亮さんに連行されて連れてこられたのは野球のグラウンドだった。そこにはもうすでにたくさんの人がいた。ほら行くよ。と手を掴まれ連れられてグラウンドに入ると結構顔見知りの人がいる。青道のOBの人たちだ。あの、何するんですか?ときくと亮さんはニンマリとまた笑ってごほうび。とだけいった。ご褒美?と首をかしげるとバタバタとひとが集まってくる。ここにいるみんな青道のOB。全員集めるのは無理だったけど。
「お前の憧れてる青道の試合、目の前で見せてやるよ」
「青道、の試合・・・?」
状況を理解できずにいると璃那さんがチーム分けを発表していく。青チーム小湊春市、沢村、のり、純、クリス、増子、ゾノ、楠木、狩場、東条。道チームは丹波、倉持、亮介、御幸、哲、白洲、ナベくん、降谷、マッスル、金丸よ。あとは審判。青チームマネージャーはもなちゃん。道チームは私がします。ルールはだいたい一緒。ただピッチャーの交代、復帰は自由。負けたチームは一週間もなちゃんにお触り禁止。今日の飲み代もち。以上をよく頭に叩き込んで試合するように!てことですぐにばらけて作戦会議。練習時間は青チームから。15分で交代。終わり次第試合開始!璃奈さんの掛け声で半分に分かれてみんな散っていく。一瞬御幸と目が合うとおはよ。と口パクで言われて慌てて同じように返したら嬉しそうな笑顔が帰ってきたので思わず目をぱちくりとさせた。な、なんでそんな嬉しそうな顔してるんだろ。ちょっと照れくさくなる。また何かを口パクされたけど分からず首をかしげるともう一度ゆっくりと口パクしてくれる。ん?と首をかしげると御幸は自分のユニフォームをくいくいっと引っ張る。そしてもう一度同じことを口パクしている。やっと意味を理解すると顔に熱が一気に集まった。バカ!と叫ぶとニヤニヤと笑って手をひらひらとチームのもとに行ってしまった。その服にあってるって、なに言ってんのよ!
同じチームのクリスさんのところに駆け寄ってあの。と声をかけるとなぜかぽんぽんと頭を撫でられる。今日は楽しんでいけ。とても優しい声でそう言われてどんどん顔に熱が集まる。こ、声がっ!!声が綺麗すぎて!!いろいろあって気にしてる余裕なかったけどやっぱりイケメンすぎて辛い!!!真っ赤になった顔を両手で覆って必死に隠す。ありがとうございます。とお礼を言うのが精一杯だった。もう湯気が出るくらい暑かった
「なにやってんだクリス?」
「伊佐敷か。久留野が両手で顔を覆って俯いてしまってな。どうしたのかと聞こうとしてたところだ」
純さんは何を思ったかしゃがみこんでしたから私の顔を覗き込もうとする。指の隙間越しに目が合うとにやりと笑って突然私のことを抱き上げた。子供みたいに抱っこされて気恥ずかしくて降ろしてと暴れてみたけど純さんは余裕な顔をして私を抱き上げてブンブン振り回す。それを見た栄純くんが楽しそう!といってヒゲ先輩俺も!と純さんにねだっていた。
あの、マネージャーって何をしたらいいんですか?落ち着いてから一番気になっていた事を聞くと応援。と即答された。な、なるほど。だからチアガールの服なんだ。でも景品前半必要なくないですか?と聞くとクリスさんはひとつの場所を指差す。御幸とさとるくんがキャッチボールをしている。そしてなんだか黒い何かが出てるような感じで怖い。影響力は抜群だぞ。そう言って笑うクリスさんに苦笑いするしかなかった。こちらのチームでは栄純くんが人一番吠えていた。
道チームの攻撃から始まり、倉持が最初に出てくる。こちらのピッチャーはじゃんけんで勝った栄純くんが先に登板して一回ごとにのりくんと交代することになったらしい。初級から厳しいところに栄純くんは投げ込んだ。素人の私にもわかるくらいの迫力だ。ニッと笑う姿は誰が見てもかっこいい。あ、そうだ。今のうちにチームの人の名前覚えないと。ピッチャーが栄純くんで、キャッチャーがクリスさん。ファーストがえっと、ゾノくん?あれ?と首をかしげるとあってるよ。と男の人が教えてくれた。えっと。俺は川上憲文。ノリって御幸は呼んでるよ。ノリ、くん。うん。よろしくもな。う、うん!よろしく!お友達ができた。そのことが嬉しくて自然と笑顔になる。それからのり君は守備位置について詳しく教えてくれた。二人で声を出して応援していると一点も取られることなく、一回が終わる。次はこちらの攻撃となって、最初に春市くんがバットを握ってバッターボックスに向けて歩き出す。その背中に頑張れ!と投げかけると振り返って照れくさそうにVサインをしてくれた。ぐ、ぐうかわっ!!!
「そういえばさ、ひとつすごくききたかったこと聞いてもいい?」
「んー・・。答えれることは答えるけど?」
「もなはさ、御幸のどこが好きなの?あいつ結構めんどくさい奴だよ」
その言葉を聞いてひどい言われよう。といって私がくすくすと笑うとノリくんはみんな思ってるからな。といって笑った。そういえば結構この質問聞かれるけど、いつも思うんだよね私も。あんな人の、どこが好きなんだろ。わからない?いいとこも悪いところもいっぱい知ってるけど、わからないかな。けど、ね。耳打ちで告げた言葉にノリくんはあの御幸がぞっこんなわけだ。と言って笑った


どうしようもないほど馬鹿で愛おしい


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