短編 | ナノ




幼い頃から一緒に暮らしてきた家族がいた。祖母の家から貰ってきた一匹の犬。とってもやんちゃだったその子に手を焼いていたのはもう随分と前のこと。もうすっかりおばあちゃんになってしまった。一緒に外で走り回るなんてこと出来なくなっていた。
それでも家に帰るとその子がいたし、隣で眠ることだってよくあった。居て当たり前の存在。その子がいないなんて考えれない。だって、17年も共にいたのだから。

「ただいま・・・」
通い審神者をしてもう3年が経つ。通いと言っても本丸でも寝泊まりする。その日の気分で現世の家に帰ったら本丸にいたりする今どき審神者だ。
最近では本丸に泊まることが多かったのだが、事情があってこの一週間はまるまるお休みをさせてもらって現世に帰っていた。
「やぁ、おかえり主。」
「ただいま、歌仙。」
出迎えてくれた歌仙は優しく私の頭を撫でてくれた。きっと聞かなくても察してくれたのだろう。昨日、私の小さな家族は空高く旅立ちました。
「明日から、ちゃんとやるね!お休みありがとう。」
「無理しなくてもいいよ。ゆっくり待つさ、君の心が落ち着くのを。」
「大丈夫。やれるよ私!」
「・・・今週はお休みにしよう。それで来週から少しずつ頑張ればいい。なに、少し休んだところで何も変わらないさ。」
「でも、私はもう社会人なんだから」
「大人が休んじゃ行けないなんて誰が決めたんだい?」
くすりと笑ってゆっくりおやすみ。といい部屋に私を連れていく。


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