はじめに。
少しトッシー再登場編のネタバレあり。あと銀土設定のトッシー×十四郎ですので、
苦手な方はご遠慮ください。

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チュンチュンと小鳥がさえずり心地よい朝日が体を潤す。
布団から起きうーんと両腕を伸ばし背伸びする。首を左右に傾けるとパキパキと首が鳴った。
昨日は夜中まで書類を書いていた為、少し体が重い。
布団に手を付いていた右手に何かがあたりそこに目を落とす。すると赤い鉢巻、ださいジーンズ生地のジャケット、腕のとこは切り取られジャギジャギになっている。
そんな服を着てスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている・・・・・・俺。

・・・・・・・・・俺?

いやいやいやいやいやいや!!!!俺ここにいるし!!!!なにこれどういうこと???
え、コイツって、え?もしかして・・・・・

「トッシー・・・?」









「土方さんが2人もいたら憎さも2倍でさぁ。2人とも死にやがれ土方コノヤロー」
「うるせぇ!黙れ総悟!それにコイツは俺じゃねぇ!トッシーだトッシー!」
「しかし不思議なことも起きるんだなぁ。確かにトシが2人いると不思議な感じだ。」
「だからコイツは俺じゃねぇ、トッシーだ!」
「どっちも一緒でさぁ、土方死ねー死ねー」
「お前は黙りやがれ!!!!!」

確かに成仏したはずだった。しかし未練がまだ残っていたようで、俺の中ではなく、分離してこっちの世界に戻ってきてしまったらしい。
あんだけしてやったのにいったいまだ何に未練があるのか。

「一体まだなにに未練があるんだ?」

俺が少しイライラした口調で言うと情けない顔をしながら話し出した。

「真選組の諸君には本当に感謝している。これで未練はもうない、そう思ったのに何故か気付けば十四郎の隣りにいたでござる・・・」

この様子をみるとどうやら自分でも何に未練があるのか分からないみたいだ。
今にも泣き出しそうなトッシー。俺ははぁーっと長いため息をつきトッシーの頭に手をポンっと置く。

「未練がなんなのか一緒に探してやるから、泣くな。」
「とうしろ・・・・」

キラキラした目で近づいてくる。俺の顔が泣いたり喜んだり・・・やめてくれ、気持ち悪すぎる。
俺はもう一度大きなため息をつくと、トッシーを連れて未練探しに出ることにした。










「土方くんが2人ぃいいい!?!?!?うわっなにこれどうしようなんかもう勃起し…ぐはぁっ!」

思い切り腹に蹴りを入れてやる。こいつはほんとそっちの話しか出来ないのか。
外に出てみたのはいいものの、どう探せば良いのか分からず、フラフラと歩いているといつの間にか万事屋の前に来ていた。
あまり行きたくはなかったが他にどうすればいいのか分からないし、とりあえず来てみたら最初の言葉がこれだ。やっぱ来るんじゃなかった。

「帰る」
「え、ちょっと土方くぅうううん!?」

俺はトッシーに行くぞと言い玄関に手をかける。が、トッシーは動こうとしなかった。おい、帰るぞともう一度言うと首を左右に振った。

「坂田氏ならなんとかしてくれる気がするんだ。坂田氏!未練探しの手伝いをお願いしても良いでござるか?」
「土方くんの顔でそんなこと言われたらオーケーするしかないでしょ〜。トッシー、協力するよ!」
「坂田氏いぃい〜〜」
「トッシィイイ〜〜」

2人ともキラキラした目で手を取り合っている。その光景がなんとも気持ちが悪い。
まぁでも万事屋ならなんとかしてくれるかなって俺も思ったり・・・って違うぞ!?別にただあてもないし何も無いよりは他の手助けも必要かなみたいな・・・って何一人で言い訳みたいなことしてんだあぁもう全部トッシーのせいだ、うん。
ってかいつまでコイツら手、握りあってんだよ。いい加減に・・・・
なにも言わず俺は万事屋とトッシーを無理やり離した。すると万事屋はニヤニヤした目でこっちを見てくる。

「あれ〜?土方くん嫉妬?かーわい〜」
「ばっ!ちげぇよ!俺の顔でいつまでもそんなことされてたら気持ちが悪いんだよ!」

俺達がギャーギャー言い合っていると唖然としていたトッシーが口を開く。

「坂田氏と十四郎は付き合ってるのでござるか?」

真剣に聞いてくるトッシーに万事屋はそうだよと即答する。俺はなんだか恥ずかしくなり前を向くことができなくなった。
それを肯定ととらえたのだろう。そうでござるか。と言った言葉は少し寂しげに感じたのは気のせいだろうか。







「もしかしてトッシーは土方さんのことが好きなんじゃないですかぃ?」

突然玄関の方から聞こえた言葉。その声が聞こえた方を向くと、そこには総悟が嫌な笑みを浮かべながら立っていた。

「総悟・・・!なんでいるんだよ!」
「面白そうだったから、尾行してたんでさぁ。しかし本当に面白いことになってきましたねぃ。」

怖いぐらいに笑みを浮かべている。っていうかさっきの話聞かれたのだろうか。そ、そのつつつ、付き合ってる・・・とか・・・・
俺がヒヤヒヤしてるのに気付いたのか、大丈夫です土方さん、今来ましたから。と言う総悟。
コイツ絶対聞いてやがったな・・・何が大丈夫だ、分かるような言い方しやがって。もう恥ずかし過ぎて死にたい。
そんなことを言ったら総悟は今すぐ死ねと嬉しそうに言うんだろうなとこんなときに冷静に考える。

「僕が十四郎を・・・?」

唖然と、しかし真剣に考えているトッシー。いやいや何考えてんだコイツ。俺は総悟にもトッシーにも呆れていた。

「おいトッシー、総悟の言葉には耳を傾けるな、行くぞ。」
「じゃぁ土方さんのことをどう思ってるか自分で考えてみなせぇ。そしたら答えがでるでしょうよ。」
「十四郎のことをどう思っているか・・・・」

真剣に考えているトッシーにいつしか何も言えなくなっていた。何十秒か沈黙が流れる。総悟も万事屋もなにも言わず真剣にトッシーのことを見ている。

「僕は・・・僕は、十四郎のことが好きなんだと思う。」
「なっ・・・」
「ほらねぃ。トッシーは土方死ねのことが好きで未練が残りまた戻ってきたんですぜきっと。」
「てめぇさりげなく名前みたいに死ねって言うな。」

でもほんとはそんなツッコミより少し前のことをツッコミたい。俺のことが好き?本気で言ってるのかコイツ・・・

顔を真っ赤にしているトッシーの手を掴み、急いで屯所に戻ることにした。
総悟に言われ変な思考回路になってしまったのかもしれない。とりあえず屯所に戻ってもう一度話し合うのが一番良いだろう。
万事屋が何か言った気がしたが気にせずに屯所へ向かった―――
Continue.......

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