エイリア学園で宇宙人ごっこをしていたことなんて、今ではもうただの笑い話になっている。そんなこともあったね、色々と苦労したよね、なんて。だけどあの日々は確かにあったことで夢でも何でもない。俺はサッカーを破壊の道具に使った。どんな理由があったにせよ、俺はまだ自分を許せずにいる。大好きなサッカーを、俺は穢したんだ。

「ヒロト、今日元気ないな?どうかしたのか?」

 練習後のストレッチを円堂くんと組んでやっていたら、彼から心配そうに尋ねられた。円堂くんは意外とチーム全体を見渡すことのできる人間で、恐らく意識せずにそれをやっているのだから、この個性的なメンバーを纏めることができているのだと思う。みんなも何だかんだで円堂くんの持っているものに惹かれるところがあって、円堂くんがキャプテンであることに不満を洩らす奴なんか一人もいない。何より、このチームで一番のサッカー馬鹿なのだから、やはりキャプテンは彼であるべきなんだ。

「元気ないかな?俺はいつも通りだよ」
「そっか、ならいいんだ!」

 ニカッと太陽のように笑う円堂くんを、俺は未だに直視できずにいる。イナズマジャパンでみんなとプレイすることに後ろめたさを感じている。俺のような人間に、こうやってボールに触れる権利が、背番号をもらう資格があるんだろうか。考えすぎと言われればそうなのかもしれない。でも俺のこの蟠りはそうやって割り切れるものではないんだ。

「円堂くんの笑顔は、眩しいね」

 その何の偽りもない笑みが、俺の心の醜い部分を一層際立たせて。俺はひとりで罪悪感を覚えてはいつも目を逸らしてしまう。

「ヒロトの流星ブレードもすっげー眩しいよな」
「そう、かな」
「ああ!流星ブレードならヒロトが宇宙にいてもすぐに見つけ出せるぜ!」

 そうだろうか、むしろ俺の方が先に円堂くんを見つけだす自信がある。君の声は大きいから、きっと何処にいたって聞こえるんだ。

「サッカーをしてるお前は、いつだって輝いてるよ!」
「ふっ、なかなかクサいセリフだね」
「えっ、そうか?」
「そうだよ」

 少し照れたようにバンダナの位置をずらしながら、円堂くんはまたニカッと笑んだ。

 俺の必殺技は眩しいのかもしれない、何てったって流れ星だから。でもね、円堂くん。俺にはやっぱり君は眩しすぎて、今でも目が眩んでしまうんだ。俺のサッカーは輝いてなんかいない。君からの光を反射しているだけであって。それでも俺がサッカーを続けるのは、君と同じように俺も、サッカーが好きだから。

「円堂くん」
「ん?」
「ありがとう」

 俺はサッカーが好きだったんだと、思い出させてくれて。円堂くんの眩しさに目を細めながら、俺は少しだけ笑った。




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