僕、笹山兵太夫には好きな人が居る。しかも初恋だ。その人の名前は朝倉南さんと言って忍術学園の事務員さんをしている。入学式の時に僕が一目惚れしてしまってからというもの、僕はずっと南さんにアタックしているのだが、

「南さん、好きです」
「そうか」
「僕、本気ですよ」
「そうか。だがそういう台詞は本番にとっておけ」
「いや、だから、」
「あぁ、すまんが私はまだ仕事があるんだ。またな笹山」
「あ、南さん!」

と、こんな感じでいつも軽く流されて全く相手にしてくれないのだ。

「はぁ…」

ため息をついたら幸せが逃げると言うがこうも上手くいかないとため息の一つや二つ出てくるものである。天邪鬼な僕が恥をかなぐり捨ててこんなにストレートに言ってるのに、

「…僕が、子供だから」

だから、相手にされないのだろうか。やっぱり『初恋は叶わない』って本当なのかもな、と柄にもなく落ち込んでいると、

「何だまだ居たのか」
「南さん!どうして…」
「ここは私の部屋だ」
「…あ、」

そういえば南さんの部屋にお邪魔してたんだった。てかどんだけ落ち込んでたの僕。

「…すみません、すぐ行きま「笹山、」はっはい!」
「さっき食堂のおばちゃんに栗羊羹を頂いたんだが食べるか?」
「えっ…いいんですか!?」
「あぁ。お前さえ良ければ」
「うっ嬉しいです!」
「そうか。お前は一番私に懐いてくれてるようだからな、お前が喜んでくれて良かった」
「えっ…!?」
「ん?違ったか?」
「いっいえ!僕、南さんが一番大好きです!」
「ありがとう。さぁ早く食べよう」
「はい!」

きっと南さんは僕の『好き』の意味には気づいてないだろう。けど僕にはまだ時間が沢山ある。僕の努力も無駄じゃないって分かったし、ゆっくり時間をかけていこう。そして初恋も叶うって事を絶対証明してやるんだ!



世界は笑いかけた。


提出:国緒さん



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