「やばーい今日のライブ最高だったね!」
「絶対私と目があったよ!!」
「それ絶対勘違いだって!」


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・




「ふあー、疲れた疲れた」

大きく背伸びをしながら控え室に戻って行くのは、今爆発的な人気を誇るアイドルユニットの一人、高杉晋助。
その高杉の後ろを歩いているのが土方十四郎。
この二人の出す曲は毎回必ず1位を取るほどの人気だ。

控え室は二人同じ部屋になっており、その部屋には沢山のファンからの手紙や差し入れなどが置いてあった。

「うへぇ。今日も凄いな」

驚きと少し呆れているような顔で高杉は言う。
土方は特に感情を出さずさっさと座る。
その行動が気に食わなかったのか高杉は後ろから土方を抱きしめた。

「うわ!?」

驚き離れようとする土方を逃げないようにきつく抱きしめる。

「お前さっきから無口だな、なんか気に食わないことでもあったのか?」
「別に。俺が無口なのはいつものことだろ」
「まぁそうなんだけど」

そう言って高杉は土方の唇を奪った。
その行為に特に驚きもせず土方は身をゆだねる。
二人はユニットを組む前から付き合っていた。
同じ事務所の先輩後輩。
高杉の方が一つ先輩にあたる。

高杉はそのまま土方を押し倒し、手を土方の服の中へと入れていく。

「ちょ、ま、汗かいてるから・・・!」
「このままでいい。てかこのままがいい」
「変態っ・・・!」
「なんとでも言え」

土方の服を捲り上げると、突起に触れ舌でいやらしく転がす。

「ひぁっ・・・や・・・たかす・・・」
「何が嫌なわけ?ここ、尖ってきてるけど」
「言う・・・な・・・」

羞恥に耐え切れず腕で自分の顔を隠す。
そんな土方を愛おしく思いながら下に手をかけた瞬間

ガチャ

「おーいファンからの届けも・・・・ってお前ら・・・・」

控え室に現われたのは二人のマネージャー坂田銀時。
二人の行為に頭を掻きながら半分呆れつつ大きめの封筒を真ん中にある机に投げる。

「これだからてめぇらはこんなもん貰うんだよ」
「なんだ?」

土方から離れ机に投げられた封筒を手に取る。土方はよっぽど銀時に見られたのが恥ずかしかったのか、仰向けのまま両手で顔を隠し動かなかった。

「関係者に捨てられそうになってたのを拾ってきた。晋助が喜びそうだと思ってな」
「は?」

ニヤリと見透かされたように笑う銀時を見ながらイライラとしつつもその封筒の中を覗きこむ。

「じゃ、また来るわ。ごゆっくり〜」

“ごゆっくり”という言葉に疑問を持ちながらも、銀時がいなくなったのに安心し土方はゆっくりと起き上がった。
高杉の方を見てみると、なんだか薄っぺらい本を読んでいるように見える。

「中身、なんだったんだ?」

そう言いながら高杉の読んでいる本を覗き込むとギョッとした。
どうやら漫画のようで、その中身というのは自分と高杉に似たキャラクターがいちゃこらにゃんにゃん(死語)している内容だった。
似た・・・というより台詞に「高杉」「土方」とか書いてあるので自分達のことだろう。
土方と呼ばれている男が喘いでいる絵を見た瞬間顔がボッと赤く染まる。

「ちょ、なんだそれ!!!!」
「同人誌ってやつだよなァ、これ。俺も初めてみた」

ニヤニヤしながら見ている本を奪おうと試みるが、ヒョイと交わされてしまう。

「おい、コレ見ろよ、ここなんか俺たちがやってることと一緒じゃねぇか。最近の腐女子?ってすげぇな」

見せてきたページはベットの上で両腕を縛られ身動きがとれなくなっている土方を高杉が襲っている場面。
確かに最近こういうプレイを行った記憶がある。

「てかこれ、女の子が描いてるんだよな・・?エロ過ぎる・・・・」
「女ってのはなァ男よりエロかったりするんだよ」
「にしても俺はこんなに女々しくねぇ」
「あ?何言ってんだテメェ」
「うお!?」

いきなり土方を押し倒したかと思えば、近くにあったタオルで土方の両手首を縛る。

「おま、何やって・・・・!」
「この漫画の真似」
「ふざけ・・・・!?」
「で?次はどうすんだ?」

土方に跨いだ状態で本を見ながら行為の順番を確認する。
よし分かったと呟いた後本を置き、土方の首筋に噛み付いた。

「・・・っ!」
「『俺達の愛のしるし』」
「・・・それもその台詞かよ」
「ククッ」

肯定も否定もすることなく笑った高杉は、そのまま舌で首筋を舐めながら手を土方の突起へと移動させ円を描きながら感じさせていく。

「んっ・・・」
「下の方元気になってんぜ」

いつのまにかもう片方の手が土方の一物に手が伸びており、慣れた手つきでズボンを脱がす。
そのまま一物を扱くと、大きく土方の体がビクンと反応した。

「可愛い」
「煩い・・・」


緩急をつけながら扱き続けると、高杉の手に白い液体が飛び散る。
その液体を見ながらニヤリと笑い

「早いな、そんなに気持ちよかったか?」
「・・・・・・・」
「あれ?なんか今日機嫌悪い?」

首を傾げながら問うてみるも返事は無し。
不思議に思ったが拒否しているような感じでもないし、なにしろ自分が限界に近い。
高杉は土方の両脚を上げ広げると、自分の一物を土方の蕾へとゆっくり入れていった。

「んん・・っ!!」
「ちょ、土方、絞めすぎ・・・もっと力抜け」
「はっ・・あ、」

土方は複雑な思いでソレを受け入れていた。

―どれが本当の高杉の言葉でどれが嘘の言葉なんだろう・・・

ファンが送られてきたという自作の漫画。
高杉はそれを真似るように土方に触れ、言葉を出す。
それがなんだか嫌だった。役みたいに見えて、高杉とヤっているように感じない。
色々と考えているうちに高杉はゆっくりと腰を動かし始めた。

「土方ん中、最高」
「んぁっ・・・ぁ・・・」
「ほらやっぱ可愛い声で鳴く」
「・・・!!」

気付かぬうちに自分の口から甘い声が出ていたことに驚く。
声が出ないように必死に指を噛んで我慢するが、すぐ高杉に手を払いのけられる。

「噛んで指から血が出てるじゃねぇか」
「だ、って、」
「意地んなんなくていいって。声聞かせろ」

高杉はさらに土方の両脚を上げると、土方の弱い部分を重点的に攻めていく。

「やっ・・!あ・・たかすぎっ・・」
「ひじかた、好きだっ・・・」

それは高杉の本心?

只の台詞?

「ん、ぁ、しん・・・すけ・・・」
「っ!?」

汗をかきながら腰を振っている高杉の頬に手を置いてなぞる。
その言葉は本心なのか、それを問いたかったが絶頂が近くなりちゃんとした言葉がでない。

「おま、名前呼び反則・・・!ヤバいイきそ・・・」
「ひぁっ・・イ・・・く・・・・!」

二人は共に達した。


***

「しっかしほんとすげーよな、『同人誌ありがとー』なんてブログで書いたらどうなるかな」

後処理をしながらククっと笑う高杉を土方は睨む。
怒っている事に気付いたのか、苦笑を漏らしながら「悪かった」と呟く。

「さっきからえらくご機嫌ななめじゃね?なんかあった?つかなんか俺怒られるような事したか?」

何も分かっていない様子の高杉にポツリポツリと話し始める。

「さっきの・・・」
「あん?」
「さっきのさ、どこまでが本当なんだよ」
「あ?どういう意味だ?」
「漫画を読んで見よう見まねでやってたじゃねぇか。言葉まで真似てさ。・・・俺は、本当のお前の言葉が聞きたい」
「あ―・・・」

やっと不機嫌な原因が分かった高杉は気まずそうに頭を掻く。
そして同人誌を持ったかと思えば、それを土方に渡す。

「読め」
「は?」
「良いから読めって!あー、ヤってるとこからでいいから!」
「なっ・・・」

無理矢理渡され言われるがまま読んで見る。恥ずかしさのあまり目を逸らしたくなるがきっと高杉がそれを制するだろう。
顔を真っ赤にしながら読み終え、読み終えた合図として控えめに高杉の顔を見る。

「さっきの俺たちのセックス思い出せ」
「・・?・・あ・・・」

漫画と対比してみると、最初の縛ったところは同じだったが、後の内容は全く違っていたのだ。

「同じようにしようと思ったんだがあまりにもお前が可愛かったから理性飛んでもう好きなようにヤらせてもらった」
「〜〜っ!」
「悪かったな、嫌な思いさせて」

そう言ってギュッと抱きしめる。
それが心地よくて土方は高杉の胸に顔をうずませた。

「全部俺の本心の言葉だから。信じろ」
「うん・・」


ガチャ

「おーーいそろそろ帰るぞ・・・ってお前らまだヤってたのかよ!!!長いわ!!」

迎えに来た銀時が堪らなくなって大声で叫ぶ。

「あ?俺たちゃ何時間でも抱き合ってられるぜ?」
「煩い!つかお前ら早くパンツ穿けやああああ!!!!あと10分したらまた来るから帰る準備しとけ!!」

バタンと勢いよく閉まったドアを青ざめた顔で見る土方。

「また、見られた・・・」
「いい加減慣れろよなー。もう何度も見られてるじゃねぇか」
「恥ずかしくて死にたい。もう控え室ではヤらない」
「は!?」
「もうやだ一人で帰る、じゃぁな」
「おいおいおい!!!」

着替えた土方は幽霊のようにふらふらしながらドアに手をかける。
帰さまいと高杉は必死に土方の腕を掴んだ。

「待て待て待てえええ!!今の言葉の中で抗議したいことは沢山あるがとりあえず待て!!てめぇ本当に有名人って自覚なぇよな。ファンが出待ちしてんのに一人で帰ったらどうなるか分かるだろ」
「あ、」

そうだったと思い出した土方に大きなため息をつく。
土方はいつもそうだった。アイドルとしてデビューしてからその自覚がないのか、オフの日、何も変装せず町をふらふら歩きファンに囲まれ動けなくなった事が何度かある。
流石にドームでライブするくらい人気が出ると、気をつけるようになったのだが、たまにこうやって普通に出ようとしてしまう。

「そんなとこも愛しいんだがな」

後ろからギュッと抱きしめる。

「たかす・・・」

顔だけ後ろに向け高杉の顔と土方の顔がくっ付きそうなぐらい近づき―

ガチャ


「「あ」」
「・・・・・だーーーかーーーらーーーー!!!!!」

メラメラと怒りを燃やしている銀時に二人はゴクリと唾を飲んだ。

「晋助てめぇパンツ穿けやあああああ!!!!!!」
「ぐほぉっっっ!!!」

綺麗に高杉にだけ銀時の飛び蹴りがヒットし高杉は後ろに飛ばされる。

「お前はその状態でずっとのびてろ。よし十四郎行くぞ」
「そうだな」
「おい!土方までそんな事言うなって・・・ってマジで置いていくのかよ待ってって!!!!いや、待ってくださいお願いします!!!!!」


後日高杉の日記の写メに小さく同人誌が移りこんでおり腐女子の中で物凄い話題となるのだが、それはまた別のお話。





END
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あとがき
一度同人誌を読む高杉と土方を書いてみたかった(笑)




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