悪い。今日も帰れねぇわ。電話でそう言われてももうすでにご飯できちゃってるんですが。大きくため息をつきそうになるのを我慢してわかった。と短く返す。それ以上何を言えるだろうか。別にこの人がわざとこうしむけたわけじゃない。仕事なんだから仕方ない。例えそれが合コンというものだとしてもね。人付き合いだものね。どうぞ楽しんでね。そう言って電話を切ると作ってしまったご飯を見つめてどうしようかと悩む。人を呼ぶにしてもここ御幸の家だし、同居のことだれにも言ってないし。倉持とかにも。ほかの誰を呼べというのだろうか。というかこんな高そうなマンションに人呼べるわけないっての。近所付き合いあるような場所でもないし。どうしようかとうだうだ悩んでいるのも仕方がないので早々にラップをかけて外に出た。家着のままうろちょろしているとあれ?先輩?とどこからか声がする。後ろ後ろ。と言われて振り返るとまさかの後輩君がいた。あれ??なんで??驚く私と同じくらい驚く後輩君。ここ、駅ですよ。そう言われて初めて自分が駅まで歩いてきていることに気づいた。何やってるんだ私・・・・。自分でも呆れてしまいそうだ。飯でも買いに来たんですか。と聞かれて首を横にふってタダの散歩。と返すと呆れた顔をされた。多分無自覚でここに歩きついた事に気づかれたんだと思う。送りますよ。と言われたが全力で断った。あんな場所に連れていけるわけないじゃないか!家は人に教えないって決めてるので!なんて意味不明な言い訳をすると後輩君は完全に呆れた顔をする。そして私の手を無理やり掴んでこっちから来ましたよね。と元来た道を引き返そうとする。いや、ほんとにダメだから!必死でその場にしゃがみこんで後輩君の足を止めようとするが意外と彼は力が強い。スイスイと気にならないかのように歩き続ける。分かれ道に出ればどっちですか。と聞かれるが私が何も答えずにいるとしびれを切らし、適当に歩き出す。それが悲しいことに帰り道だった。なんて運のいい!!つか、今日晩飯作るからってさっさと帰ったんじゃなかったんすか。少し機嫌の悪そうな顔をしてこちらをじっと見てくる。いやまぁ、私だってそのつもりだったんだけどね。これじゃ嘘ついたみたいだよね。友達が急遽帰れなくなってご飯も作り終わって暇になったから出てきたんだ。と嘘偽りなく言えばこんな夜に出歩くなんて無用心だと怒られた。なんで年下に怒られてるんだ私・・・。後輩君はどうしてここに?と聞くと合コンです。と即答される。おお、若いねぇ。と率直な感想を言うとジト目で見られた。な、なんですか?別に。何でもありませんよ。ぶすっと明らかにすねてしまった彼をどうやってなだめようか。というか何拗ねてるんだこの子。やっぱり男の子ってよくわからないな・・・・。みんな沢村君みたいに単純ならいいのに。先輩、今好きな人いないんですか。また唐突な質問だな。最近こういう話が増えた気もする。特に彼との。ああ、そうか。彼も仲間を探しているのかもしれない。片思い仲間というやつを。残念ながらいませんよ。と言うとへー。と短く返される。仲のいい男は?という質問にはいっぱい。と返す。次の瞬間なぜかまたチョップを食らった。後輩君、上下関係というものをご存知ですか。
それからグダグダと話していると家の前までやってきてしまう。先輩こういう高そうなところ住んでみたいですか。と聞かれたのがちょうど今住んでいる御幸の家だとは言えない。そ、そうだね。どうだろうね。曖昧に返す私に何も知らない後輩君は不思議そうな顔をする。どうしようか。このまま帰るか。でもここが家とか言えないし。友達どんなやつだよってなるし。うだうだと悩んでいるとぐいっと後ろに肩を引っ張られる。こける!と思ったときにはしっかりと背中が支えられていた。目の前には驚いた顔をして後輩君。お前、何してんの。耳元では数日ぶりの懐かしい声が低く響く。驚いて顔を上げると御幸の顔が見える。その顔は結構機嫌が悪そうだった。誰だよお前。声をハモらせる後輩君と御幸。その間にいる状況が掴めない私。なにこれ?デジャブ?!
「何こんな夜中に男に連れ回されてるんだよ。家まで連れてきて何するつもりだったんだ」
「なにいってんですかあんた。てか先輩放してください。通報しますよ」
何この二人一気に険悪ムードになってるの!?慌てて御幸の手を解いて後輩君に御幸の説明をしようとすると逃げ出せないように腰を掴まれる。ちょっと。黙ってろ。文句を言うと低い声で怒られる。なんでそんな機嫌悪いのさ。じゃなくて。彼、私の仕事の後輩!大きな声でそう叫ぶと御幸はは?と間抜けな声を出す。そんで、この人が同居してる友達!私が後輩君に向かってそう叫ぶと後輩君も間抜けな顔をしてへ?と驚いた顔をする。女の人じゃなかったんですか。と言われたが一度もそんなこと言ってない。と言うと確かに。と案外簡単に納得してもらえた。御幸は未だにちょっと不機嫌そうな顔をして後輩君を見つめる。後輩君いじめたら怒るよ。というとますます不機嫌な顔になった。とりあえずさっさとこの場を退散しよう。送ってくれてありがとう。と後輩君にお礼を言って御幸の手を引いて急いでマンションに入る。じゃぁ、おやすみ!最後にそう叫んでフロントの奥に入った。




オスとオスは相性最悪

prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -