倉持に送られて家の前までやってきた。インターホンを押すのすら迷っていると勝手に家のドアが開く。そしてやさしく微笑んだ御幸におかえり。と出迎えてもらえる。そのことにホッとして、涙が出そうなくらいだった。ただ、いま。そういうと御幸は両手を広げておいで。といってくれる。ちらりと倉持を見ると呆れた顔をしたがいけ。と言ってくれたのでその腕の中に飛び込んだ。ぐりぐりと胸に顔を押し付ける。それがひどく安心する。
ありがとな倉持。ちゃんと話し合えよ。なんかあったらすぐ逃げて来いよもな。そういって倉持は去っていく。なんかって、失礼な奴だな・・・・。あはは・・・。とりあえず家に入ってソファーに座って勝手に飛び出したことを謝った。そして今回断ろうとした理由をちゃんと話した。自分の家族のこと、幼馴染のこと、すべて全部いった。そしたら御幸はごめんな。と謝って私をやさしくなでる。
「あのな、勝手だけどやっぱり俺はお前と結婚したい。お前は俺のだってみんなに言いふらしたい。その証拠がほしい」
「わたしだって、ほんとはっ・・・・けどっ、けどっ・・・・」
「ごめん。俺が変なはじめかたしたからだな。だけどさ、俺お前と結婚するためならなんだってできるから。家族に納得してもらえるように頑張るし。友達にも会う。会って話す。」
わかってもらえるまで何度だって話す。だからさ、お前もあきらめんなよ。頼むから、あきらめないでくれよ。一緒になろう。そういって差し出された手に気が付けば自分の手を重ねていた。なんでもする、御幸のその言葉を信じる。きっと友達には信用を無くすだろう。だったら今から取り戻せばいい。わたしも。御幸も。
「一ヵ月、おさわり一切禁止。」
「なにそれ?」
「誠実の証明のため。御幸から私へのボディータッチを一ヵ月禁止。」
それが守れたら、まず、大事な友達と親にあいさつをしてほしい。大事な人に、ちゃんと紹介したい。真剣だとわかってもらえるようにまっすぐと目を見つめる。それで伝わったのか御幸は困ったような顔をして俺耐えれるかな・・・。と言いながら頭をガシガシとかいた。
「一週間手出ししなかったら、か・・・・か・・・」
「か?」
「一也さんって呼ぶ!」
顔を真っ赤にして言い切ると御幸は驚いた顔をして固まっていた。その隙に二週間目三週間目四週間目、そして一か月たったら呼び捨てにすると一気に言い切った。御幸だけ努力するのじゃ意味がないのだ。一緒に、頑張らないと。だから今まで恥ずかしいし、呼びなれないしで呼ばなかったけど、御幸が頑張るなら私も頑張ろうと思ってこの条件を出した。
「なんか俺・・・・やれる気がしてきた」
「ほんと?!」
やった!と喜んだ瞬間体が宙に浮く。へ?と驚いているとそれなら開始の明日まで時間がないから一か月分充電しないと。といって寝室に私を抱えたまま歩き出す。まって。まって。もう絶対嫌な予感しかしない!!ま、まだ全然日が明るいよ!!夜でいいじゃん!と必死に逃げようとしたが一ヵ月がそんなので足りるか。と一刀両断した。それはそれは長い一ヵ月の始まりの前だった


ながーい、お付き合いを。


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