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  尽きぬ話題に言葉弾ませ



ある程度人のいなくなった食堂。
遅めの夕食を取りに来た名前は、おーい!、と手を振るハンジのもとに歩を進める。
おや、と小さく声を漏らした名前の視線に気づいたのか、ハンジと向かい合うように座っているのはペトラ、さらには104期生の女子たちもいる。


『珍しい面子ですね』


「まー、たまにはガールズトークってことで」


ね、とハンジが言えば皆コクコク、と頷く。
ガールズトークかあ、と緩く笑みを浮かべた名前は夕食をテーブルに乗せ、ハンジの隣に腰掛ける。
そんな名前の隣を埋めるように座ったミカサに小さく笑いかけ、温かいうちに、とスープをスプーンですくって口に運んだ。


「名前副兵長ってさ、肌キレーだよな」


テーブルの向こうから手を伸ばして頬を撫でてきたユミルにぱち、と目を見開き、そうかな、と首を傾げる。
皆こんなのものじゃ、と言えば、そんなわけあるかという反応が返って来た。


「前々から聞こうと思ってたんですよ!副兵長何処の化粧品使ってるんですか?」


『化粧品かあ…自分で買いに行かないからなあ』


ころころ変わるよ?という名前にどういうことだと首を傾げる。
どうやらここで知っているのはハンジだけらしく、ハンジがもそもそとパンを咀嚼している名前の代わりに口を開く。


「憲兵団の誰かさんからかいろいろ送られてくるんだよねえ?」


『捨てるの勿体ないじゃないですし』


「内地からですかー…」


高そうですね、と眉尻を提げたペトラ。
104期生の彼女らもどこか沈んでいるように見えて、こくん、とパンを飲み込んだ名前があっけらかんとした表情でいう。


『じゃああげようか?余ってるし、あんまり長引くと質も落ちちゃうだろうから』


「「「ほんとですか!?」」」


『うん』


目を輝かせる彼女らに、皆女の子だなあ、とほのぼのする。
いくら兵士として身を粉にして日々仕事やら訓練やらに明け暮れていると言ってもみんなちゃんとした女の子なのだ。
年頃にもなればオシャレや美容などにも気を遣うだろう。
久しぶりのガールズトークに花が咲きトントン拍子に言葉が出てくる。
そのうち彼女らの話題は、男性陣の話になった。


「ライナーはなんていうのかな、兄貴肌っていうの?」


「あぁクリスタ!ほかの男の事じゃなくてあたしのことを考えてくれよ!」


がばっ、とクリスタに抱き付いたユミルに苦笑を浮かべた名前に、隣にいたハンジが言う。


「ねーねー、いつになったらリヴァイとくっつくのさ」


『ぐっ、げ、っほ…』


うぐ、とパンを詰まらせた名前。
吐き出すだなんてことはなかったが、彼女らに背を向け苦しそうに何度か咳を繰り返した名前ははあ、と小さくため息をついた。


『人が口の中に物を入れてる時に変な話題吹っかけないでください』


びっくりしたじゃないですか、と少々不満げに言う名前にごめんごめん、と悪びれた様子の見られないハンジが続けた。


「結構優良物件だと思うんだよねー。背はちょっと小っちゃいし粗暴で潔癖症だけど、人類最強ってだけあって強いし、兵士長だから給料もいいし」


「ハンジ分隊長、思いっきり兵長のこと否定してます」


「あれ?」


まあ事実だから仕方ないよーとけらけらと笑うハンジ。
ここにリヴァイがいたら間違いなく拳か足が飛んでくるが此処にその本人がいないのが不幸中の幸いだろうか。
そんなハンジの話題を皮切りに、”結婚するならだれがいいか”だなんて内容になる。


「私はリヴァイとエルヴィンがおすすめかなあー。あとモブリットもいいと思うよ?」


『モブリットさんはハンジさんのお世話で忙しいのでそんな暇なさそうですけど』


「あ、酷い」


ペトラは「リヴァイ班の男性陣だったら…エルドさんなんてどうですか」という。
いつも彼女と夫婦漫才(?)をしているオルオはどうなのかと言えば「あんなの旦那にしたら絶望感で自殺すると思います」だなんて真顔で言うものだから皆何も言えなかった。


「副兵長にはベルトルトがおすすめだと思う」


それまで沈黙を守っていたアニがそういえば、どこかで椅子が倒れるような音がしたが彼女らの耳には入らない。


「ベルトルさんかー、優柔不断じゃねえ?」


「でも即決されちゃうよりは一緒に考えたいじゃない」


「コニーはまずその次元じゃない」


「酷いけど私もそう思う」


「ジャンは?」


「そう言えばジャンって名前副兵長のこと好むぐあ」


「ちょーっと黙ってようか、サシャ」


「名前さんにはエレンがいる」


ミカサの言葉の後に再び椅子が倒れる音がするが、其れにも気付かない。
名前の結婚相手には、とベルトルトを推薦したアニとエレンを推薦したミカサ。
あれ、これって自分の相手じゃなかったの、という名前の疑問を置いてけぼりにしたままヒートアップするアニとミカサ。
とはいえ、2人とも騒ぐように言い争うのではなく、静かに言葉を並べる。
ぎゃあぎゃあと言いあうよりもよっぽど空気が重々しいが…と2人のやり取りをぼんやりと見ていた名前にアニとミカサが視線を向ける。


「名前さんは、」


「ベルトルトとエレン」


「「どっちがいいですか」」


『へっ!?』


どっちがいいですか、とは一応聞いているが、彼女らの目は語っている。
「絶対エレン、エレン」「ベルトルトに決まってる、ベルトルト」…と。
そんな彼女らにふう、と息は出した名前は眉を下げた。


『そんな本人のいないところで…それに彼らにはそれぞれ好意を寄せてる人だっているだろうし』


丁度年頃なのだ、そんな人が1人2人居たって不思議じゃない、とそう断言した名前。
ピシっ、と固まったアニとミカサ、その他数名。
ユミルはヒーヒー笑いながら「エレンもベルトルさんも報われねえ!」と声を上げ、クリスタがそんなユミルあわあわしながら落ち着かせようとしている。


「名前ー、2人もいたら不味いんじゃない?」


『あ、それもそうですね』


「そう言う問題じゃないですよ、ハンジ分隊長、名前副兵長…」


そんなペトラの言葉に分かってるって、とへらへら笑うハンジに首を傾げる名前。
まさか自分たちの会話が聞かれているとはと思わない彼女がのガールズトークはさらに白熱していった。



(なあ…あれはまさかのアウトオブ眼中宣言なのか…?)
(え、エレン!気を確かに!)
(鈍い…にぶちんだよ名前副兵長…)
(…頑張れ、道のりはなげぇぞ)
(…俺、そんなにか…?)
((悪いコニー、俺もサシャと同じこと思ってたわ))

(……)
(…まあ、そう落ち込むなオルオ)
(落ち込んでなんか…落ち込んでなんか…!!)

(なぜあいつは気付かない?俺があんなにやさしく接してるのは名前だけなのに)
(落ち着けリヴァイ、名前たちに聞こえるぞ)
(名前は誰にもやらねぇ…あいつは俺のだ…)
((不味いな、目が据わってる))


皆でガールズトークでした!
…ガールズトークって…こんな感じでしたっけ…?
大分オブラートに包みました(私のリアルなガールズトークはもっと生々しかったので自重して…)
私も灰男では神田が一番好きです!bsrでは政宗と関ヶ原組押しですね。はまり始めたきっかけは佐助だったんですけど(もちろん今でも佐助好きです!)
50000hit企画参加ありがとうございました!
これからも嘘花をよろしくお願いします^^*

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