はじめに。

映画記念ということで紅桜編のその後をイメージしました。


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「よォ・・・」

人気のない夜の町を徘徊していると不意に後ろから声がした。
振り向かなくても誰だか分かる。
俺は後ろを振り向くことも返事をすることもなくその場にただ止まった。

「銀時にまた邪魔されちまった」

そう言って笑う。
しかしどことなく興奮しているような、嬉しそうな、そんな声調。

「へんな刀作ったりしてるからだ」
「なんだ、知ってたのか」

高杉が動き出していると聞いて山崎にとことん調べさせた。
すると人斬り似蔵という男が浮かび上がり、そいつが使っている刀は紅桜というカラクリの融合兵器で、それを使って江戸の町を破壊させようと企んでいることが分かった。

「お前は怖いんだろ」
「・・・あ?」

少し声調が変わった。きっと怒っているのだろう。
俺は振り向き今日初めて高杉の顔をみた。
やっぱり怒っている。

「前回もカラクリ師を利用して江戸を怖そうとした、今回もお前は・・・人を利用して怖そうとした。それは自分で壊すのが本当は怖いからじゃないのか?」

そう言って最後に冷笑しながら付け足す。

「俺を殺すのが怖いんだろ」


一瞬高杉は驚いた顔をしたが、声をあげて笑い出し刀を抜いたかと思うと俺の喉元へ刃を向けた。

「土方ァ・・・お前いつからそんな生意気なこと言うようになったんだァ?」

ぷち。
首から皮膚が裂けた音がした。きっと刀が俺の喉を少し刺したのだろう。液体が喉元から流れる感覚がする。


「本当のことを言ったまでだ」


刀を握る力が強くなった気がしたがそれでも動じず、高杉の目を見る。あいつも俺から視線を離さない。

「なァ・・・もし俺と土方が"真選組"と"攘夷志士"とで向かい合うことがあれば、お前は俺を殺すか?」
「当たり前だ」

俺は何の迷いもなく即答した。
すると高杉は少し寂しそうな顔をして刀を下ろす。

「・・・お前の言う通りだ。俺ァてめぇを失うのが怖ェ」

少し、びっくりした。こいつが俺のことを好きなのは知っている。
けど、こんなにも素直に話すのは珍しい。
何か、俺と誰かを重ね合わせているような・・・。
昔の仲間、万事屋や桂とやり取りして、何か心に突き付けられたものがあったのか。それは分からない。
でもこいつが素直に俺に話すのなら、俺も話そう。


「なら俺と同じだな・・・」
「土方・・・?」
「勘違いするなよ、てめぇを見つけたら即座に斬りつける」
「・・・・・・」

「だから」


人差し指を高杉の胸板に突きつける。














「俺以外の奴に斬られんな」
「・・・!・・・・・・ククククッ」

下を向き高杉は肩を揺らして笑う。


「それァこっちのセリフだ。俺以外の攘夷志士に殺されるようなへましたら地獄まで恨みに行ってやるからな」
「ありがた迷惑だ。俺は死なねぇ」
「俺だってお前と違って弱くねぇんだよ」
「ぁあ!?誰が弱いって!?」


そう言って刀に手をかけた瞬間だった。
視界が暗くなり唇に柔らかい感触を感じた。

「まぁ精々死なないように頑張るんだな」

高杉は背を向け消え去っていく。

おかしい。さっきまで俺の方が余裕かましてたのに。
いつ立場が逆になった?どうして俺は顔を赤くしちまってる?
自分の情けなさに舌打ちがでる。
けど、悪い気もしなかった。


きっとまた会える。必死にこの世に生きている限り。





END
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あとがき。

映画見て土方と高杉をどうにかして絡ませたい・・・!
と思い書いてみました。
いつか高杉と土方が向かい合う日がくると信じて・・・!!


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