あー、クソ。何このかわいくない返事。意味分かんねぇ。そう悪態をつきたくても自分に原因があるのはわかってる。そりゃきっと俺だってあいつ以外なら別によくね?と思ってたけど自分のしてることをあいつの立場に置き換えれば俺だったら監禁でもしそうなくらいだ。とはいってもどうやったって付き合いってのがある。先輩の誘いをそう何度も断るわけには行かない。そりゃ結婚とかすれば別だろう。けど、それを今もなにいったとしても受け入れるとは到底思えない。けどさ、やっぱさみしいとか。会いたいとか。そんな言葉言ってくれたらなぁ。別に倉持とのことは疑ってねぇよ。けど、それでも俺以外の男が頼られるのってすんげぇ嫌なんだよ。つか最近隠し事してんの知ってるし。倉持絡みで
「とはいってもそれで倉持に牽制してもな・・・」
今度倉持以外に頼られたらもっと困る。どうすりゃいいんだよ。さっさと囲ってしまえれば楽なのに。あいつの泣く姿なんて見たくない。けど、俺以外の男のもとに行く姿なんてもっと見たくない。そんな自分勝手な気持ちでいつもあいつを振り回して、泣かせる。いい加減、大人になるべきなんだけどな、俺も・・・・
しばらくもなとあまり口をきかない日々が続き、しかも合宿と遠征が重なり、しばらく会えなくなる。そのことは一応もなに伝えたが特に大した反応はなかった。さみしいとか、思ってくんねぇのかよ。なぁ、俺だけ?好きなのって?わかってる。不器用なりに自分の気持ちを一生懸命伝えてくれていることも。わかってるけどさ。不安なんだよ。俺の一番がお前じゃなくて野球であるように、お前の一番が俺じゃないなにかであることが。
「お前、もなにいって俺に隠してることあんだろ」
「は?」
「あいつがやたらお前のこと気にしてんだよ」
合宿の練習の休憩時間にそう問えば倉持は呆れた顔をして俺を見る。どうせ心狭い男だよ。分かってんだよ自分でも。仕方ねーじゃん?あいつのこととなるとほかとは違うんだから。
「俺の好きな女があいつの教室に教え子なんだよ」
「は?なに?おまえ好きな奴とかいたの?」
「いたんだよ。で、あいつがその女と俺の間取り持ってくれてるだけだ」
だから変な勘違いするな。といわれた。倉持に好きな奴。そりゃあいつもそこまでするな。兄貴の幸せを願う妹だし。つか俺も倉持がなんとか落ち着いてくんねーとほんとにあいつ結婚してくれなさそうだからさっさとまとまってくれる方が嬉しい。つか、こいつに好きな女。そう考えると思わずにやけてしまった。まぁ、なるほどな。って感じだな。それならもなが隠し事してるのもわかる。あいつ、お前のこと特別扱いだからな。お前だって十分そうだろ。俺とは別の特別扱いされてんだよ。沢村とかもだけど、なんかお前のは恋人通り越してる感じのやつ。はぁ?その好きな奴がもなとの共通の知り合いならそういうの気をつけろよ。誤解されないように。もなが仲良くなるってことは強気タイプの女じゃねぇだろ?だったらそういうの一つ一つ不安になると思うぜ。そういうもんか?そういうもんだよ。実際、もなだってたまに不安そうにしてるし。お前もたまにはちゃんとしたこと言えんだな。ああ、これ嘘じゃねーけど俺からしたらお前らの距離近すぎるから引き離したいんだよ。最後に本音をつければ倉持がげんなりした顔をする。
「あと、一応教えといてやるよ。ほんとは教えたくねーけど」
「なに?」
「この間泊まりに来てたときの朝、言ってたぞ。会いたいって」
「は?」
「誰にとは言ってないけど一人でキッチンで携帯見つめながら言ってた」
たしかあの日。朝からあいつからメールの返事が来た。ということは・・・。すぐに携帯を取り出して通話ボタンを押す。もちろん仕事中だからでないだろう。けどいい。ただこの言葉を聞いてたら
「この間はゴメンな。俺が悪かった。もうもな不足で俺死んじゃう。早く帰ってめちゃくちゃに抱かせて」
留守電にそうのこすと倉持が思いっきり俺に蹴りを食らわせた


素直じゃない君の可愛さは僕が知っていればいい


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