ。といって車のカギを握る。でも御幸は疲れが。なんて言おうとする口を自分の手で塞ぐ。そういう気遣い、なしだって言っただろ。少しキツめの口調で言えばもなはしゅんとなってごめんなさい。と謝る。やべ、今こんな言い方は良くなかった。とりあえずもなの手を握って駐車場まで行って車に乗りこ込む。そのまま車を動かしたがもなは黙ったままだった。はぁ。どうすっかな。こういう時、どうしたらこいつの背中を押せるんだろうな。俺はそういうのがはっきり言って苦手だ。正直なことしか言えないし、励ませるのは投手くらいだ。そのことで一度高校の時もチームでもめたっけ。スーパーにつくとすぐもどるから。といってもなだけ出ていってしまう。止める暇もなく。何やってんだよ俺。自分で自分に呆れているとこんこんと窓を叩かれる。なんだと窓の外を見ると予想していなかった奴がそこにはいた。
「こんばんは。やっぱりあんたの車だった」
「後輩君、か。まさかお前にこんなところで会うとは思ってなかったよ」
「俺も。けど、まぁちょっと話もあったし丁度いいや」
そう言うとえっと・・・・。後輩くんだっけ。もながそう呼んでるから名前なんて知らねぇ。まぁ、そいつは車にもたれかかって告白したよ。と告げる。その言葉を聞いてもなの変化の理由がわかった。それなら合点がいく。どうだったと思います?と試すように聞かれて無理だろうな。とはっきり答えるとそんな即答されると傷つくんだけど。と文句を言われた。俺素直なんだ。というとそれであの人傷つけたら許しませんよ。と少し低い声で言われる。あの人、が誰かなんてわかってる。お前振られたんじゃねぇの。だからって諦めなきゃいけない理由にならない。しつこい奴だな。あんただってそうだろ。むしろ俺よりタチが悪いし。あの人のこと上手く丸め込んで同居までさせてるんだからな。そこは否定しねーわ。否定してたらキレる。はっはっは。・・・。遊びじゃないんだよな?そうだったら同居までしねぇよ。俺そこまでいいやつじゃねぇし。ならいいさ。先輩が振り向くかどうかは別として。あいつは俺以外に落ちねーよ。その油断があとで泣く事になる。・・・。お前も性格悪いだろ?今更何言ってんだ。性格悪くない奴がこんなこと言いに来るかよ。正論だな。先輩、泣いてただろ。帰ってからどうせ。俺は家にいなかったから知らねぇ。けど、目は貼れてたな。お前肝心な時にいないんだな。あいつがそういうとき選ぶんだよ。
そう、もなはいつも俺のいないところで泣くときはなく。今まで涙なんて自分が泣かせたもの以外見たことがない。
振られたとき、もなさんが自分がが後悔するくらいいい男になれって。俺が一番輝く星だぜなんて馬鹿な言えるくらいにって最後に言われたんだ。その言葉を聞いてそんなことを言っているもなを想像するとついつい笑ってしまう。ありえる。あいつならいいそうだ。それでさ、なんかそれまで諦める気持ちだったのにやっぱ好きだって思って。諦めるの無理だってわかった。あのバカ。いらねぇことして・・・。あんたからしたら迷惑な話だろうけど、俺は救われた気持ちだったよ。だから、あの人には幸せになって欲しい。は?見守る愛もあるってことさ。隙あれば取りに行くけどな。それだけ言いたかったんだ。じゃ。といってそのままそいつは勝手に一人去っていく。入れ違うようにもなが戻ってくると俺の顔を見てどうしたの?と不思議そうな顔をする。そんなもなの頭をわしゃわしゃとなでて車のエンジンをかける。まったく、面倒なライバル作りやがって



ライバル宣言

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