御幸との話が終わった二日後、突然元青道の一年生のこたちが押しかけてきた。栄純くん筆頭に暁くん、春市くん、金丸君、東条君の5人。泣きながら飛びついてきた栄純くんと暁くんを抱きとめて家に招き、とりあえずお茶を入れて話を聞くと2日前の御幸との約束がすでに青道のみんなに一斉に連絡が来ているらしい。そしてこの1ヵ月御幸を試す者としていろいろな人が訪ねに来るらしい。その予定をみんなで話し合ってどの日にだれが行くという一覧表を春市君から受け取り、金丸君から危ないことの起きそうな先輩たちのところを教えてもらい東条君がそこに赤ペンで丸印をつけてくれた。
ちなみにわかりきっているが一番危険なのは中旬と最後の週、2回ほどやってくる予定の亮さんだ。何をするか正直考えるだけでも恐ろしい。それでもそれは愛情の裏返しなのだと言い聞かせている。どうやらこの1か月平和に過ごせるわけじゃないらしい。御幸と話したときはこんなことになるとは思ってもみなかった。スケジュールの確認をしていると倉持が4回も訪れることになっていることに気づく。忙しいだろうになんでこんなに?と一瞬疑問になったが多分今回話した内容のことだろう。できればほかの誰かにいってないことを願うばかりだ。
栄純くんと暁くんは自分が来るあと2回のところに蛍光ペンを使って花丸と白熊を書いて自分のアピールをしてくれる。5人そろってきてくれる次の時はなにをしようかと話し合っておやつを食べてあっという間に夕方になる。そのころに御幸から電話が入りちょっとごめんね。と断りを入れて電話に出る。
もしもし。俺だけど、そっち大丈夫か?ああ、うん。今日は一年生の5人できてくれたよ。1ヵ月の説明も受けたところ。交代でみんなが見極めに来るんだってね。御幸愛されてるね。どっちかっていうと、お前の安否を気にしてるんだと思うけどな。そんな感じで1ヵ月騒がしくなるみてぇだわ。倉持がみんなに俺の禁欲1ヵ月をばら撒いたから。情報。すでにもう昨日から会えてないけどね。俺だって帰りたいけどこの時期テレビとか雑誌の仕事はいるんだよな・・・。今回は球団にこのこと許しもらってるから仕事断りにくくてさ。ごめんな。寂しい思いさせて。ううん、大丈夫。一人の日がないってくらいみんなが訪ねてくるみたいだから。・・・・それあとで予定表写メっといて。はーい。とりあえず今日はあと少ししたら帰るから。みんなも一緒にご飯食べてもいい?俺が許可出さなくても食っていくよあいつらわ。ありがとう。じゃ、がんばってね。通話を切るとみんなの視線が集まっていた。え?なに?
「あいつの声がきもい・・・」
「鳥肌が・・・」
「すいません、ちょっと気分が・・・・」
「悪寒がする。」
「信二も?俺もすごいするんだ」
なんかみんなそろいにそろってひどい。何がそんなに気持ち悪かったのだろうか?どうしたの?と聞くと御幸先輩の甘ったるい声がキモイ。とはっきり言われた。そ、そんなに甘い声だっただろうか。いつもと変わらないように思えたが・・・。
「御幸先輩っていつもそんなんなんですか」
「うーん、怒ったときは怖いけど基本そんなのだよ?」
「へー。なんだか意外な一面を見た気分です」
東条くんがくすくすと笑うからそんなに?と首をかしげる。私にはみんなの普通がわからない。だから御幸の話が聞きたい。というとみんな目を合わせて順番に自分の思い出にある彼との思い出を話してくれた。怒られたとき。自信満々の顔。脇腹を痛めてでも出た秋の選抜。甲子園の話。甲子園は私も知ってる。先輩たちの卒業式。自分たちの卒業式。いろいろな話を聞いて知らない御幸を知るたびにドキドキした。
御幸が帰ってきてみんなで机を囲って晩御飯を食べる。食べながら文句を言い続ける栄純くんと暁くんと御幸の言い合いがあったり、次の訪問で何をするのか話したり、みんなの疑問に答えたり、いろいろはなす。暁君はずっと本当にいいの?その人でいいの?と聞くもんだから苦笑してしまった。良いも何もこの人じゃないとだめなのだ。私が。そりゃ結構困らされることは多いし、傷つくことだって多いだろう。けど、どうしようもなく好きなんだよ。というと暁くんはムスッとして拗ねてしまった。あらら。
「もなさんってこっぱずかしいことさらっといいますね」
「へ?」
「ほら、横で御幸先輩照れてますよ」
ちらりと横を見ると確かに御幸が少し恥ずかしそうにはにかんでいた。それを見て自分の言った言葉を理解してあれは!と言い訳をしようとするけど誰も聞いてくれなかった


誰でもよかった


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