あ。またここにいる。そういって男の人がやってきた。カウンターで隣に座られて首をかしげるとこの間もここで会ったんだけど、と言われて誰か思い出した。あの時の。ととりあえず言ってみた。ほんとに思い出してる?と聞かれたぶんと答えるとそこは嘘でも思い出したって言おうよ。商売なんだから。じゃぁ、思い出しました。じゃぁをつけないで。文句を言いながらもお客さんは笑っている。毎回この人も暇な人だなぁ。私に声をかけるなんて。美人さんにお相手してもらわなくていいんですか?うーん。美人には飽きた。うわー、絶対いつか四方八方から刺されるわ。後ろからだけじゃないんだそこ。ねぇ、そういえば君いくつ?永遠の十八歳えい子です。嘘くさいよその名前。え?マジでここでその名前使ってるの??使ってないですよ。えっと、なんだっけな・・。そう。ゆき!ゆきちゃんです!おま、名前くらい忘れるなって。おなかを抱え笑い出す男の人を横目に水を飲む。あれ?お酒も飲まないの?極力は。そんなに強いわけでもないんで。下手なこと話したくないじゃないですか。えー。俺いろいろ聞きたい。そうですか、ならこのお店で一番高い人呼んで差し上げますよ。その人から聞けばいいんじゃないですか。仲良いの?最初の時にあいさつしたくらいの間柄ですよ。つまりは話す気はないと。あるように見えたら驚きです。
何を言っても男の人はずっと隣からいなくならない。そんなときにボーイの人からヘルプに呼ばれ椅子から立ち上がる。えー?いくの?私あなたばっかりにかまってられないんですよ。お金稼がなきゃなんで。ちなみに前は何の仕事してたの?世界を救うヒーローです。ははは。いいね。何がおかしいのかさっぱりわからない。嘘ってわかりきってること言ってるだけなのに。
また違う日に仕事をしているとあの男はやってきた。結構頻繁に来るんですね。というとんー。まぁ人付き合いってやつだな。といって苦笑していた。えっと、ゆきだっけ?そうですよ。ゆきです。それどこから考えたの?彼氏の名字を借りました。・・・彼氏怒らないの?こんなとこの仕事。見つかったらきっと一週間くらいおひさま拝めないくらいにはおこると思います。新しい仕事見つかるまでの間ですから。ばれないように頑張ります。なんでそんなにこの仕事がいいの?いいというか、仕事がほかに見つからなくて。というかいろいろ悩み中なので経験値を増やしたいなって思いまして。経験値ねぇ。こんなところで働いてたなんて経験値あまりよく思われないと思うけど?でも会話術とかすごい勉強になりますよ。私にはないスキルです。えー。俺は十分楽しいよ?ゆき、との話。胡散臭いってよく言われません?ここまで直球で言われたのは初めて。そういうと男の人はボーイにお酒を頼んだ。なぜか焦った顔をしてボーイの人はすぐにお持ちします。といって去っていく。一杯だけ飲まない?というお誘いに一杯だけなら。と私は頷いた
「もしかして有名人か権力者さんだったりするんですか?」
「超有名人。って最初に言ったじゃん。お得意さまって感じかな」
「そうでしたっけ?あ、このお酒おいしい。なんていうやつですか?」
「興味なさすぎ。あー、うん。でも飲みすぎ注意。それ強いやつだから」
「名前この紙に書いてください。今度探します」
「なに?お酒とか興味あるの?」
「料理とか好きなんですよ。このお酒ゼリーとかにしたらおいしそうですし。これムースの上にゼリーとして乗せるのもいいかも」
「激アツだね。料理に関して」
「好きなものにはこのくらい普通じゃないですか?少なくとも私の周りの人は私以上に真剣ですよ。大好きなものに」
じゃぁ、その人たちの話聞かせてよ。と言われそれなら。といって大好きなみんなことを話す。御幸の話を名前を出さずにするとその人が彼氏だ。と見事に当てられた。なんでわかったのか不思議で驚いていると話すときの顔、すごいやわらかい顔してたよ。言われ、意味を理解して顔に熱が集まる。にやにやと笑われあの人のことが頭によぎる。性格の悪さは、きっと御幸と同じくらいだこの人。
「いつかその彼氏さんに会わせてよ」
「来世で会えるといいですね」


グラスにうつる来世


prev next

 

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -