小説 | ナノ


  bsr×進撃 01



ずきり、と全身に走った痛み。
それにわずかに顔を歪めながらも閉じていた瞼を持ち上げれば、そこには見覚えのない光景が広がっていた。


「Ah?んだここは…」


「草原にいたはずなのだが…ここは森の中でござるな…」


先ほどまで広い草原で刃を交えていたというのに、目を覚ませば何故か鬱蒼とした森の中。
そして立ち上がった政宗と幸村は、自分たちが身軽なのに気付く。


「Shit!六爪がねぇ!」


「某の槍もないでござる!」


彼ら武士にとって、武器は自分の命と変わらないぐらい大切なもの。
あたりを見回すもそれらが落ちている様子は見られない。
それでもいつまでもここにとどまってるわけにはいかないと、2人同時に溜息をついたのち、武器を探すのも兼ねて彼らは移動することにした。


「佐助も名前殿も居らぬのでござろうか…」


「いたらすぐに来るだろ」


政宗の言葉にそれもそうでござるな、と頷く幸村。
武器がないだけでなく、長年連れ添ってきた付忍びもいない。
しかも片方ではなく、佐助も名前もいない。
彼らがいればすぐに分かる状況だって、自分達にはよくわからない。
忍びの専門分野とも言ってもいいそれは、自分たちが成そうとすれば多くの時間を要してしまう。
もしかしたらばらばらのところにおとされてしまったのでは、とそう考えることにして、とにかく森から抜けることを考えた。


「抜けるでござる」


「やっとか…」


不気味なぐらい人一人いない森を抜ければ、その先にも人の姿は見えないと思いきや。
馬に乗り、緑色のケープを羽織った集団に出会う。
政宗の幸村の格好は目立つため、彼らはすぐに二人を見つけ、信じられない、と言わんばかりの表情を浮かべた。


「Hey!アンタら、ちょっといいか」


「すまぬがここは何処でござろうか、甲斐と奥州にはどこへ向かえばよいのか教えていただきたく」


そんな2人の質問を遮るかのように響いた重々しい音。
なんだ、と首を傾げる彼らをよそにその馬に乗った集団は2人をひっつかむと、それぞれを相乗りの形で乗せた。
政宗は小柄な男と、幸村は金髪の男と共に。


「なっ、何事でござる!」


「巨人だよ!君たちもしかして知らないの!?」


ゴーグルをした男か女かわからない人が声を張り上げる。
政宗と幸村は「は?」という表情を浮かべていたが、政宗の前にいる小柄な男が声を張り上げた。


「今はそれどころじゃねぇ!奇行種だ!誰かガス残ってねぇのか!?」


「ガスはすべて消費してしまった!」


金髪の男が声を上げる中、背後から追ってくる足音はどんどん近くなる。
どうやらこの追ってくる巨人とやらは人類の敵らしいと判断した二人だったが、手元に武器はない。
武器さえあればあんなもの、と苦虫を噛み潰していても彼らにはなす術もなく。
ここまでか、と全員が諦めた中、後ろから追ってきていた足音がやみ、どすんっと何かが倒れるようなすさまじい地鳴りが響いた。
まさか転んだ?と馬の足を止め、振り返った彼らの視界には、うなじをそがれて蒸発する一体の巨人。
自分たち以外に人間などいないのに、一体だれが奇行種のうなじをそいだというのだろうか。
因みに、立体機動を使用した際に聞こえるはずのアンカーを発射する音も、ガスを噴出する音も聞こえなかったというのに。


『政宗!』


「旦那!」


「名前!」


「おぉ佐助!無事であったか!」


しゅうしゅうと音を立てている巨人の向こうから現れたのは、銀髪の美しい女と、橙色の髪をしたこれまた顔の整った男。
人間とは思えない跳躍力で彼らのもとに駆け寄った二人は、格好こそは奇抜なものの普通の人間とは変わらなさそうで。
細身である二人が、まさか立体機動もなしにあの奇行種をいともたやすく倒してしまったのだろうかと、政宗と幸村以外の人間は目を見張る。


『あ、そうだ』


再会の感傷に浸っていたのもわずかで、名前がピュ――――…と長い口笛を吹く。
そのしばらく後、近くの森の中から馬の蹄の音が響き、茶毛の馬と黒毛の馬が姿を現した。
各々の背に主を表すかのように武器が括り付けられている。


「俺様達と一緒に居たんだよ。馬も武器も」


『政宗たちに会ったとき、なかったら困ると思ったので』


「Thanks!助かったぜ」


「感謝いたす、名前殿、佐助」


「これぐらいどうってことないってー」


表情の変わらない銀髪の女子にへらへらと笑う読めない男と親しげに話す先ほど助けた2人の男。
どうやらお互いに判らないことが多すぎるということが判明したため、小柄な男、リヴァイと金髪の男、エルヴィンは何か新たなことが分かるのではないかという可能性のもとに4人を壁内に連れて行くことになった。


「ねえ、貴方たちは馬に乗らなくてもいいの?」


『私たちはいいのです。馬に乗るより走ったほうが早いので』


「忍ってのはみんなそんなもんなんだけど」


「シノビ?」


「えっ、忍知らないの!?」


『あまり知られててもどうかと思うけど』


「あ、そっか」


「Ha、相変わらずだな猿」


「はあ!?だからアンタいい加減俺様の事猿って呼ぶのやめてよ!」


「うるさいぞ佐助ェ!!」


「「「(アンタが一番うるさいよ)」」」


『幸村殿静かに、先ほどのものと同種が追ってくるかもしれません』


「も、申し訳ござらん…」


調査兵団の面々が言わないで置いたことをばっさりと言い放った名前は、足音ひとつ立てずに彼らに並走していた。


***
この設定好きだけど続かないと思うんだ…行き詰まり←
そして思いっきり調査兵団サイドが空気と化していることについては何も言わないでおく(笑)

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