だから嫌だったんだ。あんなところで働くのは。ほらみろ、こんな面倒な奴と知り合って、関係作り上げて。でもそうさせたのは俺だから。あー、くそ。ほんとやりきれない。でもとりあえず、今日最後の仕上げなんだ。任された役目は果たす。球団の人と一緒に会見を開き、あの女とのことが事実無根だと正式に発表した。そして俺自身、現在一般人と交際中であること。その相手に真剣だということを発表した。こうすればきっと俺の周りを違う意味で追いかけまわすだろう。だがそれは全部亮さんたちが潰してくれる予定だ。なんでも情報操作にたけた知り合いがいるらしく情報をつぶすのも造作もないことだと言っていた。もしもなにか写真を撮られても公にされることはない。その言葉を信じての発表だった。もちろんあっちからどういうことかという連絡が来るだろう。この報道を見てすぐに。だがそれと同時にお前の本性は世間にさらされるんだよ。
案の定電話がかかってきてそれとほぼ同時に速報でいっきにあいつの今までしてきた姑息な手段が暴露される。俺は鼻へし折られた気分はどうだ?といって通話を切る。すでに警察にもしっかり事情を球団がうまいこと話し、もなの調理師免許のことは剥奪されることはない。地方自治体のほうにも話がすでに通ってるからだ。これでとりあえず一つは守れた。これまであいつから取り上げたくなかった。
クリスさんのところで沢村たち1年に囲まれてテレビを見ているはずのもなに電話を掛ける。すぐに繋がったがだけど電話に出たのは降谷だった。御幸先輩、そろそろテレビ見るのやめていいですか。今からみんなでしろくまカフェ見るんです。なんて言い出したのを聞いたときは頭が痛かった。こいつ、今回傍にいさせた理由絶対覚えてねー。いや最初から理解してねぇよ。これは。呆れていると降谷くん代わって、と小湊の声が聞こえて電話機を持つ人間が変わる。
すいません御幸先輩。テレビ見てもなさんほっとしたのか今寝ちゃってまして。一緒にいるんですが起こすのはちょっとあれなんでみんなでとりあえずどうなったかは見守ってたんです。でも二人ともすでに飽きたらしくてさきから違うものを見ようっていって聞かないんです。寝てるなら仕方ないか。とりあえず免許の剥奪はなくなったからってことだけ起きたら伝えてくれね?俺まだ仕事とか球団と話し合いあるから帰るの日が変わるころになるかもしれねーんだけど。絶対帰るからってのも伝えといて。わかりました。一応今のところこっちは大丈夫そうです。セキュリティーも万全ですし、万が一マスコミの人や面倒な人が来ても俺たちが対応するんで。安心して仕事やり遂げてきてください。さんきゅ。頼むわ。じゃ、そろそろ切るな。はい。
通話が終わってスケジュール帳を開く。これからの予定を確認していると一つの日付に星のマークが入っている。なんだったか覚えていない。大事なことなら日ごとのメモページに何か書いてるだろうとページをめくるとそこにはとても大事な用事が書かれていた。いろいろしていてすっかり忘れてた。けど、これは絶対に行く。予定すでに入ってるけどこれは球団と話してどうにかこの日だけはあけてもらう。どうしても、行かなければならないところなんだ。あいつと一緒に。嫌がっても、連れていく。本音は行きたいはずだから
日をまたいでクリス先輩の仮住まいのつくとすぐににぎやかなお出迎えがあった。おかえりなさい!と飛びついてくるもなを抱きしめてキスを送りただいま。という。今日はクリスさん帰れなくなったって。栄純君たちもう疲れて寝ちゃっててね。あ、春市くんから伝言聞いた。ありがとうね。おかげでまた好きな仕事に就けそう。あとね。といってもなは背中からかわいらしく包装されたプレゼントを渡される。
「あの、えっと・・・誕生日・・・・会えなかったけど、一応買ってたのでもらってくれるとうれしい・・・です」
恥ずかしそうにうつむいて最後のほうの言葉は小さくなっていく。確かに少し前、俺は誕生日を迎えた。騒動のせいで会うどころじゃなかったけど(むしろ別れの危機くらいだった)まさかもらえるなんて思ってなくて不覚にも俺も顔が真っ赤になる。な、なんだよこれ。すげぇ恥ずかしい。でもそれ以上にうれしい。もう、なんだよこいつ。かわいい。こうやって用意して、祝おうとしていてくれたんだって知ったら泣きたくなるくらいうれしかった。ああ、もうほんとにこいつにべたぼれ過ぎて辛いくらいだよ。どこまで惚れさせるんだよ
あけていい?と聞いて恥ずかしながらも頷いたのを見て包装をきれいに外して箱を開けると中からは皮のシンプルだけどきれいなボールペンとボールペンフォルダーが入っている。じ、実はペアなんですが。と恥ずかしそうに自分のペンとスケジュール帳につけられたペンフォルダーを見せられてくらりとめまいがする。なにこいつ。これで計算してないっての?これが天然の産物だっていうのか?!
「あー、もう大好き。抱かせてー」
「みんないるから無理だよ。万が一にでもあんな純粋な子たちに見られたら大変でしょ」
「・・・いっとくけどな。あいつらはお前が思うほど純粋じゃねぇよ?」
「やだー!知りたくない!聞きたくない!」
耳をふさぐもなにちゅ。と唇にキスを落とす。一瞬驚いてたがすぐにふにゃりと嬉しそうン笑ったのを見れやっとあいてしまっていた穴が埋まり始めたのを感じた


そこには確かに存在してたもの


prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -