※年齢操作
「鬼道くんさぁ、正月から仕事しなくてもいーじゃん」
「このデータは今日中にまとめておかないと父さんが困るだろうから」
1月3日、年始も終わっただろうかと鬼道くんに"会いたい"とメールを送ったら割とすぐに来てくれた、ただしノートパソコンを持って。忙しいならそう言ってくれれば我慢するのに何も言わずに駆けつけてくれるのは嬉しい。でも仕事ばっかりで構ってくれないのはつまらない。小さなテーブルで黙々とキーを打ち続ける鬼道くんを、俺はベッドに寝ころんで見つめていた。
「だからって俺んちに仕事持ち込むなよ」
「不動が会いたいと言ったんだろう」
「そーだけど…」
「俺も早く会いたかったんだ」
そんなこと言われたら何も言い返せないじゃんか、俺は赤くなった顔を見られないように寝返りを打って背を向けた。分かってたんだ、あの鬼道財閥の長男氏が忙しくないわけがないって。それでも来てくれると思った、だから俺は鬼道くんの優しさに甘える。他にも仕事はあるだろうにそっちのけで今日絶対に仕上げなければならない最低限のものだけを有り得ねぇスピードでこなしてんだ、俺が初詣に行きたいなんてワガママを言うから。甘えっぱなしの俺もあれだけど、俺を甘やかす鬼道くんにも問題があると思う。
「初詣ぇー綿菓子食いてー」
「分かったから、少し待ってろ」
そうやっていたら次第に瞼が重くなってきた、どうせまだ終わらないだろうからと俺は微睡んできた意識を易々と手放した。
「不動、起きろ」
「…ん、ぅ……き、どーくん?」
「初詣行くんだろ?」
うっすらと目を開ければ鬼道くんが俺を見下ろしていた。あ、そうか、鬼道くん仕事終わったんだ。初詣、行けるんだ。
「…………」
「不動?」
初詣なんて、どうでもいいーや、それよりも今は鬼道くんを独り占めしたい。俺は体を起こして鬼道くんに勢いよくキスをした。歯がガツンと当たって痛かったけど気にしない。
「…痛い」
「もう家にいようぜ、さみぃしめんどくさい」
「お前な…俺がどれだけ急いで……」
俺はまたベッドに仰向けに倒れ、両腕を広げた。
「おいでよ鬼道くん」
「初詣行くぞ」
「えー、もういいよ初詣なんか」
鬼道くんは嘆息をもらして俺に覆い被さった。首に手を回せば鬼道くんは俺の耳に唇をあて、低く囁く。
「帰ったら存分に甘やかしてやるから」
そうして耳を軽く食んでからもう一度"行くぞ"と言った。鬼道くんは昔よりだいぶ大人になったってか慣れたってか。俺をやりこめるのがものすごく上手くなったと思う。前は俺が主導権握ってたのにな。何だよあの声、反則だろ。鬼道くんは俺の上から退きスタスタと玄関へ向かってしまった。俺は上着を羽織りマフラーを巻いてその背を追った。あ、やべ、ポケットに財布入れるの忘れた。…まあいっか、お賽銭と綿菓子は鬼道くんもちってことで。