倉持に報告のために連絡をして、直接会うことになって会った瞬間に思いっきり殴り飛ばされた。それは盛大に。頬が腫れ上がるくらい。殴られた理由はわかってるし、殴られるのも当たり前の話だ。あいつの話を聞いてほしいといったのは俺だし、その話が出ることはよくわかっていた。覚悟の上だった。けどちょっとくらい加減してくれてもよくね?
「ほんとはあと9発残ってんだけどあいつとの約束で怒らないって言っちまってるから一発で我慢してやる。今回は。もう一発は一ヵ月立ってからだな」
「今回はって・・・。ひでぇなおい」
「信用を裏切ったのてめぇだろ。次あいつ泣かせてみろ・・・・。お前には二度と会わさねぇし、近づけさせねぇよ」
本気でそう考えてるのは重々承知だ。誰だって自分の友達というものがようは無理やりされたって聞いて怒らないはずがない。あいつが何と言おうと犯罪になる行為をしたのだ。その自覚はあるし、それを忘れることもない。あれは俺にとってもいろいろな意味で重要なことだから。
自分で殴ったわりにはシップを手渡され何とも言えない気分だ。どうせあまりにひどいともなが心配するからだろうけど。俺のためとかじゃないだろうけど!あー、この腫れすぐひかねーよな。どうすっかな。来週試合あんのに。名誉あるケガですとでも言っとけ。お嫁をもらうためにお兄ちゃんに話に言ったら一発殴られました。うん。これいいかも。まあ嫁になるって決まってねーけどな。なんだ聞いてんのか。あいつにはちゃんと次の日までに話の結果を連絡するように言ってたからな。過保護。シスコン。糞みたいな男につかまってるから心配なんだよ。その男絶対顔良いよね。ああ。顔以外糞だけどな。さっきからほんとに当たりひどくね?!
「いいからよく聞けよ御幸。今回のことは本気で俺は許すつもりはねぇよ。一生そのことは許すつもりはねぇ。」
「わかってる。俺だって、過去の俺に会えるなら一発ぶん殴りたいくらいだし」
「俺は半殺しにするまで殴りてぇーわ」
「いくら過去でも俺なんですけど」
「それでもそれをどこかに口外するつもりも、これから口にするつもりもねぇ。それを望んでないからだ。あいつが。だから俺は今後一切この話は出さないつもりだ」
つもり。ということは例外があるということ。つまり俺の行動ひとつで変わるってことだ。もう一度同じような過ち犯したら、ただじゃ済まさねぇよ。何がなんでもお前を地獄に引きずりおろしてやる。本気で軽蔑視した顔。こんな顔今まで怒った顔なんて何度も見てきたがここまでは初めてだ。しない。そうはっきり言い切ると倉持はふぅ。と息を吐いて目をつぶり、自分を落ち着かせた。
「ああ、けど一ヵ月の手出し禁止の話は先輩たちにも言っといたから」
「は?」
「よかったな。一ヵ月にぎやかになるだろうな」
「え、ちょっとまって倉持くん。え?え?」
「精々苦労してくれよ。妹の旦那予定さん」
ヒャハハ。とあいつ独特の笑いが部屋に響き俺は絶望の悲鳴を上げた



強敵の足音


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