まぁ、やっぱりテレビの放送があった後はいろんな人から電話やメールをたくさんもらった。もちろんその中には全く仲良くなかった学生時代の知り合いからもあって、あわよくばおこぼれを精神が見え見えだったけど見なかったふりをしてありきたりな言葉で返した。大事な人にそんな適当な人紹介するわけないじゃん。なんて言いたかったけど言わなかったよ。もちろん。
「招待状、先輩たちにはやっぱり自分たちの手で送りたいね」
「好きなの一緒に選ぼうぜ」
「どのくらいの人呼んでいいの?」
「そうだな。先輩たちと、俺の学校の関係者。仕事関係者。あとはお前の家族と、呼びたい奴いるか?」
「二人だけ、いる」
その名前を言うと御幸は納得したように頷いていいんじゃね。と同意してくれる。そうと決まれば招待状をどうするかだ。せっかくだからそんなのも一緒に選びたい。ブーケについては亮さんが選ぶっていってたし。会場についてもまかせっきり。新婚旅行は二週間後。なかなかいい具合に話が進んでいる。こううまくいっていると何か怖いな。
本番の披露宴のコース料理の試食は倉持といきああでもないこうでもないと言いながら考える。ドレスにあった髪型は璃那さんが知り合いの美容師さんを紹介してくれて御幸の好みやもらったドレスの資料を照らしながら決めていく。デザートは御幸がお前が考えたレシピで作ってもらおうっていいだして無理して式場に頼んでみんなに日頃の感謝を込めてデザインした。仕事と両立している御幸はすごくしんどそうだったけどそれでもなにも手を抜かず、そして当日を迎えた。
綺麗な純白のドレスに身を包み、どきどきと大きな音を響かせる自分の心臓に落ち着けと言い聞かせてみる。でもそれはあまり意味をなさず今にも逃げ出したい気持ちになる。一緒にきていた母はドレス姿を見ると泣きだしてしまい、照れ臭く思いながら何泣いてるの?なんて言ってみた。御幸もタキシード姿になり、いつもよりもきれいにセットされた髪の毛をなれないせいか不快そうにさわっていた。私と目があると一瞬驚いたけどすぐに笑顔になって抱きしめられる。きれい。その一言がすごくうれしかった。
それから私が個人的に招待した幼馴染とか先輩とかに交代で少しだけあって、みんなが会場入りして、式の準備は整う。父親の代わりになぜか倉持が一緒にバージンロードをあるき、御幸と倉持がバトンタッチして今度は御幸と一緒に残りの道を歩く。一歩一歩にいろいろな思い出や気持ちが浮かんでいく。楽しかった日々、つらかったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、とにかく賑やかだった。たぶんわたしたちお互いに神様とかに誓うとかそんなの興味ないんだろうね。この式っていうのはお互いがお互いのものって周りに知らせるためにやってるだけで、紙切れ一枚で十分よかったんだ。それでもせっかく神様に誓うっていうなら、誓いましょうか。わたしは生涯、男として愛する人をこの人だけにするって。誓いのキスをして、式が終わると披露宴が始まる。司会進行は倉持と栄純君が二人でしてくれるのだけどわたしたちが入場する前から何やらにぎやかだ。入場すればその理由は一目瞭然。二人のコントのような司会進行にみんな笑ってるのだ。やっぱり二人に頼んでよかった。笑ながら始まった披露宴で御幸が挨拶をすると周りから結構なヤジが飛ぶ。その筆頭が栄純君だった。あまりにかっこのつかない新郎だ。
「ちょっとお前黙れ。俺先輩な?」
「もなさんに先に出会ったのは俺っすよ!俺のほうが先輩!」
「いやお前言ってる意味わかんねぇからな?」
コントが始まりみんなが笑って私も笑う。なんとか締めくくった挨拶は結構長かった。新郎新婦の紹介をされ、御幸は倉持に。わたしのことは葉菜がしてくれた。お互いなぜか恥ずかしい過去まで穿り返され正直恥ずかしかった。ウェディングケーキを二人で切るときに司会を務める栄純君が新郎新婦の初めての共同作業です!サロンバスの介の字貼りではなくケーキの入刀です!!なんていうから思いっきり笑っちゃってカットに失敗。それもなんだかいい思い出だった。
祝辞、乾杯が終わりみんながご飯を食べだす。自分で考えたメニューをこんな場所で出してもらえるなんて思ったもみなかった。ほんとにすごく素敵な料理になっていて式場のコックさんたちにもとても感謝した。すごく、幸せだ。こんなに素敵な時間、一生忘れれないよ。お色直しの時間となり、栄純君と暁くんに両手を握られて退場する。この演出には周りは驚いていたけどすぐに御幸へのヤジにかわり、盛り上がって会場を抜けることができた。御幸が退場する前にドアを閉めた栄純君と暁君はさすがだと思う。


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