目を覚ますと目の前に御幸の顔がある。ああ、また寝ちゃったのか。目をこすってよく御幸を見るとニヤニヤと笑っていた。あ、こいつ起きてたのか。おはよう。と声をかけるともなちゃん大胆。と言われる。朝から何言ってるんだこの人、と思っているとつーっと布団越しに体のラインを触られた。は・だ・か。エロいよ。語尾にハートを付けているかのような言い方にかぁっと顔に熱が集まった。布団を自分の方に手繰り寄せて変態と言って枕を投げつける。そしてやっぱり上手くキャッチされてしまった。そうだ、お前今日からここに住め。余りにも普通に言うもんだから一瞬わかったと言ってしまいそうになるがちょっと待て。明らかにおかしい。今この人なんて言った?ここに住めって、はい?意味がわからない。と困惑しながら言うとまだ昨日の男捕まってないだろ。と言われる。確かにそうかもしれないが大丈夫じゃないか。だって警察だって動き出したし。なのに御幸はそういう油断してる時ほど危ない。と言ってここに住むように再度言われる。いや、だから意味がわからない。第一ここの契約だって一人で住むってしてるんでしょ?そんな無理やりできないって。というと既にマンションの方には連絡して許可をもらってると言われる。いや、まだ住むとか言ってませんけど!?この人絶対におかしいこと言ってる!!なのに当たり前のように振る舞えるのはなんで??絶対感覚狂ってるんだって。第一こんな高いところの家賃わたし半額も払えないよ!なんて言うと買ってるから大丈夫だ。と言われた。いや、そうじゃなくて。そうじゃないんだって。まだ問題が?と言われ人に見られたらどうすんの!というとここは知らない人がはいれないようになってるから大丈夫らしい。さすがお高いマンションは違うね。知ってたけど。って、そうじゃないんだってば!!どういったらわかってくれるのだろうかこの人。どうしようと頭を抱えてとりあえず服を返してというと今濡れてるから干してる。と言われる。ええ、確かに昨晩びしょびしょに濡れましたね。私の服。でもこの時期なんだからすぐに乾くでしょ!?というかそれまでどうしろって言うのよ?!裸で過ごすとか嫌だよ。裸族じゃあるまいし。少し怒った顔をすると御幸はニヤニヤと楽しそうに笑う。ああ、この人こういう人だった。もう濡れたままの服でもいい。そう思って立ち上がると御幸に引っ張られてまたベッドに逆戻り。何がしたいんだこの人。じっと見つめるとなぜか御幸の機嫌がすごくいい。昨日の怒りが嘘のようだ。服貸してやろうか?と上から目線で言われ、少しばかり腹が立つが何も無いよりマシだと思って貸して。といった。オッケーと言って寝室を出て行って数分で戻ってきたかと思うとその手には下着まで握られている。でも私のじゃない。でも女物。もしかして彼女で来たの!?と慌てて聞くとできてねぇよ。と言われる。割と本気で驚かれた。じゃぁ、その下着は何?と聞くと満面の笑みでもなの。一瞬自分の耳を疑った。わたしそんな派手なの持ってない。というとだって俺が買ったんだし。と真顔で言われる。え?まって。それ御幸が買ったの?本気で?焦る私とは対照的に俺以外の誰がもなの下着なんか買うんだよ。いや自分で買いますよ。というかあんたがかってるのがおかしいんだよ!自分で下着屋さんに入ったの?と聞くとそれ以外どうするんだよ。と笑われた。御幸って・・・勇者なんだ。もし私が男ならできないわ。あんな女ばかりの場所で女の下着を選ぶなんて。わたしカップルで下着屋来てるの見たらキモ!って思うタイプだもん。なんでいちいち下着選びに彼氏がいるんだよ。馬鹿か。と言いたい。馬鹿なのかな、馬鹿なのかなこの人。これは俺のTシャツね。と言って渡されたシャツはどう考えても大きい。ワンピースでも膝丈になりそうだ。イヤミのつもりだろうか。とりあえず下着を着けて服を借りて下着代払う。といってお財布をカバンの中から取り出した。勝手に買ってこられたものにお金払うのも嫌だけどね。でももらったものは仕方ないよ。とか思っていると御幸はどこからか大量の下着を取り出した。もちろん全部女物の。あ。すごく嫌な予感しかしない。そして私の反応を楽しむようにニヤニヤと笑う御幸を見て悟った。あれ全部私のだ。
「服は後で買いに行こうな」
「ふざけないでよ。というかなんでそんなに買い込んでるのよ」
「もながここで暮らすのに困らないように。俺からの思いやりいっぱいのプレゼント」
「思いやりのかけらも感じない。いくらかかってるの!?私そんなお金に余裕ないからね」
「金はいらねぇって。俺が勝手にしたことだし」
それは百も承知の上だ。だけどお金は別問題だ。どうしようかうだうだ悩んでいるとじゃぁさ、と御幸がひとつの案を出す。服とかのお金は現金はいらない。そのかわりここに住み込みでご飯作って。それが御幸の考えたものだった。ご飯だけ?と首をかしげるとご飯だけでいいらしい。ほかのものは手の空いてる方がする。ということだった。はぁ、そうなれば致し方ない。わかった。と肯けば御幸はやった。と嬉しそうに笑う。まぁ、こんな経験も悪くないかもしれない。その笑顔を見ていたら何となくそう思った



策士、巧妙な罠しかけ


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