俺が守りたい。あいつが守らないなら、俺が守る。やつれた顔をして目の下に濃いクマを作って悲しげに揺れる目を見たとき。なんであいつなんかに任せちまったんだろうって思った。恋とかそういった感情があるわけじゃないけど俺にとってはもなさんは特別な人。だからその人を苦しませる御幸が許せなかった。あんなに大好きだったのになんで。そう思っても答えはわからない。ただ悲しそうにぼーっとどこかを見つめるもなさんを見るたびに胸が痛んだ。仕事がクビになったのは御幸の熱愛報道されている女優が原因らしい。すべての責任を押し付けて会社は関係ありません。そんなの、ありかよ。でももなさんは決して俺の前じゃ泣かなかった。正確にはあの晩クリス先輩の前で泣いたのが最後らしい。必死に笑顔を振りまいている姿はよく言えば気丈なのかもしれない。でも俺には少し痛々しく見えた。泣いてくれた方が何倍もよかった。
俺は仕事帰りなんとなくもなさんの働いていた料理教室を見に行ってしまった。彼女のいない仕事場はどうなっているのだろうか。そうおもって見に行ったけどそこは変わらずに呼び込みなどをしている。呼び込みにしてる人にあの。と声をかけるとはい?と笑顔を向けられる。ここで働いていた、もなさんってかたご存知ですか?俺がそう聞くと女の人は顔を変えて記者かなにかですか。と聞かれる。いえ、ただの知人です。えっと、これ証拠です。そういって一緒に映った写真を見せるとようやく女の人は信じてくれたらしく久留野がどうかしましたか?と聞かれる。どうかというかただ・・・。彼女がしたってみんな思っているのか知りたいだけなんだ。あの報道のこと。そんなのしてるわけないじゃない!あの子はそんなことしないわ!私はずっと一緒にいたのよ!なのにっ・・・・。女の人はそういって悔しそうに顔を歪める。あのあといろいろ調べてあの女が仕組んだことだってわかったのっ。けど、もうあの子は全て諦めちゃってて。わたしそれが悔しくて。あんな女のために、今までのあの子の努力をすべて否定されるなんてっ。あの、調べたって、何を?監視カメラ。教室についてるからそれを見たときあの女がなにか入れてるのが映ってた。それを見せればきっと。その言葉を聞いた瞬間俺はすぐにその映像もらえませんか?!と食いつく。驚いた顔をした女の人に頭を深く下げてお願いする
「俺、ほんとはもっとささえてたいんっすけど全然ダメで。泣かせてあげることもできなくて・・・・」
諦めた顔をして。全てを受け入れる。そんなのして欲しくない。俺はタダいつもみたいに嬉しそうに、幸せそうに笑っていて欲しいのだ。それを見たら俺は安心できるから。もう一度頭を下げると女の人はちょっとまってて。といって仕事場に一度戻りそしてすぐに俺のところに戻ってきてくれた。これ。ホントはダメなんだけど。特別だよ。そういって女の人は俺の手の上にUSBをそっと置く。これは絶対かえれる。この状況を
「絶対、もなさんの無実証明するんで!お姉さんありがとうございやした!」
急いでもっち先輩に連絡しよう。先輩たちにも頼ろう。きっと青道のみんなの力を合わせれば。きっと。大丈夫だ。すぐに走り出そうとした俺に女の店員さんに君名前は?!とそう聞かれて俺は久しぶりに笑顔で沢村栄純ともうしやす。と名前を名乗った。
さぁ。今度こそあなたのホントの笑顔を作りましょうや


ここからが本番だとか知らなかっただろ?


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