小説 | ナノ


  終焉は嘘と眠れ



今回もやってきた壁外調査。
巨人が現れてもさほど動じることのない、きちんと躾された馬に揺さぶられながら進んでいく。
名前が乗っているのは、リヴァイと同じ黒毛。
イノセンスを使ってしまえば一番楽なのだが、残念ながら彼女の能力はまだ広く知れ渡っているわけではない。
現時点でこの能力の事を知っているのは、調査兵団の上層部を含めた一部の人間。
それとピクシス指令、ザックレー総統。
なぜ後者二人がそれを知っているのかは、また後ほど語ることにする。


「壁外調査を開始する!進めー!!」


兵士たちを鼓舞するかのようなエルヴィンの声を聞きながら、名前は自分の背後をちらりと見遣る。
いつもならばリヴァイの隣が彼女の定位置であるのだが、今回は新兵が多いということで、彼女も新兵を受け持つことになった。
実力者ぞろいのリヴァイ班に比べ、今回特別に組まれた班、仮に名前班と呼ばれているその班は、ほぼ新兵で実力は未知数ではあるものの、実力は圧倒的に劣る。
その為、比較的安全な地点に配備された彼女の班は、リヴァイの率いる班とは遠くに位置していた。
勿論初めのころは不機嫌丸だしだったが、リヴァイは話の分からない男ではない。
渋々ながらも了承し、普段何も巻かれることのない彼女の首に、自身のスカーフを巻いて離れて行った。


「汚さず返せよ」


『ふふ、分かりました』


ちゅっ、ちゅっ、と短いキスを繰り返してから颯爽と前方の方へと馬を進めていくリヴァイの背中をしばらく見つめた名前も、自身のいるべき場所へと戻っていった。
そんなことをぼんやりと思い出しつつ、不安そうな顔、青白く、今にも死にそうな顔などを一瞥した彼女は、視線を前方に戻す。
いくらリヴァイ班が前方の、巨人との接触が一番多いであろう地点に配置されていると言っても、あそこにいるのは巨人殺しのスペシャリスト。
逆に自分が率いているのは、巨人に遭遇したこともない新兵たち。
恐らく今日は使い物にならないと考えれば、いくら安全と言われている場所に配備されていると言っても、こちらの方が危険だと考えるのが妥当だろう。
念のためにエルヴィンに進言して同僚であるサケスを同じ班に配置してもらったし、彼自身の戦闘能力もリヴァイ班に居てもおかしくないくらい申し分のないもの。
しかし、果たして2人だけで、この5人の新兵をカバーしきれるかどうか…。


『(ごちゃごちゃ考えても仕方ない…)』


広い平地に出て陣形が広がれば、隣を走っていた別の班の人間たちが遠ざかっていく。
頭に叩き込んだ陣形を崩さぬように馬を進めていけば、右側に連なるように上がる煙弾。
名前は自分のすぐ右斜め後ろを走っていた青年に視線を向ける。


『ダルト、煙弾を』


「は、はいっ!」


馬に装備されている鞄の中から煙弾を取り出し、装着。
ばしゅっ、という音ともに、同じ色の煙弾が空に飛んでいった。
ふと、一番後ろを走っていたサケスが並走しながら彼女に声をかける。


「名前」


『、サケス?』


「…嫌な予感がするんだよね」


『…はは、いやだな…私もするよ』


苦い笑みを浮かべる名前。
元々勘がいい名前とサケスだが、2人の予感が一致するときはあり得ないぐらいにぴたりと的中するのだ。
この壁外調査における最悪の想定、それは奇行種に遭遇することだ。
奇行種相手にのみ課せられた戦闘。
これが名前やサケスだけだったら何ら問題はないのだろうが、今回は新兵を抱えている…もしパニック等になってしまえば、予想もしていない事態が起こってしまう可能性も無きにしも非ずだ。
二人はこの予感が当たらなければ、と思ったが、どうやらそうはいかなかったらしい。


「黒の煙弾…!」


「副兵長!奇行種です!!」


『索敵はやられたか…』


位置からして明らかに、索敵班が位置しているよりも内側に進行している。
名前は後ろを振り返り声を張り上げる。


『奇行種は私で始末する!新兵たちはサケスと一緒に離れてて!』


了解の声と共に響いてくる大きな足音。
ダスンダスンッ!というそれは、黒の煙弾が打たれた方向から現れた奇行種のものだった。


『はぁ…イノセンスが使えれば楽なのに…』


奇行種だけではなく、自分の上司が不可解な道具で戦えば彼らはさらにパニックに陥るだろうという考慮の下、立体機動装置の不利な平地であえてそれを使用する。
アンカーを奇行種の腰のあたりに突き刺し、馬から飛び降りると、ザザザッとブーツで地面を擦りながら近づき、足の腱を切断、倒れたその勢いとアンカーを巻き取りながらの力を利用して一気に項を削ぎ落す。
まさに鮮やか、奇行種を、しかも立体機動装置の不利な平地でたった一人で倒してしまうその技はまさに副兵長の名に相応しいもの。
ぴゅう、と口笛を吹いたサケスだったが、表情を変えて再び後ろを振り返った。


「名前!!奇行種が来る!」


『!?』


振り返ったそこには、先ほどあげられたであろう黒の煙弾、そして響く複数の足音。
動きからして、全て奇行種。
最悪だ、と言わんばかりの表情を浮かべた名前は馬に飛び乗り、新兵たちに言う。


『君たち3人は伝令!右後方から奇行種の大群!いいか、絶対にバラバラになって走るな!』


「あんた等二人はここに残って奇行種の手の届かないところに避難してろ!」


「「「は、はいっ!」」」


伝令を任された3人は馬を走らせていく、2人は馬に乗りながら、巨人に向かっていく名前とサケスを見送った。


『ついてないなぁ、もう…』


「あそこに残ってるのがミリッツとヤエスだったらあっという間なんだけどなあ」


『贅沢は言わない…サケスがいるだけマシだよ』


名前のその言葉に笑みを浮かべたサケスと共に、馬から立体機動に飛び移る。
巨人の血を浴びながら1体、2体と片付けていく名前の耳に、新兵の叫び声が届いた。


『!』


取りこぼした奇行種が新兵に向かっており、既に目と鼻の先。
このままでは、と頭の隅でエルヴィンに謝りながらイノセンスで黒い靴を発動した名前は、奇行種に掴まれそうになった新兵を突き飛ばし、代わりにその手の中に自身を身代りにした。
ぎゅ、と掴まれれば内臓が飛び出そうになるものの、腕を張って何とか胴体を守ろうとすれば、両腕から不気味な音が上がった。


『あ゛ぁ゛っ!』


「名前!!」


『く、そっ』


両腕が折られた、このままでは戦えない。
壁外調査に出ているのは調査兵団だけ…と頭の中で一瞬考えた名前は、神ノ道化を発動し、両腕にベルトを巻き付け、加えて巨人の手の中にある影を操りその太い指を切り裂く。
アレンの様な白では目立つだろうが、黒ならばそこまででもない。
だらだらと流れる血も、目立たないのに一役買っているのだろう。
けたたましい声を上げる巨人の背後に回り、ベルトで折れた腕を動かしてその項も削ぎ落した名前は馬に飛び乗る。
向こうに残してきた奇行種はサケスがすべて始末してくれたらしい。
この壁外調査が日帰りのものでよかった、と、考えながら、遥か向こう、エルヴィンが打ち上げたであろう撤退の煙弾を視界に入れた途端、意識を失った。


『ん…』


「名前っ」


『……リヴァイ、さん…?』


「名前、よかった…!」


少々やつれた様子のリヴァイは、目の下の隈がいつもよりも濃くなっているように見えた。
彼に触れようと腕を上げようとしたが、感覚がなくなっているかのように動かない。


「…麻酔だ、しばらくは動かねえ…骨も砕けてるが…くっつけば復帰できるそうだ」


『そ、ですか…』


「馬鹿野郎…無茶、しやがって…」


『ぁ…スカーフ…』


「んなのどうでもいい…生きて帰ってきてくれりゃあ、な…」


そう言って、リヴァイが、腕をまきここまないように優しく名前を抱きしめる。
リヴァイに触れたいと思うものの、腕は折れているし、無理にイノセンスで動かせば目の前の男が怒るなんてことは想像に容易い。
自身の首に顔を埋めているリヴァイの、傍にある耳にちゅっ、と口付け、心配かけてごめんなさい、と囁いた。


「名前…」


『、ぁ、…んっ』


不安そうに揺れた眸が眼前に迫ったかと思うと、唇に、少しかさついたリヴァイのそれが重ねられる。
あっという間に舌をねじ込まれ、名前は苦しげな声を上げながらも自分の口内をねっとりと荒していくその舌に応えようと、小さく柔らかい舌をリヴァイの舌に絡めた。
ぢゅるっ、と舌を引っ張り出され、その根元をあむあむと甘噛みされれば、リヴァイに開発された体は、否応なしに震え、下腹部に甘い痺れをもたらす。
その暫く後、ようやく解放され、胸を上下させながら息を整えている名前の両頬を包み込んだリヴァイが、こつん、と額をくっつけながら名前を呼んだ。


「生きていると、実感したい…触れてもいいか…」


『、リヴァイさん…』


「…悪い、さっき、目覚めたばかりなのにな…」


あぁ、誰がこんなに、弱々しくなってしまった人類最強を見たことがあるだろう。
名前はリヴァイがこんなにも自分を心配してくれたことに優越感を覚えながらも、罪悪感も同時に感じていた。


『リヴァイさん…私に、触れて…』


「、止まらねぇぞ…」


『私も、生きてるって実感、したいから…』


この腕を伸ばせればどんなにいいか。
そんなことを考えながら、リヴァイから再び降ってくる甘い口付けに応える。
怪我人用の服は着脱がしやすく、前の紐を解いてしまえばあらわになる白い肌。
最後に下唇を甘噛みして唇から離れたリヴァイは、その白い首筋から胸元に、滑る様に唇を這わせながら赤い花を咲かせた。
綺麗な形をしたふくらみに手を伸ばし、下から上へと優しく揉み上げ、空いているほうには、散々所有印をつけて満足した唇が触れてくる。


『は、ぁっ…』


「、腕は」


『ん、だいじょぶ、です…』


麻酔が効いているのだろう。
感覚もないが、勿論痛みもない…動かすこともできないが。
硬くなってきた頂を指でくにくに、と刺激しながら、口の中にある桜色のそれも、尖らせた舌で突き、甘噛みしながら軽く引っ張る。


『ひあっ、!』


びくんっ、と跳ねる細い体。
それでも彼女の腕が動かないようにか、リヴァイが肩を抑えているため、包帯とギプスが全体に巻かれた白く細い腕が動くことはなかった。
荒い息を繰り返しているその体は、しっとりと汗に濡れている。
普段の潔癖症のリヴァイならば触れようともしないだろうが、愛する女ならば話は別なのだろう。
べろり、と舌で汗をぬぐうように体を這う。
胸の谷間、肋骨、わき腹、薄い腹、臍、腰骨、足の付け根…。
恥ずかしいからやめて、と涙ながらに言ってもリヴァイが止める様子はない。
最後に、愛液で濡れたそこを一舐めし、漸く顔を上げた彼は、頬を流れる涙を舐めとり、目じりに残るそれをちゅ、と吸い取る。


『も、はずかし…!』


「言っただろう、止まらねえって」


宥めるように再びキスをしたリヴァイは、左手で肩を抑えながら、空いている右手を潤っている秘部に伸ばし、くちゅり、と指を差し込んだ。
十分に濡れたそこがリヴァイの指を拒むことはなく、縦に行ったり来たりを繰り返せば切なげな声を出す名前。
長い睫が涙を含んできらきらと光っているその奥には、欲に浮かされて僅かに虚ろな翡翠の眸。
肩にあった手を伸ばして、するすると肌触りのいい頬に触れれば、其処は熱すぎるくらいの熱を持っていて。
あぁ、ちゃんと目の前で生きていると、リヴァイは安堵から目を細めた。


「名前っ…」


『リヴァ、あぁっ!』


ぐちゅ、と中に突っ込まれた指。
二本同時に入れられたために苦しかったのか、あえあかな声を出して名前は腰を震わせる。
いつの間にか脱がされたズボンは、リヴァイの足によって、綺麗に掃除されたフローリングの床に落ちたが、2人の視界には入らない。
いつもより少し荒っぽくナカを慣らしていくリヴァイも興奮しているのか、滅多に乱すことのない息を乱し、自分の下で乱れる名前を熱っぽい視線で見つめている。


『んっ、んあっ…ひゃうっ…!』


ぐちゅぐちゅっ、とかき混ぜながら薄い腹越しにある、少しざらついた部分を擦れば、


『ひっあぁ、あっー!』


びっくん!と大きく震えて、荒い息を繰り返す。
怪我で寝込み、目覚めたばかりでこんな刺激が与えられれば当然であるが、名前の眸はもう焦点が定まらないほど虚ろだった。
それでも何とか意識を保っていられるのは、エクソシストとしての精神力のおかげか、それとも兵士として付けた体力のおかげか。
リヴァイも身に纏っていたものを脱ぎ去り、窮屈なズボンを寛げると、名前の痴態に刺激されたそこはもう、準備万端に硬くなっていた。
くちゅくちゅ、と擦り付けた後、にゅぐっ、とナカに入っていく大きなそれに、名前の息が止まりそうになる。


「息、続けろっ、」


リヴァイの指示に従うように苦しげな呼吸を繰り返す。
最後に名前が大きく深呼吸したところを見計らって、最奥まで一気に突き挿れた。


『は、あ…くるし…』


「、動くぞ」


『んぅっ、あっ…あぁ…やっ』


腕が動かないように再び肩を抑え、細い両足を肩に引っ掛けると、ゆっくりと律動を始める。
ぐちゅ、ぐちゅ、という音が徐々に激しくなれば、肌がぶつかり合う音も響く。
時折、コツンっ、と先端が子宮口にあたるたびに、びくりと大きく震える体。
自身の開発がここまで行き届いているのだと分かると、機嫌が良くなるのは男の性というものだろう。
生理的な涙をぽろぽろと流しながら、リヴァイから与えられる強い快感をなんとか受け止めようと、その華奢な体で必死についていこうとするいじらしさは、まさに名前のもの。
あぁ、ちゃんと生きてる、ちゃんと自分の傍で、俺に応えようとしてくれている。
リヴァイは愛おしげに名前を見つめ、彼女に深いキスを送り乍ら、最後にごりっと最奥を抉った。


『んっ、んんんー!!』


「ふ、ん…」


ぎゅうぎゅうと締め付けてくるその刺激に身を任せるように、リヴァイはそのまま抜かず、中で熱を開放する。
どくん、どくん、と注がれるそれにびくびくと反応しながら、離れた唇を開き、酸素を取り込む名前は、涙や汗、唾液でぐちゃぐちゃだった。


『お風呂…』


「入れてやる。どの道、その腕じゃ無理だしな」


少し休んどけ、というリヴァイの穏やかな声に誘われるまま。
名前は一度、浅い眠りについた。



(そういえば…なんで私、医務室じゃなくてリヴァイさんの部屋に…?)
(…医務室はここから遠いだろ)
(リヴァイったらねー、あとは名前が目覚めるのを待つだけだって言ったら抱えてっちゃって!)
(え!?じゃあ私、リヴァイさんのベッドを…)
(問題ない、一緒に寝ていた)
(そうですか、なら良かったです)
((そこに対して疑問を抱かない名前もどうかと思うけどね…!))

部下を庇って怪我からのR18でした…!
怪我の件が長い、そしてオリキャラの彼女の同僚サケスを登場させてしまいました申し訳ありません!←
リヴァイさんの傍に居たら絶対怪我しねーだろうなあと思って今回は特別班を組ませちゃいました…とてつもないご都合主義です…でも自重はしない…←
リヴァイはきっと名前に対してならオーラルセックスできると信じてます←
50000hit企画参加ありがとうございました!
これからも嘘花をよろしくお願いします^^*

prev next

[back]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -