テレビに出演してほしい。そう球団から連絡が来た。一般人が出るなんてあるのだろうか。いや、こんなことないだろう。芸能人となら記者会見なんてありそうだけど私は一般人だ。断ろうと思ったけど御幸のイメージ回復のためにと言われ断れず通話を終える。はぁ。とため息をつき今度は何といえばいいのだろうと考えて頭がいたくなった。
「テレビの出演のこと?ああ、聞いたけどそれが?なんか問題でもあった?」
「いいの・・・?」
「もなが俺のって宣言しろってことだろ?全然いいよ」
いや違うからという突っ込みを入れて大きくため息をつく。まぁ、いいか。御幸がいいっていってるし。いやよくないって。テレビとか私どうしたらいいの?!何着て出るの?!というかどんなテレビ?!焦っているとこっちおいでと御幸が自分の足の間をとんとんとたたいて招いていた。誘われるようにその中に入ると包み込まれてそこで番組の説明をしてくれた。熱々!ラブラブ男女!という番組に出るらしい。今話題のカップルやおなじみの夫婦などが出てくるらしい。出る時間的には15分程度。でもほかの人より癪が取られてるらしい。なにせ話題の婚約者なのだから。
「何話せばいいの?セリフとか覚えないとだめ?」
「好きに話せばいいよ。その場のノリで行くから」
「今どき珍しいねそんな番組。お決まりのセリフ返せっていわれるのかと思った」
「そういうの無しなら受けますっていったからな。」
なるほど。そのくらいのこと視聴率取るためなら了承するってことか。とりあえず番組でラブラブなところ見せればいいだけだから。と言われて頷く。ラブラブ、難しいね。簡単じゃね?今のこれ見せつけたら。その番組の放送日携帯鳴りっぱなしになるよ。先輩たちとかからの電話で。
どうせなら倉持たちも出ればいいのにと思ったけど友夢ちゃんだって一般人だし、まず交際宣言をしていなかった。すごく残念だ。倉持カップルほど初々しくかわいらしいカップルなんてないのに。私が視聴者なら断然そっちがみたい。
ある程度こぎれいにして、プロのメイクさんにお化粧をしてもらった。リハーサルも終えたころにはほかの出演者さんたちと少しは話せるようになってなんとか順調に進んでいる。この番組は球団ともつながりが強いらしく、変なことにはならないからと御幸は言っていたけど不安になるのは仕方がないと思う。
いざ番組が始まって次々ゲストの人が入れ替わりで入っていく。中盤のあとに出番なのでまだまだ時間はあるのにドキドキひやひやする。人の字を書いたりのの字を書いたりいろいろしてみたが一向に効果が表れない。むむむ。心臓爆発する。
そんなとき、繋がれていた手がぎゅっと握られた。顔を上げると御幸がやさしく笑っている。そしてそっと額にキスをされた。おまじない。なんてずるい言葉で私の緊張をほぐしてしまうのだからやっぱり御幸はすごい。なんかどんとこい!とまでは言えないけどかかってこいや!くらいな気持ちにはなれた。わかりにくい表し方だけどそんな気持ち。
「次は今話題のお二人、その甘いマスクとプレイで数えきれないほど女性を虜にしている人気イケメン捕手御幸一也選手とその婚約者のもなさんです」
御幸の紹介の仕方に思わず笑い、御幸はすこし恥ずかしそうな顔をして手をつないで一緒に登場する。大きな拍手で出迎えられてやっぱり緊張するけど入って早々御幸が肩を抱いてきたので違う緊張のほうがひどかった。
「まずは自己紹介をお願いしたいと思います。」
「はい、改めて御幸一也です。」
「婚約者のもなです」
名字は伏せてもらい、とりあえずいろいろ受ける質問を返す。私たちの馴れ初めとか、休日の過ごし方、お互いの好きなところ、何を話しても恥ずかしかった。御幸のどや顔にももう何も突っ込む気になれない。何とか出番が終わったころには今までにないくらい疲れていた。



爆発注意


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