家に帰ると亮さんがちょうど駐車場のほうに向かおうとしていたところだった。俺と隣にいる倉持を見てあの子いるからさっさと降りて来きなよ。といい去っていく。うっす。と倉持も返事をして、二人そろってあいつの待つ家に急いだ。ベッドに寝かされているもなをみて倉持は大きく息をつくと前にいってたもう一発、いましとくわ。といって俺のほうに向かってこぶしを一発振りかざした。体がおし飛ばされるくらい、本気のパンチ。でもそれを俺は甘んじて受ける。それくらいのことをしている自覚があるから。
「お前が、俺と会う前からもなに手出ししてるなんて思ってもみなかった。もっと大事にしてんのかと思ってた。セクハラはひどかったけどよ」
「スキンシップっていってほしいな」
「知ってるか?外国ではスキンシップっていう方が犯罪的なんだぜ?」
もなとお前の出会いは聞いた。始まりの関係も。決してほめれるものじゃねぇよ。それは間違うことなく、もなが何と言ったってそれは強姦だ。そのことぜってぇ忘れるな。おれだって一生覚えててやる。誰にも言わねぇ。墓場まで持ってく。けど、絶対に忘れてなんかやらねぇ。どんだけもなが今回のことを悩んできたのか。あの友達のことも含めてもう一度よく考えろ。
「怖いと思っても怖いといえる奴じゃねぇ。それは俺らがわかっててやらなきゃなんねぇんだ。あの友達から認めてもらうってことはそういうことだ。」
そういうと倉持は背を向けて家を出ていく。まったく、かなわねぇな。浮かれたいときにしっかりとくぎ打ってくれるのはやさしさかそれとも別のものか。はたまた。目の周りを赤くさせているもなの顔を見てひどくいとおしいと感じた。絶対に失いたくない。そう思えたってことは、本物だってことだよな?この気持ちって。
もながゆっくりと目を開けてその瞳に俺を移す。情けない顔が映ってる。だっせぇかお。ゆっくりと伸びてきたてはほほをなで、首を伝う。誘われるように覆いかぶさり、横に転がった。かわいそうな人。そういって腕の中に包み込まれる。私なんかにつかまって、みんなに責め立てられて、かわいそうな人。その言葉がぐさりと胸に刺さる。なんで俺ばっかり、そんな気持ちがなかったわけじゃない。俺が悪いというのはわかっていても、あまりに一人攻められればそうも思ってしまう。それすらも、こいつはわかって、受け入れて、一緒にこのむしゃくしゃした気持ちを感じてくれる。
「なぁ、俺の愛って相当歪んでんだよ」
「いまさら何言ってるの?そんなの付き合うよりも前から知ってるよ」
「辛辣な回答だな」
でもほんと、自分でも思うんだ。だってさ、本気で好きなら逃がしてやるべきなんだよな。俺と一緒にれば傷つけるとわかってるくせに、周りを囲って、逃げれない檻を作って、甘い言葉でその中に閉じ込めて。きれいごとを言うなら、俺から逃げろっていうべきなんだろな。けどさ、そんなこと言えるはずねぇじゃん。たとえ逃げらられても俺なら死ぬまで探すよ。見つけて、罠を仕掛けて、もっと頑丈な檻に閉じ込める。次はもう二度と逃げられないように。そう考えるくらいには俺は汚いんだ。幸せにする、そういったけどそうできるとは到底思えない。むしろ傷つけることのほうが多いだろう。それでも俺の手を取ってくれたのは、もな自身だ。だからもう逃がしてやるつもりはない。一生、囲ってやる。
「顔、赤くなってる。倉持に殴られた?」
「んー。お兄ちゃんにこれまでの行いの制裁くらったかな」
「しちゃだめだっていったのに。かわいそうな一也」
かわいそうなんていう割には笑ってもなは俺のことを抱き寄せる。だいすき。その言葉に俺が弱いのを知っているかのように耳元でそうささやいた。



やさしい顔面ぱんち


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