小説 | ナノ


  タイバニ転生 02



あれよあれよといううちにHEROになるための契約を済ませ、彼女の会社の社員に。
もともとフリーだったから退職だなんて面倒なことはなかったけれど、契約云々も彼女が勝手に進めてしまったらしく私がすることは殆どなかった。
因みに彼女というのは、私が今日から働くこととなった大手化粧品会社、プラネテスの社長のラミア・ラーベンス。
大きい会社らしくて既に洋服会社とかなんか色々買収してるらしい…景気の良い事だな。
どうやら彼等が彼女を狙った理由は身代金目当てだったらしいが、今となってはどうでもいい。
今は彼女のチェックの下、ヒーロースーツとやらを合わせているところだ。
私は別にスーツでもいいといったら叱られてしまった、なんでだ、そんなに服装が重要なのか。
スーツで怒られたらリボーンにも怒られるぞ(彼曰くマフィアの戦闘服らしいから)。


「イメージは猫!ちゃんとやってくれた?」


「バッチリ猫耳も準備してますよ。マスクはどうします?ブルーローズみたいに常に出しますか?スカイハイみたいに全部隠しますか?」


「ううん、顔出しもいいけれど怪我したらまずいわ。マスクの着脱可能なものがいいわね。出来ればボタン一つでスマートに!」


「じゃあ猫耳のヤツにその機能も付けておきます」


和気藹々と話しているのはいいけれど、私は完全に蚊帳の外。
私のスーツだけれど…まぁいいか。


『それにしても、なんで猫がイメージなんです?』


「だってあなた、猫目なんだもの」


『?そうですか?』


「そうよ!鼻はツンとしてて小さいし、口もさほど大きくないし顎のラインは綺麗だし。あぁ、見れば見るほど猫ちゃんだわ!」


『…そんなに猫っぽいですかね』


「これ付けて鏡を見てみるといい」


ラミアさんと話しこんでいたメカニックのケイハムさんが、私の頭に何かを装着する。
軽いけれど特殊な作りらしく、私が暴れてもそう簡単には取れなさそうだ。
ほら、と指差されたところには姿見ぐらいの大きさの鏡が。
頭に装着されたそれを微調整してから鏡を覗き込めば、ばっちり猫耳が付いていた。
何かのセンサーが入っているらしく、ピクピクと小さく動いている。


『すごい…動くんだ』


「名前ちゃん、にゃー、って、言ってみてくれないかしら」


口元を隠しているラミアさんが震える声で伝える。
首を傾げれば、ケイハムさんは苦笑い。
どうやら言うしかないらしい。


『…にゃー、?』


「ぶはぅ!」


「社長ぉぉぉおお!!」


「ははは」


「笑ってる場合じゃないですよチーフ!」


「お前も鼻血出てるぞー」


鼻血を吹き出したラミアさんに、彼女に駆け寄る別のメカニック、笑うケイハムさん。
確かにケイハムさんの言うとおり、駆け寄ってきたメカニックさんの鼻からは赤い液体が出ている。
状況の把握が出来ていない私にケイハムさんが近付き、猫耳を外してくれた。


「付け心地はどうかな」


『大丈夫です。これなら暴れても問題なさそうですね』


「戦闘時は社長の提案通りフルフェイスに出来るようにするから、そうすればもっと安定感が出るよ」


『助かります』


「…にしても、本当に猫っぽいね」


再び猫耳を頭につけたケイハムさんがしみじみと言う。
因みに社長達は放置の線らしい。


「ウィッグとかも用意してるんだ、試してみよう」


あとスーツもね、とケイハムさんに腰を抱かれて奥まったところに進む。
前を歩く彼が嬉しそうに鼻歌を歌っていたのは黙っていてあげよう。



HEROデビューまであと少し!


『ウィッグは短いんですね』


「長いと戦うとき邪魔だろう?スーツもそんなにゴツくないしね」


『なるほど、』


***
ラミア・ラーベンス
プラネテス社長。年齢不詳だが決して若くないらしい独身女性。やり手のキャリアウーマンだったが上司の無能さに呆れ、自分で起業したら成功しちゃった人。ちゃっかり屋さんで結構見境がなかったりする(それで苦労するのは彼女の側近だとかそうじゃないとか)。能力があれば基本どんな人でも取り込んじゃう。性格ははっきりいって二の次だけど社内で衝突が起こると面倒だからそれぐらいの配慮はしている。好きな動物は猫科動物全般のため名前のスーツを猫にすることにこだわった。猫科×猫科企画したいなとかで虎徹×名前の絡みを内密に進めてるとか進めてないとか。化粧品関係ではバーナビーと一緒にやりたいと画策中。子供が居ないため名前を娘のように可愛がっているがネタにすることもしばしば。第三者曰く「あからさまなのに時々分かりにくい愛情表現」らしい。

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