おはようございますもなさん!朝一そんな元気な声で起こされた。昨晩久しぶりに御幸に手加減なしで抱かれたためすっかり寝過ごしてしまったらしい。目覚めの声が栄純くんというのは珍しいことだ。おはよう。と返事をすると早く着替えてください!出かけますよ!と肩を揺さぶれる。ん。ん。わかったから。というとやっと解放され、とりあえず目覚めに朝からシャワーを浴びて服を着替える。髪の毛は俺が乾かしますよ!と言い出した栄純くんによってドライヤーをかけられるがちょこちょこ熱い。うん。ちょっとたまに痛い。まぁ、可愛いものだと黙っていると突然このバカ!と知らない声が聞こえた。火傷しちまうだろ!と栄純くんを咎め、こうするんだよ。と見本を見せるように私の髪を丁寧に乾かしてくれた。こうだ。と最後に自信満々に言い切るのを聞きながらあまりの気持ちよさにまたうとうとしそうだった。
「と、改めまして。こいつは金丸って言います!」
「うっす。金丸信二です。初めまして」
「こいつすんげぇいいやつなんですよ!高校の時もずっと俺の赤点回避を手伝ってくれて」
「そりゃお前がちゃんと勉強しねーからだろ!」
目の前で突然言い合いを始められてこちらとしては戸惑ってしまう。それにここうちじゃなくてクリスさんの家だし。ちょっと静かにしたほうが・・・。そう言いかけているとどうした。騒がしいな。といってクリスさんが部屋に顔を出した。おはようございます。と声をかけるとああ。おはよう。といつものイケメンスマイルがとんでくる。ほんとにまぶしすぎます!!
「ああ、そういえば今日は金丸が担当だったな。忙しいとこすまない。よろしく頼む」
「い、いえ!」
「ちょっと目を離すと消えるから気をつけてくれ。」
「わかりました」
「クリスさん、それはわたしのことですか?それとも栄純くんのことですか?はたまた両方でございますか?」
両方だ。といわれガーンとショックを受けると冗談だ。と言われる。あれ、クリスさんって冗談とか言うんだ。へー・・・。うん。ほんとに冗談なのかな?あれ?
えっと、その。今日は栄純くんと金丸くんの担当って・・・?ああ、すまないがしばらくお前の行動は見張らせてもらうことになった。へ?亮介に今回のことがバレてな。え?!だがあいつは今忙しいらしく、それまで交代で見張る。ということになった。すまんな。い、いやえっと・・・・逃亡はありですか?やってみるのもいいが・・・・亮介の怒りをもっと買う事になるぞ。ひっ。まぁ、おとなしくしていればまだマシになる。諦めろ
しょぼーん。となって寝室にひきこもる。こんな、こんなのないよ。もなさーん!お出かけしましょう!楽しいことしやしょうや!おい、バカ。お前言い方考えろ。御幸先輩にどやされるぞ。はぁ?今そんなことどうでもいいって。もなさーん。お兄さんだってそんな怒ってないっすよ!気にせずいきましょう!お前他人事すぎるだろ!ドアの向こうから聴こえてくる声にも今は耳をふさいで聞こえないふりをしたい。まさか、まさかそんなことになるなんて思ってなかったんだよ。というか誰がそんなこと話したの。倉持が言ってた交代で同行って見張りって意味だったの?まず何に怒ってるの?今回のことを知られて怒ってるってクリスさんはいってたけど。知られて、何がまずいの。と聞かれるといろいろまずい気がする。悪いことをしたわけではない。けど気まずい。だって、なんだかいけないことをしたような気持ちになる。上手くは言えないけど・・・
「もなさーん!そりゃお兄さんだって怒ってますけどちゃんと謝れば許してくれますよ!そんで、次から何かあったときはちゃんと相談してください」
「そ、相談って・・・そんなの・・・」
相談。相談って・・・・なにを。そりゃ、大事な後輩のことだし話しておけば御幸はもう少し楽だったかもしれない。けど、けど、彼は周りに言うことをよしとしただろうか。周りに知られて、迷惑をかけることをよしとしただろうか。いやしないだろう。だって私だってそう思う。もし、自分のしてることに心配をかけるようなことがあるなら言わない。言いたくない。知られたくない。
「なんで、知られたくないんですか?」
「なんで・・・って・・・」
「理由が、あるんじゃないんですか」
扉の向こうから聴こえてくる声が初めて怖いと思った。ありえない。今まで彼に恐怖を抱くなんてことは一度もなかったのに。だけど、ひどく怖いと思った。沢村ちょっと黙ってろ。扉の向こうで何やらもめているのがわかったけど何も言えずに塞ぎ込む。知られたくないのがなんでか。そんなの決まってる。言えないのはただ怖いんだ。何もかもが。それとわからないのだ。なんと言えばいい。何を相談すればいい。なんと話を切り出せばいい。
「あの・・・もなさん・・・・」
とりあえず俺とちょっと出かけてくれませんか?その言葉に間抜けな顔になった


とびきりな冗談を言ってるのかい


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