一週間外出禁止となったもなは家に引きこもるしかなかった。買い物すら御幸が行くか、それが気にかかるというならネットで買えと御幸は言ったらしい。宅配ももなが出ることを禁じ、自分がいる時間に運ばせるようにさせていた。そうして一週間が過ぎてようやくもなは日の下に出ることがかなったのだ。俺はその日のうちに会いに行き、説教をしようと思ったが弱り切った姿を見てやめた。もうしっかり懲りただろう。これ以上言う必要はないし、俺がわざわざいやに思われる役を買う必要はない。御幸一人で十分だ。沢村は納得してなかったがこれは決して間違ってない判断だ。
「そんな顔しても今回はお前が悪い」
「そ、そりゃ心配させたのはわかってるけど!でもっ、あそこまで怒らなくても・・・」
どんなふうにあいつが怒ったのかだいたい想像がつく。いやというほど夜も朝も夜も思い知らされたことだろう。携帯が壊されなかったのが不思議でならないくらいだ。と言ったら壊されかけて大変だったんだから。没収でなんとか間逃れたけど、とまたもなは怒った。
「お前がもう御幸がいやだっつうなら別に相手でも、なんでも探してやるよ。けど、あんなところ二度と行くな」
「倉持たちは行ってるくせに・・・・」
ぶすっと拗ねた顔のままもなはそっぽを向く。どうやら今回ばかりは簡単に機嫌は治らないらしい。まぁ、いい。あいつの機嫌が直らなかろうともだめなものはだめなのだから。反省をしないのはわかってる。だからこそ俺はあえて御幸にこいつを好きにさせた。そうすることで反省しなかろうとよほどのことやマゾじゃなけりゃ同じことをしようと思わないだろう。俺らがいってるのは仕事や付き合いだ。好き好んでいってるわけじゃない。俺だってできることならいとおしい恋人と四六時中引っ付いていたい。そこの女なんかじゃなく、あいつがいれば。と何度も考える。けれどそうもいかないのだ。現実問題。
「どうせ亮さんにもチクってるんでしょ。それでまた怒られるんだから」
ふん。と顔を伏せるもなに苦笑が漏れる。拗ねているのももちろんあるだろうけどたぶん御幸のことがほんとに怖かったのだろう。怖くて泣きたいのにそれができないから今もこんな態度で精一杯強がっているのだろう。あいつが暴走しないわけがなかった。それをわかってて止めなかったのが間違いではないと思う。けどこんな顔をさせてしまえば正しかったのかもわからない。別に俺はこいつを傷つけたいとかそういう気持ちは一切ない。ただ二度としてほしくないから、わかりやすく脅かしてやろうと思っただけだった。でもやりすぎたかもしれない。一応ちゃんと御幸に加減するように言っておけばよかった。
さっさと帰れば。ふるえそうな声を必死で抑えているのがわかってるからこそ、心が苦しくなる。確かにこいつからすれば理不尽な話だ。自分が何してようと勝手だ。仕事だって何をしようと勝手だ。恋人だろうと口出す権利はないと思う。ましてや俺はただの友人だ。けど、どうしても嫌だったんだ。あんなところでこいつが汚れていくのが
「亮さんには今回は何も言わないように俺から頼んどく。御幸にも、これ以上はなしだつっとくから。機嫌直せ」
「・・・・じゃぁ、今晩は泊まってってよ。」
相当怖かったのだろう。こいつがこんなに弱るなんて珍しい。わかった。と俺が言えばもなはやっぱ友夢ちゃんにわるいからいい。といってもなは首を横に振る。自分で言ったくせに、いつまでも人に頼るのが苦手な奴だな。晩飯はくってく。俺がそういうとやっともなは顔を上げて俺を見てありがとう。と小さくつぶやいた。


ダイヤモンドじゃない


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