ブログ | ナノ

memo

opで蟲師パロ

『…もう、大丈夫』
後は本人の体力が回復するのを待つだけ――
彼女のその言葉に、布団に横たわっている彼の傍にいた人間たちは表情を明るくする。
「本当に、ありがとうございました…!」
『…いえ、本人が、頑張ったので』
私はただ、蟲下しの薬を与えただけ
そう謙遜した彼女は、これを飲み切れば、という薬を渡し、早々にそこを後にしようとしたが、周りの彼らがそれを引き留めた。せめて、この眠っている男が…ローが、目を覚ましてからと。
確かに、患者である彼の経過を見たいのは本音ではあるけれど、蟲を引き寄せてしまうこの体質が故に、一所には長居できない。この地域が蟲の少ない所で良かった、と白煙を吐き出した彼女は、ぐるり、と辺りを一瞥した。蟲の増え方はそこまで酷くない。彼が目覚めるまでは、ここに居られるだろう。
すぅ、と煙管を吸い、ふぅ、と白煙を再び吐き出す。その白煙の先にいた蟲は、まるでその白煙から逃げるかのように散って行ってしまった。もうそろそろ目覚めてもいい筈なんだけど…
「ロー先生の目が覚めたで!蟲師さん!」
知らせに来てくれた人に腕をひかれるまま連れて行かれたその先は、あの男が横たわっている部屋。どたどた、と廊下を走る音がしているから、きっと他の人たちも知らせを聞いて駆けつけているのだろう。
「おれは…」
「目が覚めたんで!いやぁ、よかったぁ!」
こちらの蟲師さんが助けて下さったんですぜ、という声に、男の視線が彼女へと向けられる。ぺこ、と会釈をして見せた彼女に男は目を見開いたかと思うと、ばっ、と起き上がり、彼女の白い両手を、その浅黒く大きな手で包み込んだ。
「俺と夫婦になってくれないか!」
彼の目覚めを喜んで駆けつけてくれた人々も、そして両手を包まれた彼女も。男の言動に固まってしまったのは言うまでもない。

***
夢主
蟲師。ギンコのように蟲を引き寄せてしまう体質なので、一所に留まれない根なし草。あまり蟲を殺そうとはしないが、必要に応じて対応を変える。その美しさ故に求婚されることもあるが、一所に留まれないのだと断り続けている。洋装をしているが、蟲煙草は煙管で吸っている。

ロー
医者。蟲が見えるが、「気持ち悪ぃな」と思う程度で興味は薄かった。暫くして蟲に侵された患者を診るようになって興味を持つようになった。自身を助けてくれた蟲師である夢主に惚れ、彼女の旅に同行するように。

シャチ、ペンギン
軽業師。夢主と一緒に旅するようになったローに助けてもらったのを契機に、一緒に旅をするようになった旅芸人。絡んできた賊云々は基本この二人が始末してしまう。因みに蟲は見えないが、不可解な現象が蟲によるものだ、ということは受け入れている。

comment : 0
24th.Dec.2013


 
comments
 
 
name:

text:

url :



editkey :



↑back next↓

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -