野球のシーズンがやってきて、御幸は家にいないことが増えた。よって私の外食も増えた。もちろんちゃんと御幸の帰ってくる日はちゃんと帰るけどそうでない日くらい少しハメを外したっていいじゃないか。主婦じゃあるまいし。そんなことを考えながら今日は幼馴染の3人の友達と飲みに行っていた。そういえば子供の頃誰が最後まで飲めるか勝負しようとか言ってたよね。二十歳超えたら。なんて懐かしいことを思い出すとそういえばそんなことをしたねぇ。と懐かしげにひとりの子がつぶやいた。そういえば確かあの時ってもなが勝ち残ったんだっけ。ああ、フラフラになりながら必死で飲んで無理やり勝ったよね。あそこまでやるのは馬鹿だよ。懐かしい思い出からなんでそんな話になるかな。え?そういう話じゃなかったっけ?ちがーう!年取ったねぇ、ってこと!なんでここに来ても私がいじられなければならないのだ。もういじられるのは十分だ。たまにはのんびりと過ごしたっていいじゃないか。そういえばもな彼氏できたの?またその話題か。大きくため息をついてなわけないよ。と言うとだよね。と言われた。どういう意味だとにらめば考え方が古臭い。と言われる。今時結婚まで考えてのお付き合いとかありえないでしょ。まぁ、少ないよね。そうだね。なんて言われたが考えても見て欲しい。だったらなんで付き合うの?好きだから一緒にいるんじゃないの?結婚するんじゃないの?なんで好きでもない人と付き合うの?疲れるじゃんかそういうの。というか無駄な時間じゃん。それが古いって言うんだよ。そんなんじゃ一生彼氏できないよ。お付き合いってのは要はお試し期間。化粧品でもお試し期間で相性の悪いものは辞めるじゃない。そういうことよ。言われて見ればわかるけれど、やっぱりそれとこれは別だ。まぁ、こんな重い女をもらってくれるもの好きはいないだろうけどね。だから一生彼氏とかは縁が無いんだろうな
遊んじゃったりしないの、もなは。彼氏じゃない男と。ひとりの幼馴染が急にそんなことを言いだした。こいつ何を言い出すんだ。と言いたかった。だが事実私は半分そういうようなことをしている。慰め合っている関係とか、いいように言ってるけど周りから見ればこれだって遊びみたいなものだろう。こんなことが隣に座る彼女に知られればどうなることやら。この人は御幸並に過保護なのに。私に対して。大人になって少しはましになったけど高校時代は隣の県に遊びに行くのでさえ付き添われたよ。ひとり旅禁止令が出ていたくらいだ。だからこそ言えない。絶対に。この人に、嫌われたくない。だからいつだって私はこの人に大事なことは隠してしまう。女友達ってね、複雑なんだよ。一度壊れると修復するのって大変なんだ。だからね、だから・・・
どうしても言いたくないんだ。御幸のことも、何もかも。この間の事件のことも。全て正せば自分に非があるだろうから。怒られたくない、嫌われたくない。だから言わない。そして寂しくなって、御幸を頼る。なんたる悪循環だろうか。でもこのことは誰にも言えない。御幸にも、倉持にも、沢村君にも、誰にも言えない。幻滅されるのが怖い。だからいつだって私は本音を隠して生きてきた。そんな自分の行動が一番自分の首を絞めているというのに。いつかこの嘘がばれてしまわないかとビクビクしてしまっている
もながそんなことする訳無いじゃん。そう言ってくれた隣に座る幼馴染の女の子に私は何も答えなかった。ごめんね。心の中ではただただそう謝る
それくらいしか私にはできなかった。



聞こえない謝罪

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