短編 | ナノ
今日はうちの末っ子の誕生日だ
だからみんな朝からバタバタと走り回る
サプライズパーティーだから末っ子にバレないように
そのためにボンキュッボンのナースさんを二人も昨日の夜部屋に送り込んでしっかり眠ってもらうように仕組んだり、エースくんの見えないところで作戦会議が行われたり
みんな様々な努力をして今日を迎えていた
私はここのただの一般戦闘員だが本当の弟のように可愛いエース君のために頑張って今日まで準備を進めてきた
ここでの私の立ち位置は相談にのったり、マルコ隊長の書類整理を手伝ったり。つまり雑用お姉さんなのだ！
結構古株だしね！隊長さんたちと意外と仲良くやってるしね
そんなわけでエースくんとも仲がよく、今日は彼の誕生日ということで私も張り切って準備をしているのだ
今のところ準備は順調。このまま何事もなくすむーずに進めば
「なまえ！緊急事態だ！」
でもそうはいかないようだ
「まさかですね」
「まさかだよい」
マルコ隊長と二人で並んで言葉にならない驚きを体験している
まさかのエースくんがお熱を出したのだ
ふだんげんきのかたまり。半裸で歩き回るエース君が
今はベッドの中でうんうん苦しそうに唸っている
これはじゃお祝いどころじゃないな。
仕方ないけど今日のパーティーは中止だ
「マルコ隊長」
「ああ、祝いは中止だよい」
とても残念だけど仕方がない。
みんなに中止を知らせてこなければ
「では私は今から中止のことをみんなに伝えてきますね」
そう言って去っていこうとするとなぜかマルコ隊長に肩を掴まれる
そしてぐいっとマルコ隊長が親指で指しているのはエース君
まさか・・・・！
「看病お前がしてろい」
「わ、私がですか！？」
「ああ、お前だ」
「いや、でも・・・ナースさんほうがよろしいんじゃないかと・・・」
私そういう病気類とか詳しくわからないですよ!!
「ただの風邪だ。ただ様子を見てろ」
「なにかあったらどうするんですか！？」
「大丈夫だ。こいつのことだ、直ぐに治る」
それだけ言うと本当にマルコ隊長は素早く去っていった
なんて冷たいことを言うんだ・・・・！
というか本当に私が看病するの！？
どうしようとあわあわしているとまたエース君の苦しそうな声が聞こえる
「仕方がない！」
私は自分の両頬を自分で叩いて気合を入れる
お姉さんなんだから弟の面倒しっかり見なきゃ！
気合を入れると直ぐにそばに置いてあった水桶にタオルを浸し、絞ってからエース君の頭に乗せる
それから顔の周りの汗を拭いて、布団をしっかりと着せた
「早く元気になって・・・・」
こんな弱ってるエース君見たくないよ
いつもの笑っている元気な姿がいい
私はそっとエース君の頬をなでた
するとエース君の目がゆっくりと開く
「なまえ・・・？」
その目が私を捉えると大きく目を見開き驚いた顔をしていた
「うん、そうだよ。どう？大丈夫？」
「部屋、でないとダメだ・・・。うつっちまう・・・」
どうやらエース君は自分がしんどくてもなお私のことを心配してくれているようだ
本当に優しい子だな
「大丈夫だよ。それよりゆっくりと休んで」
「ダメだ・・・だって・・・なまえが苦しむ姿、みたくねぇ」
そう言ってエース君は顔を歪める
熱のせいでかな。今にも泣いてしまうそうな顔をしている
だから私はそっとエース君の手を握った
泣かないで。そんなことを思いながら
「大丈夫。もし私が風邪をひいても、すぐ治っちゃうから」
「でも・・・」
「それでもエース君が気になるなら、もし風邪伝染った時は看病してくれると嬉しいな」
私がそう言って微笑むとエース君は困った湯な顔をする
「私もエース君の辛そうな姿見たくないよ」
両手でエース君の手を握って自分の顔の前に持ってくる
そして優しくくちづけて祈るように額にその手を当てた
「だから、早く元気になって。」
私がそう言うとエース君はそれまでより顔を真っ赤にさせて固まっている
熱上がっちゃった！？しんどいのに話しかけたせいかな?！
「エース君大丈夫？」と声をかけるよりも先にばっと布団を被って顔を隠してしまう
そんなことしたら息苦しいのに
「手・・・・握っててくれるか・・・・眠るまででいいから」
布団にもぐったままそんな可愛いお願いをされて私の頬はゆるりと緩み笑顔で「起きるまでずっと握ってる」と返した
家族から撓らせの時間のプレゼント
おいマルコ！本当にエースの部屋になまえ入れてきたのか！？
ああ。入れてきたよい。
こりゃしばらくあの部屋には近寄れないな
兄貴達からの特別プレゼントだからねい。明日の朝には回収しに行くけどねい
お前・・・鬼だな・・・・
じゃぁお前があいつの分の書類整理してくれるのかよい
よーしエース！明日まで楽しめ！
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