はじめに。

ちょこっとホラー映画の描写がありますがかなりぬるいです。


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「十四郎〜明日同人即売会が―」
「いやだ!!」
「まだ何も言ってないじゃないかぁ〜」
「どうせ一緒に行って買えとか言うんだろ!」
「まぁそうだけど・・・」
「嫌だ!絶対嫌だ!」
「とうしろお〜」

買い物帰りなのか、満ぱんになったどこかのスーパーの袋を一袋ずつ持ちながら歩いている中校生ぐらいの二人の青年。
その顔は同じ顔。そう、双子なのだ。
一見仲が悪そうに見える二人だが、これが二人の普通の日常であり仲が悪いわけではない。むしろ一緒に買い物に出かけるぐらい仲はいい方だ。

「あれ〜?土方兄弟じゃないお久〜」

銀髪天然パーマの男が手を振りながら二人に近づいてきた。

「銀時・・・」
「久しぶり十四郎。トッシーもお久〜」
「トッシーと呼ぶな!ていうか坂田氏!十四郎に近づいたら怒るぞ!」
「・・・いや、十四郎の後ろで震えながら言われても・・・」

十四郎の後ろで震えながら銀時に牙を向いているのは双子の兄、土方トシ。
気が付けばオタクになり変な言葉遣いになってしまっている事態だ。
弟の十四郎を溺愛しており、いつもニヤニヤしている顔で十四郎を見てくる近所に住む銀時がどうやら嫌いな様子。

「ととととにかく!!用が無いのなら拙者達は失礼するぞ!」
「まぁ確かに俺たちは銀時に用は無いしな」
「何それ酷い!せっかく久しぶりに会ったのに・・・あ、そうだこれ貸してあげる」
「「?」」

十四郎に手渡したのは二本のDVD。
二人は頭にはてなを浮かべながらそのDVDを覗く。

「マダオのおっさんに貸してもらったんだけどどうやらホラー映画らしい」
「「!!!」」

ホラー映画と聞いた途端二人は体をビクンと大きく反応しみるみるうちに顔が真っ青になっていく。

「いや〜本当はホラー大好きなんだけどね、怖くないと面白くないから十四郎くん達に感想聞いて怖かったら見ようかなーなんて〜・・」
「なんで俺らが先に見なきゃいけねぇんだ!」
「そうだそうだ!僕たちは見たくないでござる!怖いもん!」
「いや、怖くはないけど!」
「怖いよ〜」

どう見ても二人は怖がっているように見えるが、それを表に出しているのはトシだけで十四郎は怖くは無いけどと顔を青くしながら言い張っている。

「あれ〜十四郎くん、本当は怖いんじゃないの〜?顔が真っ青だよ〜?」
「はぁ?何言ってやがる。本当はてめぇが怖いんだろうが」
「そそそそんな訳ないでしょ?じゃぁいいよ、怖がり十四郎くんには貸さないでおくよ」
「いや、やっぱり貸してもらう、俺ホラー好きだし」
「あ、そう?じゃぁ感想よろしく!」
「おう!じゃぁな!行くぞトシ!」
「えええ〜!?十四郎〜本当にそれ見るの〜?」

十四郎に腕を掴まれ無理矢理その場から姿を消す二人。
それをしてやったりな顔をしながら見送る銀時。

「ほんと分かりやすいというか可愛い奴ら。あの二人見ると百合にしか見えないよね〜」

そう呟きながら銀時も自分の家へと戻っていった。




***

「本当に見るのか?」
「当たり前だろ。感想言わなきゃいけねぇし」
「感想なんて適当に言ったらいいじゃん・・」
「だめだ。銀時のことだ、どこがどう面白かったとか聞くに違いない。怖いならトシは別に見なくてもいいぞ」
「怖いけど・・・十四郎が見るなら僕も見る〜」

何をするのもいつも二人だった。
そのため何かを一人でするということにトシは我慢が出来ない。
恐怖を感じながらも十四郎と一緒にいることの方がよっぽど大事なのだ。
その言葉を聞いて十四郎は少し安心していた。言葉では一人で見ると言っていたが、いざホラー映画を一人で見てしまっていたら死んでしまいたい気持ちになっていただろう。




『そこに誰かいるの・・・?』

夜中のトンネル。
そのトンネルを歩いて若い女性は何かの気配に気付き振り返るとそう口を開く。
しかし、返事は無い。

『気のせい・・・かな・・』

向き直りまた歩き始める。
しかし後ろからまたコツ・・コツ・・・と足音が聞こえてくる気がする。
女性はいやな汗をかきながら、今度は素早く後ろを振り返った。
誰もいない。やはり気のせいだったのか。ホッと息を吐き向き直った時だった。
目の前には同じくらいの年齢の女性が血だらけでこちらを見ていた。

『なんで私か死ななきゃいけなかったの・・・どうして・・・』

血だらけの女の手には刃物が握り締められていた。
そして―

『キャアアアアアアアアアア!!!!!!』



「「〜〜〜っっっ!!!」」

十四郎とトシはお互い抱き合い震えながら映画を見ていた。
恐ろしすぎてもはや声もでない状態だ。

「だだだからやめた方がよよよよかったのに・・・!」
「べべべ別に俺ここここ怖くねぇし?」
「じゃぁなんで抱きついてるでござるか?」
「いいいいや、トシが怖いかなぁと思って安心させてやろうとだな・・・」
「僕十四郎がおばけ怖いの知ってるんだから!あの時のこと忘れてないよ!」

二人がまだ小学生になりまもない頃。
遊園地に家族で行きおばけやしきに入ることになった。
その時もやはり十四郎は意地を張り、嫌がるトシを無理矢理引きずり中へと入って行った。
おばけは作り物で震えながらもトシは入る前から泣いていたが十四郎はなんとか出口まで泣かずに行けそうだった。
しかし最後の場所だけおばけの格好をした人間が脅かしにきたのだ。
もう後は出口だけだと思っていた為、その瞬間二人は同時に驚きと恐怖でお漏らしをしてしまった。もちろん泣いた。大泣きをした。
それからというもの二人はおばけが一番の恐怖になっていたという・・・

「・・・だってしょうがないじゃないか・・・銀時にホラーが苦手なんて知られたくなかったんだもん!」

もう意地になってもしょうがないと思ったのか、素直になった十四郎は目に涙を浮かべながら本音を口走った。

「じゃぁもう2枚目見るのやめない?」
「いや、見る。全部見る」

どうやら銀時には意地を張り続けていたいらしい。
それを分かったトシはため息をつきながら、またこんな怖いものを見なくてはいけないのかとガックリと肩を落とした。




「終わった・・・?」

1枚目の映画がエンドロールが流れ始める。
結局見るといいつつ二人ともお互いの胸に顔をうずくめて殆ど映画を見ていなかった。

「よ、よし!2枚目見るぞ・・・!」

まだ震えが残る体で十四郎は1枚目のDVDを取り出し2枚目のDVDを入れる。
しかし2枚目のDVDは二人が思っていたようなものとは全く違っていたものだった―


***


「あ」

家に戻った銀時は大変なことを思い出した。

「2枚目のDVDってホラー映画じゃないじゃん!」

ホラー映画のほうは可愛い女の子が出るとかなんかで貸してもらったのだが、もう一つは”これを見たらあいつらと被るから面白いかもよ”と言われて貸してもらった――


***


「なにこれ・・・」
「これってアレ・・・?」

目の前で流れている映像は双子の女の子が男に襲われ恥ずかしい行為をされているところ。
二人とも顔を真っ赤に染めていたが視線を外すこともできない。

「こ、この後に怖い話が始まるんじゃないか?」



しかし何十分と経っても聞こえてくるのは女の人の喘ぎ声のみ。
これは止めたほうがいいのか悩んだがどのタイミングで消せばいいのかも分からない。
結局最後まで見てしまい映像は真っ黒になる。
二人は顔を合わせるわけでもなく真っ黒のままになっているテレビを見つめ、気まずい雰囲気が流れる。
最初に口を開いたのはトシだった。

「これホラー映画じゃないよね・・?」

とりあえず確認するように十四郎に問う。
しかしそれは逆効果だったらしく、ホラー映画じゃないということはこれは何の映画だという事になる訳で。
十四郎は俯き、顔はみるみる赤くなっていく。

「とうしろ・・?」

俯く十四郎に心配してそっと肩を触れながら名前を呼ぶと、体がビクンと跳ねた。
その反応に不思議に思ったトシはふと下を見る。
すると十四郎の股間は少し大きくなっているように見えた。

「み、見るな!」

視線に気付いた十四郎は隠すように背を向ける。
その背中がいつも異常に愛おしく思え、ぎゅっと後ろから抱きついた。

「ぼ、僕のも元気になっちゃってるんだけど・・・」
「え・・?」

背中から触れたトシのモノは確かに大きくなっているように思えた。
その感触に十四郎はドキンと心臓が高鳴る。

「触りあいっこしよ?」
「!!」
「こっち向いて?」

これから何をしようとしているのか感づいた十四郎だったが、拒否をするよりきつくなっている自身を楽にしたいという気持ちの方が強い。
トシの囁きに素直に振り向く。

「今日だけだからな・・・」
「分かった。・・じゃぁ下脱いで?」
「・・・っ。トシも脱げよ・・」
「わ、分かってるでござる・・・」

いそいそと二人は同じように脱ぎ始める。
いざとなるとなんだか恥ずかしくなり向き合ったまま沈黙。

「ちゅうしていい?」

またも沈黙を破ったのはトシだった。
十四郎は黙って頷く。
するとトシは十四郎の方を掴み優しく引き寄せキスをする。
慣れないその行為。ぎこちなくキスをしあう。
なんどかキスをしあい離れると、透明な糸が繋ぐ。

「と、しろ・・・」

だんだんと息が荒くなっていく二人。
トシは名前を呼びながら十四郎の一物へと手を伸ばす。

「ぁ・・・」

小さく喘いでしまった自分に顔が真っ赤になる。

「声、出していいでござるよ・・・」

そう言いながらゆっくりと十四郎の一物を扱いていく。

「トシ・・おまえも・・・」

同じように十四郎もトシの一物に触れ扱きだす。

「ん・・トシ、気持ちいか?」
「う・・ん、いい・・」

二人とも手を動かし再度ちゅっちゅと音を出しながら唇に触れる。

「とうしろ・・・好き・・・」
「・・・俺も・・・」

はたしてそれはどの”好き”なのか。
それは二人にも分からなかったが、ただ今は相手を気持ちよくさせたいという気持ちが同調していた。
絶頂が近くなり扱いている手も自然と早くなる。

「トシ・・もうでちゃう・・・」
「僕も・・・んぁっ」

同時に果てた二人。
支えあうように二人で寄り添い荒れた息を整える。

「はぁ・・はぁ・・気持ち良かった、ね・・・?」
「・・・まぁ・・そう・・・だな・・・」
「・・・手、とか、汚れちゃったね・・」

手を眺めながら言うトシ。その手についている精液が自分のものだと思うと、先ほどまでの恥ずかしい行為が蘇り十四郎は顔を火照らせる。

「は、早く洗えばいいだろ!」

恥ずかしさを紛らわすために大きな声が出てしまう。

「じゃ、一緒にお風呂に入ろうではないか!」
「はぁ〜?・・・しょうがねぇな」

中学生になっても未だに仲良くお風呂に入っている二人。
「今日だけ」なんて十四郎は言っていたが、隙をついてまたしたいな。今回だけは坂田氏に感謝しなくては。と思ったトシなのであった・・・。




END

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あとがき。

柚麻さまのリクエストで双子設定のトシ土。
双子設定萌える・・・!!
これシリーズ化したい(笑)
需要あるかな?;
なんかぬる〜い感じで終わってしまい申し訳ありません;;
そして台詞小説になってしまった気がする・・・;
柚麻さまのみお持ち帰りOKです!
リクエスト有難う御座いました!!
最後にちょっとおまけ

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