小説 | ナノ


  首筋に噛み痕



※R15

今日も今日とて仕事をこなす調査兵団の面々。
はあ、と一息ついたリヴァイが、いつもなら用意されているコーヒーがないことに気付く。


「…そういや、今日は来てねぇな…」


朝食の時に顔は合わせたが、昼食にはなぜか現れず。
何かあったのかとペトラに問いただしたが、「今日は来ないです」と苦笑を浮かべるばかり。
まあそんなこともあるだろうと自分も仕事に戻ってたのだが。


「(…くそ)」


いつも現れる時間帯になっても現れない名前に小さく舌打ちをし、机の上に積み重なっている書類に手を伸ばす。
さっさと終わらせて名前の様子を見に行こうと思った、そんな彼の視界に映ったのは。


『あ、リヴァイさん』


「……」


ガチャ、と開けた扉の先には、ソファに腰掛け膝の上の白い物体を戯れている名前。
ジャケットを脱ぎ立体機動のベルトがさらされた状態でいる彼女は、いつもより緩い表情を浮かべていて。
何か御用ですか?と首を傾げるものの、膝の上にいるそれを撫でる手は止まらない。


「…いや、特に用はない」


『そうですか。座ります?』


そう言って名前はずれてソファにスペースを作る。
リヴァイは無言のままそのあけられたスペースに腰掛け、隣で幸せそうな表情を浮かべている名前を見やる。
にー、だのなう、だのと鳴き声を上げているのはどうやら猫の様で。
彼女の手袋のはずされた両手が、その猫の頭や背を撫で、のどや耳の後ろを優しく掻く。
それが酷く気持ちいいらしく、猫はごろごろと喉を鳴らし、そのしなやかな体を名前の華奢な体に預けている。
…猫の頭が彼女の胸に埋められているのに微かにリヴァイの顔が引きつったのは言うまでもない。


「…好きなのか、猫」


『大好きです!猫に限らず動物は全般的にですけど』


聞けば、向こうにいたころから何かと動物には好かれていたらしい。
本部にいつの間にか誰かが連れ帰ってきた動物でも、任務先で向かった場所でも、気付けば何かに囲まれている、なんてことも珍しくなかったらしく。
動物大好きな名前にしてみればほほえましいだけだが、彼女とともに行動する者からしてみれば、いつの間にか自分のポジションが動物たちに奪われていてさぞやイラついていたことだろうと想像に容易い。
実際今、自分がイラついているのだから。


『こう、殺伐とした毎日を送ってるっていうのもあるんですけど』


向こうでもここでも、戦いの中に身を投じている名前。
だがそれは、完全に彼女の意志を無視したものではなく。
最初こそ抵抗はしたものの、慣れとは恐ろしいもので、いつの間にか戦いの中に身を投じていることが至極当たり前、むしろ自分が前線に出ていなければ、どうして自分がここに居るのだと、どうして戦っていないのだと、そう思ってしまうほどに彼女は”戦う”ことに慣れ過ぎてしまった。


『だから、こうして動物と戯れてると和むんです』


何もかもを忘れて、と呟いた彼女の表情には僅かな憂いはあれど、細められた瞳はありありと愛しいと告げている。
猫もそれを感じ取っているのか、彼女の胸に摺り寄せていた顔を上げ、ぺろりと名前の首筋から頬までを何度か舐める。
犬のようにべたつかず、猫舌独特の感触にくすぐったい、と肩を竦める彼女は嫌な顔一つせず、猫を優しく抱き寄せていて。
隣にいるリヴァイの表情がだんだん険しいものになっているのには全く気付いていない。
しかし、ついに彼の堪忍袋の緒が切れる。


ふにゅ


『!』


名前の柔らかい唇と、猫の口が触れ合う。
人間のような音は立てられなかったが、確かに触れあっていた。
リヴァイは無言でその猫の首をひっつかみ、壁には当たらぬように適当なところに投げる。
猫は持ち前のバランス感覚で無事着地し、怪我ひとつなかったようで、そのことについて何も対応のできなかった名前は安堵のため息を吐き出した。


『リヴァイさん、いきなり投げるなんて』


そう言いながら視線を猫からリヴァイに移した名前の顔が青ざめる。
ほう、と声を漏らしながら凶悪な笑みを浮かべているリヴァイだが、その眸は全く笑ってない、今にも人一人殺してしまえそうな眸をしていた。


「どうやらてめぇには躾が必要らしいなぁ」


『ぁっ』


逃げようとするも、リヴァイに腕を掴まれ、そのまま引きずられるように浴室に。
ブーツは脱がされそこらへんに転がされ、そのまま浴室に入っていった後、名前は浴室のタイルの壁に背中を叩き付けられた。
『かはっ、』と苦しそうに息を吐き出している名前を視界に入れながら、キュッとコルクをひねりシャワーを出す。
ずる、と座り込んだ名前はシャワーから出る温かいお湯に打たれ、リヴァイは悠々とジャケットを脱ぎ捨てスカーフも外し脱衣所に放り、浴室の扉を閉める。


『けほっ、りヴぁ、いさん…?』


「これは持論だが、」


ドスの利いた低い声。
度々聞くことはあったけれど、それが自分に向けられたことはなくて。
びくっ、と跳ねた肩がおかしかったのか、リヴァイはくつくつと喉で笑いながら続ける。


「躾に一番効くのは痛みだと思う」


『、』


ごく、と生唾を飲み込んだ名前の表情は苦しそうで、泣きそうで。
そんな彼女の頬を優しく包み、自分と視線を合わせたリヴァイは、小さく微笑んで見せた。


「だがな名前、俺はテメェを傷つけたくない。ならどうすればいいか、考えた」


『リヴァイ、さん…?』


「”痛み”が駄目、なら、”快楽”はどうだ?」


『へ、あっ』


びりりっと乱暴に引き裂かれたYシャツは、ベルトの隙間を縫ってあっという間にすべて取り払われた。
流石に下着は破らなかったが勿論外され。
上半身裸の上にベルトをして水にぬれるという、なんとも厭らしい恰好でリヴァイの前に座り込んでいる。
ぽかん、としていた名前が、急いで体を隠そうと自分の体に腕を回す前に、リヴァイがボディーソープを載せた手のひらを彼女の体に這わせ始めた。
リヴァイの手のひらに暖められたそれは冷たい感触こそしなかったものの、ぬるぬると動くリヴァイの手や指の感触を伝えてくる。
じわじわと瞳に涙を浮かべ始めた名前は、混乱しているせいでうまく力の入らない手でかろうじてリヴァイの手首をつかむも、それは彼の行動を止めるにはあまりに弱く。
そんな弱々しい反抗もどうやら気に入ったようで、リヴァイは口角を上げながら行為をエスカレートさせた。


『ぁ、ふっ』


「気持ちよさそうじゃねぇか、なあ名前?」


いやいやと首を振る名前の胸を揉み上げ、ぷくりと小さく主張するそれを弄ってやる。
体を温めるシャワーと内側からこみあげる熱で名前の体は色づき、目の前にいるリヴァイを誘ってくる。
湧き上がる欲望を抑えつつ、ひたすら目の前の名前を快楽のそこに陥れることだけを考え続けるリヴァイ。
上半身を丁寧にボディソープで洗った後、シャワーで泡を洗い流す。
はあ、と熱い息を吐き出した名前の睫毛は涙とシャワーのお湯で濡れ、照明にキラキラと光っていて。
既に力の抜けきっている躰からベルトを外しつつ、あの白猫が舐めていたところに舌を這わせるリヴァイ。
猫のペロリとした可愛いものではなく、獰猛な肉食動物のような、べろりとした舐め方。
白い首筋を舐め上げ彼女の柔らかい唇を貪り、口内を蹂躙した後、首筋に戻ったリヴァイは、そこにがぶりと噛みついた。


『いっ!』


「いいか、てめぇは俺だけに構ってればいいんだよ」


『、リヴァイさん』


「分かったな?」


名前を射抜くリヴァイの鋭い眸。
彼女はこくり、と頷き、リヴァイは満足そうに口元を歪める。


「さて、と」


そう声を上げたリヴァイに、あぁ、やっと終わりか、と名前は心中で安堵のため息をつく。
そんな彼女の期待を裏切る様に、リヴァイは名前のズボンに手をかけ、既にジッパーを下げていた。


『なっ、何してっ、ってベルト!?』


いつの間にか外されたベルトは名前の腕を後ろ手に縛っていて。
動かそうとしてもギチギチと音を立てて絡みつくだけ。
そんなことをしているうちにもズボンを脱がされ、リヴァイの指はパンツに引っ掛けられた。


「俺の言いたいことをしっかり理解できた名前のご褒美だ」


にや、と凶悪な笑みを浮かべたリヴァイを目の前に、明日の訓練は無理かな…とむなしく笑うしかない名前。
誰もいない名前の副兵長室には、浴室から響くシャワーの音と彼女の甘い嬌声だけが響いていた。



((ぐったり…))
(体力ねぇな)
(並にはあります…リヴァイさんが並はずれているだけです…)
(ほう、分かってるじゃねぇか)
(へ?…え、あ、あの…私もう…!)
(あ?まだ3回しかヤってねぇだろ)
(”しか”ってなんですか!?”もう”の間違いです!)
(あー、いいぜ名前は動かなくて)
((俺が動くから))
(結局、次の日の訓練を欠席したのは言うまでもない)


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