続きまして、花嫁からの手紙です。と言われ前に出る。マイクとライトの光を浴びてすごく緊張する。こんなに注目を浴びるのって学生の発表会の時以来だ。
「母と、お世話になった友人に書かせていただきました。どうか聞いてください」
お母さんへ。いっぱい苦労を掛けました。ほんとにいろいろごめんなさい、そしてありがとう。こんなわたしも素敵な人をみつけ、素敵な日を迎えることができました。全部お母さんが私を産んでくれたおかげです。葉菜へ。子供のころからずっとずっと私のことを見守ってくれてありがとう。たくさん約束を破ってごめんなさい。隠し事もたくさんしました。葉菜に言われたこと、ずっと覚えてます。いろいろなこと、覚えてます。でもそれ以上に一緒になりたいと思える人に出会ってしまいました。いっぱい迷惑をかけて最後までこんな私でごめんなさい。そんな私をずっと見守ってくれて本当にありがとう。
ほんとはもっといろいろな人にお礼を言いたいのですが、最後にもう一人に手紙を書かせていただきました。倉持へ。いつしか本当の兄弟のような感覚になっていた倉持の存在は、私にはとても大きかったです。きっと倉持がいなかったら一也と結婚なんてしなかっただろうし、できなかったと思います。私が逃げ出そうとすると背中を蹴飛ばして、向き合うように言ってくれてありがとう。何かあるとすぐに駆けつけてくれて、助けてくれる。最高に頼りがいのあるお兄ちゃんです。一也とのこと、いっぱいいろいろな問題がありました。なにせ一般人と有名なプロ野球選手だからその壁だって大きくて正直、つらいことだっていっぱいありました。そんな私の背中をやさしく支えてくれて、ここまで連れてきてくれてありがとう。お兄ちゃんを置いて先に結婚してしまう、兄不幸な妹ですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。
深く頭を下げてもう一度顔を上げて倉持のほうを見ると目を潤ませてこっちを見ていた。そんな倉持に栄純君がこれどうぞ!とハンカチをわたし、それをひったくるように受け取ると顔を隠してしまう。周りが何泣いてんだ倉持。ほんとに妹の門出みたいな反応かよ。と茶化してしまうほど、本気で泣いている倉持にわたしも目が潤む。
マイクをつかんで幸せになれよ。と一言をもらいとうとう泣き出した私を一也でなく、お兄ちゃんが慰めてくれた。泣かせたのお兄ちゃんなのに。というとお前もだろっていわれたから思わず笑って最後は笑顔になる。

「では、いきまーす!」
大きな声で叫んでブーケを後ろに思いっきり投げる。誰がキャッチするか。すごくドキドキする。いっぱい受け取ってほしい人はいる。いっぱい幸せになってほしい人がいる。誰がどこにいて、ブーケがどこに落ちるかはわからなくて、その花が二人をどこまでつないでくれるかはわからないけどどうかこの花を受け取ってくれた人も、こんな気持ちで、こんな日を迎えれますように。
花束の落ちた下をのぞくとそこには全く花なんて似合わない亮さんがなぜか見事にゲットしていて周りに茶化されていた。まさかのことにわたしと御幸は顔を見合わせてそして思いっきり噴き出すのだった。笑ったのばれたら怒られちゃうからこれも二人だけの秘密の話としよう。ナイショ。


秘密のブーケ

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