式場とかセッティングとかほとんどのことは球団側が決めることになった。なにせ一也は人気選手。球団側としても利用したいんだろう。ドレスもできる限り一也が引き立つように、そう回りくどくだけど球団側からお願いされた。その場に居合わせた倉持は何か言いたげだったけど私はそれを了承し、すべてを向こうの人に任せる。親と青道関係者以外は知らない人。報道マンや球団の関係者がたくさん集まるらしい。そこでいい奥さんになってほしい。それが球団側から初めて会ったとき言われたお願いだった。これは窮屈そうだ。そう思いながらも頷いた。だって、わたしは『御幸』を手に入れれるなら他は別に何でもいいから。
「ドレスぐらい好きなの選べばいいだろ。なんで球団の要求ばっかのんでんだよ」
「いいんだよ倉持。自分の意見を出せば長引くから」
「だけど、一生に一度きりのもんだろ?」
「そんなことよりもわたしは『御幸』がほしいから。」
「あいつがこのこと聞いたら絶対納得しねぇ!」
「だから、秘密にしててね」
そうお願いすると倉持は顔をゆがめる。怒ってるんだろうな。でもいいんだ、欲張って全部なくすくらいなら・・・。一番ほしいものだけでいいの。一度きり、たった一度何も言わなければいいだけでしょ。その方がずっと楽だよ。今回のことでそう思い知ったんだ。
せめても試着だけでもと倉持筆頭に純さん亮さん増子さんに連れられてドレスの試着をすることになった。たくさんあるドレスの中から何を選べばいいのかさっぱりわからない。どういったものがお好きですか?と聞かれても着たことがないからわかりませんとしか言いようがないくらいだ。でもほんとにここのドレスきれい・・・・。高そう・・・。試着だけだから値段見るのやめよう。ちょっと夢心地でいて終わろう。やっぱり定番は白らしい。うん、だって純白の花嫁とかいうしね。うん、真っ白のドレスも素敵。でもこっちの白のドレスに淡い色のレースが入ったものとか、そんなのもかわいいな。どんなドレスとかは聞いてないけどきっと定番の真っ白で間違いないんだろうから試着でくらいは何か変わったものを、着れなさそうなものを着てみたいな。あ、和風のドレスすごい!きらきら眩しい世界。欲を言うなら、御幸とこういうの選んでみたかったな。
「なにか気になるのあった?」
「あ、亮さん。いえ、どれも素敵だなって見てたくらいで」
「ふーん。特に着てみたいのないんだね」
なんだか引っかかる言い方だったが頷くとじゃ。といっていつの間にか持っていたドレスを引き渡される。へ?ここ写真も撮ってくれるところらしいから。今日そんな目的じゃ。何俺に逆らうの?へー。ごめんなさい!!今すぐ着替えてきます!!慌てて係りの人に言うと笑いながら試着室に案内してくれた。こ、こわい。亮さん怖い。
ドレスを試着すると簡単に髪の毛のアレンジもしてくれる。鏡で自分の姿を見て思わず感動した。あわあわとしていると店員さんにクスリと笑われてお似合いですからお連れ様に見せてはいかがですか?といわれ頷く。できました。といって外に出るとすでに外で待ち構えていた3人と目が合う。純さんは顔を真っ赤にして口をパクパクとし、倉持は固まっている。亮さんだけがゆっくりと近づいてきて一言いいんじゃない。といってくれる。ふへへ。と照れると写真をすばやくとりに行かされて次のドレスを渡される。次これ、その次はこれで、これもあとこれ。となんかすごい大量に渡されている。りょ、亮さん・・・?恐る恐る声をかけると早く着替えておいで。と言い笑顔で見送られた。なんてことだ。恐ろしくて頷いてしまったよ。


きせかえどーる


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