お色直しが終わって再入場してキャンドルサービスをしに席を回っていく。先輩たちと写真を撮ったり、来てくれたことに感謝の言葉を述べたり、いろいろ話しながら進めていくとかなり時間がかかった。そこから余興が始まるのだけれど今回この余興はノータッチなので何が起きるのかとひやひやしている。いきなり出てきたセットにはスポンジのボールとスポンジのバッドが用意されていて御幸一也について千本ノックと大々的に書かれていた。最初の挑戦者として出てきた栄純君は性格が悪い!と大きな声で叫んで倉持がやさしく投げたスポンジボールを思いっきり空振りする。おいおいと見ているとそれを気にせずほんとにどんどんと悪口が続くので思わず笑ってしまう。そのあと選手交代して暁君がでてきてホームランボールみたいなのばっかりだけど言ってる内容は変わらなかった。結局二人合わせて20回でその余興はおわりじゃぁほんとの余興こっからなんで。といってどこからとともなく倉持が現れる。いつの間にかバンドのセットが出来上がっており青道の先輩たちが楽器を持っている。
そして演奏が始まり倉持が歌いだす。ノリのいい曲からバラードまで。そして曲が続く中、倉持が突然歌うのをやめてこちらの画面にご注目くださいといって後ろにある画面をさす。そしていきなり出てきたのは御幸とわたしの変顔だった。酔った勢いで昔に取ったやつだ。この写真セレクトした人誰?!
「演奏とスライドと同時に俺からの新郎新婦への手紙を読まさせていただきます。」
「ちょっとその前にスライドの写真止めてほしいんですけど」
「作っといてもらって贅沢いうんじゃねぇよ」
「これ贅沢っていうのかな?!」
「てことで、新郎新婦へ」
「むし?!」
自分は高校から、二人の出会った時から二人を知ってます。その時はまさかこんなことになるなんてかけらほども予想してませんでした。俺自身、もなとこんなに仲良くなると思ってなかったです。御幸は高校の時から不器用で、ばかで、どうしようもない糞野郎でした。昔のもなは知らないけど出会ってからの俺の知ってるもなは人一倍強がりで無茶ばっかりするあほでした。なかなかくっつかないし、隠し事は多いし、よく逃げる。弱虫な二人です。でもそんな御幸は誰よりも一途で、高校生のころ俺たちを甲子園へと導いたキャプテンで、もなは誰よりもやさしく、誰より強い女です。どっちも普段は言いませんがかっこいいと俺は思ってました。この二人はすごく不器用で、いっぱい失敗すると思います。人に頼ったり相談したりするの二人とも苦手だし、そのくせどうでもいいことは電話してくるし。けど俺はこれからもそんな二人が一緒にいるところを見ていたいです。だから何かあったときは俺らにちゃんと相談して、自分たちだけでどうにかしようと思わないで頼ることを覚えてください。御幸はこれ以上もなを泣かせたら本気でぶっ飛ばすんで、覚悟しとけよ。これからさきもずっと二人が寄り添って歩めることを心よりお祈り申し上げます。
読み終わるとその手紙を私にわたし、御幸を引っ張って余興に戻る。御幸のへたくそな歌と倉持のすごい歌唱力の差が面白くて涙がこぼれた。スライドに最後に流れたのは寝ているときに顔に落書きされた私と御幸の写真だった。きっとこれ亮さんセレクトじゃないでしょうか。


悪魔のセレクト


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