小説 | ナノ


  タイバニ転生 01



この世界に生まれて早二十数年、日本を出てシュテルンビルトに移り住み始めて数年。
こっちの大学には通っていなかったけれど、向こうでは巷で言うところの超有名大学を出たし、スパナや正一、ジャンニーニに付き合って研究とかもしていたから、そういう面にも強くなってしまった。
現在フリーのプログラマーをしている自分には、大分助けになっているけれど。
因みにこちらの両親はまだ私が幼い頃、何者かに殺されてしまったらしい。
過去の両親も同じように死んでしまっていたから、自分には何か憑いているのではないかと悲しくなった。
ここの両親は、普通の人だったから。


『…なーんて、しみったれても仕方ない、か…』


はぁ、と小さくため息をこぼした私、苗字名前。
偶然にも名前は昔の、謂わば"前世"のものと同じ。
いや、前世というには少し違うのかもしれない。
よくテレビとかに出てくるようなおぼろげな記憶ではなく、はっきりと覚えているし、死ぬ気の炎も、剣術も銃器もトンファーも体術も、彼等に教えてもらったものはこの身体にもしっかりと記憶されていた。
最も、施設暮らしだったから怪しまれないようにするために人前では何もしなかったけれど。
成人し仕事を見つけ、晴れて施設から出た私はここ、シュテルンビルトに越し、ブロンズステージのマンションに一室に住んでいる。
ここは治安が悪いと評判の通り、確かに治安は悪い。
だけどゴールドステージのものは物価が高いし、ブロンズステージなら日本のものが手に入りやすいからやはりこちらのほうが勝手が良いのだ。


「はっ、離しなさい!!」


「ひひっ、いいからこっち来なぁ!」


…こんなことがなければ、の話だが。
はぁ、とため息一つついて声のするほうへ。
気配は6つ、襲われている女性一人に屯する男5人、全く以って無粋な輩。
「マフィアは女に優しいんだ」なんてどこぞの家庭教師の言葉が頭をよぎるが、生憎私はもう、マフィアじゃない。


「この女っ!」


なかなか言うことを聞かない彼女に痺れを切らしたであろうチンピラの一人が彼女に向かって拳を上げる。
別にこのまま見過ごしてもいいのだけれど、やはり放っておくのは気分が悪い。
チンピラと彼女の間に身体を滑り込ませ、トンファーを"作り出す"。


ゴツンッ


「ぃいってぇぇええっ!!」


『女性に手を上げるのはいただけないですね』


「おっおいっ、こいつ、NEXTだぞ!」


はいそうです。
この世界で新たに身についた力、総称してNEXTというらしいですが、詳しいことは今も研究中との事らしく。
因みに私の能力は"想像を具現化する能力"で、試しに匣なども具現化したらうまく出来て安心した。
最近は疲れた後にベスター(XANXASの匣兵器)の鬣をもふもふするのが楽しみ。
生きているわけじゃないから獣くさくないし、ペット用品も必要ない。
、なんて、今はそれどころじゃなかった。
なかなか彼女を連れてこないこの目の前のチンピラに痺れを切らしたのか、次から次へと車がやってくる。
あぁ、こちとら疲れてるのに。
後ろで不安そうに震えている彼女に視線を向ければ、小さな声で語りかけてきた。


「あなた…」


『逃がしてあげたいのは山々ですけど、こう囲まれてると面倒ですね。済みませんが少し待ってていただけますか?』


「え、えぇ」


「よく見たらこの女も上玉じゃねぇか!しかもNEXTと来た!」


どうやら私も標的に加えられてしまったらしい。
全身を舐めるように這わせられる視線が気持ち悪い。
あぁ、全く


『…手加減できそうにありません』


「手加減…?舐めてんのかこのアマぁああ!!」


わっと一斉に襲い掛かってきた連中。
類は友を呼ぶというけれど、どうやら彼等の中には頭の中にちゃんと脳みそが詰まった人間は居ないらしい。
トンファーを構えて、僅かに"雨"の炎を練り込む。
普通に気絶させてもいいけれど、こっちのほうが昏睡する時間が長いからあとから警察を呼んでも逃げられることはない。
迫ってくる刀も銃もメリケンサックも鈍い、遅い、軽い。
ざっと見て50人居た黒服はものの5分足らずで全員沈んだ。
潰し甲斐のない連中、最も期待なんてさほどしてなかったけれど。
ふああ、と欠伸をしてから能力を解けば消えるトンファー。
護身用に普通のトンファーも持っていたほうがいいだろうか…赤いヤツあるし、一々NEXTだと騒がれるのも面倒。
死屍累々の身体を踏み潰しながら、腰が抜けたように座り込んでいる彼女に近付く。
返り血を浴びるなんてヘマして居ないから問題ないはず。


『お怪我は?』


「……」


…刺激が強かったのだろうか、彼女は呆然と私を見ているだけ。
ううん、このまま放っていくのは不味いかもしれないけれど早く家に帰りたい。
さて、どうす


ガシッ


勢いよく手を掴まれたと思ったら、相当な力で握っているらしく。
痛みに慣れてるといってもそれなりに痛いぞ…何なんだ一体…


『……?』


「ねぇ、あなた!」


HEROにならない!?


『………は?』


「給料いいわよ!それにあなた美人だしプロポーションも問題なし!十分モデルとしても売り出せるわ!」


『ん、んん?』


「そろそろHERO事業に手を出そうと思ってたのよ!十分強そうだし、あなたなら上位を狙えるわ!」


『あぁ、はぁ、』


…というわけで、



HEROになっちゃいました


『成り行きなのは仕方ない、日本人だから』


***
ブラックキャット/苗字名前 スポンサー−大手化粧品メーカー(洋服なども有り)のプラネテス、
復活の世界からの転生者で炎は全系統が使える。想像を現実にするNEXT。炎はNEXT能力じゃないけど説明が面倒だからNEXTってことにしてる。匣を具現化して戦えるが、基本的には普通の武器で対処するし、十分足りえる。もふもふしたい時はライガーのベスターがお気に入り。グローブはツナのも使えるけど相性はジョットのグローブの方がいいらしい。普段から具現化していて見た目はただの黒の皮手袋。零地点突破もファーストエディションの構えだけどイクスバーナーとかも使えたりするから我ながらどうなんだろうとか思ってるとか思ってないとか。純日本人で黒髪、瞳も黒。肌は白くて体型はスレンダー。20歳のプログラマー。昔はハッカーだったとかそうじゃなかったとか。猫目の美人さんで口調は基本ですますだけど敬語を外すのが苦手でタメ語では単語で途切れ途切れになってしまう。性格もしっかりしてると思いきや猫みたいに気紛れ。スーツはライダースーツを基に設計したもので、防御より機動性重視。マスクは収納可能な設計。


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