その手で

その手で守ろうとしたものは、
一体なんだったのか。

それすらわからなくなってしまった。

愛する者、大切な者、それとも……

朱く染まった手を眺めてもわからない。

ただ、残ったのは、
絶望と虚無感だけだった。

涙が一筋、頬を伝った。