やっぱり責任の全ては私が背負わされることになったらしい。調理師免許も剥奪か。そして何より仲間だとおもっていた仕事仲間の人間にも疑いの眼差しを向けられて正直ここでこれからも続けていける気はしていなかった。唯一後輩君と一番仲のいい同期だけが信じてくれたが、それだけじゃ、このことはどうしようもない。まだ結果は出ていないから免許剥奪にはなっていないがそれも時間の問題。そううえの人はお考えらしい。店長も非常に残念だ。とだけ言った。待ってください!先輩はそんなミスしません!そうです!この子とても真面目だし、それにおかしいじゃないですか。この子にすべての責任を押し付けるだなんてっ。そう反対するふたりにいいんだよ。と笑ってみせる。きっと話がついているのだ。先方と。たとえ私がしたことじゃなくても、これ以上店の名前に傷をつけれない。そういうことだろう。お客も減っているからなおさら
「最後に大変ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」
「まってよもなっ。こんなのって・・・」
「今まで本当にお世話になりました。ありがとうございました」
深く頭を下げてお店を出る。後ろから同期とう後輩くんが泣きそうな顔をしてこちらを見ていたので振り返って笑みを見せてばいばい。と手を振ってみせた。くよくよなんてしてたれない。次を探さなきゃ。もううつむいている悲劇のヒロインなんて気取っていたくない。どれだけかわいそうな子になっても、自分ではそう思わないようにしたい。そうじゃないと、本当に自分の足で二度と立てなくなる気がする。
御幸の家じゃなくて、クリスさんの仮の住まいにお邪魔していつものように夕食の準備を始める。栄純くんもあれからここで暮らすようになりクリスさんと栄純くんとわたし。という奇妙な住人関係だ。クリスさんは話していた通り少し遅めの時間に帰ってくる。とはいっても11時程度なのだけれど。でも今日は御幸の処に行くので少し遅くなるかもしれない。夕飯はいらない。とのことだった。栄純くんと二人で並んでご飯を食べてお風呂に入ってテレビを見てまったりとくつろぐ。今日は俺が甘やかすんです!といってなぜか私の背中に回り込んで抱えるような形でカーペットの上に座りながらテレビを見ているのはちょっとだけ気恥ずかしい。年下の子にこんなことされるのは初めてだ。
「明日俺仕事休みなんで帰りお迎え行っていいですか?」
「あーえっと・・・・仕事、もう行かなくていいんだよね・・・」
私がそう言うと栄純くんは驚いた顔をして私を上から見下ろす。やめてきたのだと素直に話すとあれのせいですか。と聞かれ苦笑するしかなかった。あれはもなさんの責任じゃっ。そうすることでお店の名誉が保たれるんだよ。そ、んなの・・・そんなのおかしいじゃないですか!うん。でもその理不尽なのが大人の世界だよ。御幸はずっと、その世界に苦しんでた。きっと今だってそう。でもあの人だってまだ頑張ってる。逃げ出さずに頑張ってるんだよきっと。だから私も頑張りたいの。しばらくアルバイトして、お金を貯めつつ就活をするわ。また違う仕事場になるっていうのは怖いけどでもやりたいの。自分にできるかわからなくても。何事にも挑戦できる強い人になりたいから。精一杯のつよがりだよ。こんなセリフ。でもまだ強がりたいんだ。お願いだから私に強がらせてよ。わたしの無茶なお願いに栄純くんはギュッと眉を寄せて強く私を抱きしめた。ごめんね。でももうちょっと。もうちょっとだけだから。そう繰り返して優しく頭を撫でるともなさんの馬鹿。とちょっとすねた声が聞こえた


馬鹿なお姉さんだね


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