バシっと思いっきりほほにビンタされる。これはあまりない体験だ。あんたなんかより私のほうが!なんて叫ばれる。その言葉を聞いてなんとなくだがこの状況の説明がついた。たぶん、彼の恋人かなにかなんだと思う。いや、一方的な思い込みの人間かも知れない。さてさて、どうしようか。なんて思っていると待ち合わせしていた男がやってきた。そして状況を察して大きくため息をついて私の方にやって来る。おいおい、彼女さんいいのか。と私が聞くと彼女じゃねぇよ。とはっきり言われる。なるほど、やはり後者の人間だったらしい。あんたも大変だねぇ。なんて言うとお前なれてんな。と感心された。自慢じゃないけどもうひとりのイケメン男子と意外と付き合い長いのでたま〜に、こういう体験をしたからね。なんていうとヒャッハ。マジかよ。と彼の独特的な笑い方で爆笑し始めた。いや、笑うのは勝手だけど目の前の相手どうするんだよ。目でちらりと私をビンタした女の子を見ると目には大量の涙を溜めている。なんて可愛らしいものじゃなかった。めちゃくちゃ睨んでいた。怖い。女の本性ここにあり、って感じだ。綺麗系なお姉様。倉持っていつもこういう女の人ばっかりだね。なんて言うとそうか?と首を傾げられる。本人に自覚がないようだ。なんてのんきに会話をしているが未だに怖い顔をした女の人はいる。さてさて、どうしますか?今日の飲みはやめとく?と聞くとその必要ねーだろ。行くぞ。といって倉持は歩き出す。ああ、絶対これあの女の人怒り始めるよ。案の定女の人はその場で発狂し、言葉にならないことをいろいろ言い出した。流石にこれを放置するわけにはいかないだろう。どうにかしろという意味で倉持。と呼び止めると倉持は大きくため息をついて女の人に向かい合う。付き合うなんて一言も言ってねぇし、お前が勝手に彼女づらしてただけだろ。なんて冷静な言葉をぶつける。それにお前が欲しかったのは俺じゃなくて、プロ野球選手と付き合ってるっていうステータスだろ?ならもう十分味わってんだろ。お前がどこで勝手に俺と付き合ってるなんてホラをふこうが俺は気にしねぇけど私生活まで乱すってんなら容赦しねぇぞ。最後はあの怖い顔で凄むと女の人も泣きながら去っていった。やっと解決したか。おつかれさん。と声をかけると倉持はおお。といって私の前にやって来る。そして私の少し赤くなった頬を見て悪かったな。と謝った。らしくないね。なんて茶化すと茶化すな。と怒られる。どうやら本気で倉持は気にしているようだ。別にこんなの明日には腫れだって引くよ。と言っても倉持はなかなか納得しない。これでかなり真面目な人だからなぁ。顔に似合わないけど。なんて考えると笑いがこみ上げてくすくすと笑ってしまう。じゃぁ、今日の飲みは倉持のおごりで許す。なんて言ってみればその程度別にいいぞ。なんて即答でちょっとつまらない。どうせなら倉持の恋バナ聞かせてよ。なんて言うと嫌そうな顔をされる。なんだ。やっぱりちゃんと好きになったことあるんだ。なんていえばそういうお前は・・・ねぇんだよな。と勝手に納得された。失礼なやつだ。事実だけど失礼なやつだ。とりあえずご飯行こう。と言って歩き出す。適当なお店に入って適当に注文していつものようなくだらない話。
そういえば結局さっきのお姉さん知り合いだったの?と聞けば数度一緒に飲んだことがあるらしい。わかりやすくアピールしてくるから一度だけ遊んだことがあるらしいがちゃんと遊びだとはっきり告げてのことらしい。まぁ、それからいきなり彼女ヅラが始まったところを見ると人の話を聞かないタイプなんだなぁ。という感想だ。お前こそ、その頬大丈夫っつっても御幸に見つかったら心配されんだろ。と言われ確かに。と納得する。じゃぁ倉持んとこ泊めてというとしぶしぶだが了承を貰う。ちゃんと御幸には今日は友達のところにとまります。とすぐさま連絡を送った。まぁ、どうせ今日は帰ってこないんだけどね。家に一人ってやっぱりさみしいもん。いつものように御幸と進展はあったかという質問には変わらずだよ。と返した



発狂するのは愛じゃない

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