御幸とお付き合いしてから幸せな日々もあれば大変な時もある。まず、御幸の心が狭い。男とご飯行くというのがダメだとか言いだしたのだ。仕事や人付き合いだってあるのだと主張しても譲らない。お互いヒートアップしてしばらく口をきかなくなる。そんなときはどうしても周りを頼ってしまった。倉持はもちろん、先輩たちやひどい時は栄純くんたちまで。みんな揃って支えてくれていた。
そんな日々が続いていたら私の教えている生徒が倉持の想い人だと判明した。まさかの展開に正直頭がついていかなったけどいつもの鉄壁の仮面で乗り切って一度家に帰る。家には誰もいない。今日はオフだけど付き合いで御幸は合コンに行っているのだ。そりゃ彼女いますなんて大々的に言ってないしね。仕方ないと思うよ。プロ野球選手の奥さんなんて浮気されて当たり前とかネットで書いてあるのを見たどれだけ美人でも、だ。御幸はしないと思うけど、先輩たちの感覚は別。仕方のないことなんだけど・・・・。どうしてもモヤモヤしちゃうのだ。だからついつい冷たい態度をとってしまい、喧嘩になった。その時に倉持を引き合いに出されて納得いかなくて最後にひどいこと言っちゃった。どうせこんばんは帰ってこないだろうな。ちょっと出たところでの合コンだし。ホテルとか泊まってくるんだろうな・・・・
「さみしいなんて・・・・・言えないけど」
わかってよ馬鹿。一人でポツリとつぶやいた。こんなところに一人でいたくない。お財布といつものカバンを握って外に出る。スーパーにいってたくさん買い物して倉持の家に行っていつものように過ごしながら倉持の恋バナを聞いた。その頃には御幸への怒りとかもどうでもよくなってて、ただただ倉持が幸せになれるということに安堵した。絶対に幸せになってもらおう。いっぱいいっぱい迷惑かけてきた。そのお礼に。これからもかけるけどさ
倉持の家に泊まって目を覚ますと横で倉持はすやすやと気持ちよさそうに寝ている。そういえばわたしなんで倉持を好きにならなかったんだろう。正直、御幸より身近にいたと思う。本当に双子の兄がいるならば倉持だろう。と思うくらい倉持のことが大事だ。けど、恋にはならなかった。こんなふうに泊まることがあっても。何も間違いが起きないのだ。人に話せば相当驚かれるだろう。こんな話。
朝ごはんを作っていると携帯にメールが入っていた。誰からだろう。受信ボックスを開くとそこには御幸一也の名前が出ている。メールボックスを開けば今どこ?とだけ書かれていた。そのメールがなんだか悲しくて知らない。なんてそっけない返事を返してしまう。かわいくないの。自分で落ち込んでしまった。もっと可愛くしてないと、ほんとに見切られちゃうよ。さみしい。そんな一言がもし言えたら、こんなふうに何度も喧嘩しなかったのかな。喧嘩することが悪いことではないと思う。お互いのしていいことしていけないことを知るためにも。でも、それが多すぎればいいことにはならない。私たちのように、会える時間に波があるような関係なら特に。
「会いたいな・・・・・」
その一言が言えるような人間だったら、御幸が私の手を離したりはしなかったのだろうか


弱くないと虚勢を張る

prev next

 

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -