小説 | ナノ


  言葉じゃなくていいから愛を



※謎の彼女Xパロ

「なあ渡久地ー」


「何だ」


試合終了後のロッカー。
男ばっかでむさくるしいけどまぁそれは仕方がない。
そんな中、俺のロッカーと一番地かいい出口が話しかけてきた。
今日の試合の解説ならやんねーぞ、自分で考えやがれ。


「いやそうじゃねぇよ」


どうやら今日は違うらしい。


「いやな、お前ってそういうキャラじゃねえって事は分かってっけど…名前ちゃんにちゃんと"好き"とか言ってやってんのか?」


「は?」


俺としたことが、出口の質問に気の抜けた返事をしてしまった。
まさかあんな質問が来るとは思わなかったなんて心中で言い訳をしつつ、出口の言葉に一応耳を貸す。


「こないだ街中で名前ちゃんがナンパにあってんの見たぜ?やっぱ可愛いから仕方ないんだろうけどさ」


「いつだ」


「え?あー…バッティングセンターの帰りだったから…3日前くらいだったかな。昼だったはずだ」


「ふーん…」


あいつ…黙ってたな…家に帰ったら問いただしてやる。


「名前ちゃんはお前みたいに無愛想じゃないし、つーかお前が無愛想すぎるんだよなぁ…」


「余計な世話だっての。いーんだよ、別に言葉にしなくたって伝わんだから」


「…なんか、お前が言うとエロいな」


「訳分かんねえ」


「まぁ、お前が高見に足元掬われるなんて事はねえと思うけどさ。名前ちゃんは幸せにしてやれよー」


お前は親父か、なんて事を言ってしまいそうにさせる出口の言葉を背にロッカールームを後にする。
口々に挨拶をしてくる奴らに手を上げることで返事をすれば誰一人として文句を言う奴はいなかった。


「つーことがあった」


『へぇ…出口さんがそんなことを…』


家に帰ってから夕飯も風呂も済ませて、今日はリビングな気分じゃなかったから2人して早々に寝室に入った。
名前を胡坐の上に乗せて今日あったそんなことを話す。
俺に背中を向けている名前の髪の毛を弄っていると、名前が可笑しそうに笑った。


『ふふ、出口さんお父さんみたい』


「それは俺も思った」


足をぷらぷらさせてる名前を抱えて後ろ向きにさせる。
くちゅ、と口の中で少しよだれを溜めた。


「ほら、口開け」


『、ん…』


別に普通に口付けてもいいけど、はっきり伝えるんだったらこっちの方がずっと効果的だっつーことが分かった。
最も、この方法が使えるのは名前に対してだけから他の奴には使えねえけど。
まぁ、はなから使う気もないから別に構わない。
恥ずかしそうに顔を少し赤らめた名前の小さく開いた口に噛り付いた。


『、っ…んんーっ!!』


「、」


ぬるりと舌を侵入させるのと同時に、口の中に溜めていた涎も名前の口内に送り込む。
行き成りだったから対応できなかったのか、さして抵抗されることなく入っていった涎。
その直後に顔を更に赤く、というかまるで林檎だな…そんな顔をしたこいつは俺を引き剥がそうとしてんのか、ぐいぐいと胸を押してくるけどお前の力が俺に敵うわけねーだろ、とさらに深く口付ける。
暫く続いたその抵抗も諦めたのか、それとも身体に力が入らなくなったのか、徐々に力が抜けていって、そのうち抵抗もしなくなった。


『ふ、んっ…ぅんん…』


「ん…」


悩ましげに顰められた眉に溢れた涙で濡れた睫、赤く染まった頬が嫌に扇情的で俺はいつもそんなコイツに欲情する。
そんでもって文句も言われるが…八割方自分のせいだって事に気付いてねえから質が悪い。
けれど行為さえ始まってしまえばこっちのもの。
何から何まで、例えるなら真っ白なキャンパスだったコイツをじっくり時間を掛けて俺好みに仕上げたんだ。
俺の挙動に見合った行動をする名前が酷く愛しい。
時々見せられる抵抗だって、俺を誘っているようにしか見えないのだから。


『…いつもいつも恥ずかしい…』


「言葉にするよりか?」


『ん…言葉は言葉で恥ずかしいけど…』


涎は、東亜の気持ちがダイレクトに伝わってくる、から…


そう恥ずかしそうに言いながら顔を背けた名前の口端からは、飲みきれなかったであろう唾液が垂れている。
俺のなのか名前のなのか分からない其れを舐め取れば、それは酷く甘く感じられた。
恥ずかしがって文句は言うが、コイツが満更でもないことを伝えてくれる。


「名前…」


『、東亜、また…?』


「今日は思いっきり俺の気持ちを伝えてやるよ」


『も、もう十分だってっ』


「出口に言われたようなことがあっちゃ困るからなあ」


『そんなことあるわけ無いって分かって、んっ』


名前の言葉を遮ってまた唇を重ねる。
警戒してか硬く結ばれたそれをこじ開けてやろうと、俺はコイツの身体共々ベッドに沈んだ。



(んっ、ふぁ、…んむっ)
(んちゅ…いいな、涎で伝わんの)
(ちゅ…別に言葉、でも…ん、)
(つまんねーだろ)
(んんぅ…別に、面白さは求めてない…ちゅ)
(それは、ざんね、ん…)
(ね、んっ…喋るかキスするかんっ、どっちかに、した、ら…んんっ)
(ほら、いーから、集中しろ)
((そう言って流し込まれた涎から))
((本日何回目かも分からない愛の言葉が脳髄に響く))

分かる人には分かる…涎で感情が伝わる、みたいな…表現できてないけどまあいいか←
普通にディープキスもするけど感情を伝えるときはその時以上に涎の量が多いとか…そんな設定もあるけど一体どれほど涎を使えばいいものか悩む
東亜は口にするよりこの異質な体質を使って名前を攻めて攻めて攻めまくります。
押しに弱い名前には刺激が強すぎるから完全に東亜にペースを持ってかれる



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