「ねー、今からデートしよっ」
「やだ」
「いいじゃーん!私、晋助と一緒にいたいな」

放課後の教室。まだ生徒も沢山残っている中で、とある二人の男女の会話が聞こえてきた。
土方はその会話に耳をすませ、少し離れた自分の席から聞いていた。
その会話をもっとちゃんと聞きたくて、おもわず男女の方を向いてしまう。
すると高杉と呼ばれた男と目が合った。慌てて視線を逸らす。

「・・・分かった」
「ほんと!?じゃぁ行こぉ!」

先ほどまで嫌がった素振りを見せていたのにも関わらず、女の子の頼みを承諾し、腕を組まれたまま教室から出って行った。
教室から出る瞬間、高杉は土方の方を見、笑ったように思えた。

「なんでぃ、高杉はモテますねぇ。これで何人目?」

ぶつぶつと言いながら土方の隣りの席に座る。

「そう・・だな」

力の無い声で答えた土方に疑問を覚えつつも、さらに話しかける。

「高杉の過去を知ってる奴っていませんよねぇ。土方さんは知ってます?」
「・・・知るわけねぇだろ・・・」
「ですよねぇ、やっぱり高杉って謎だ・・・」

「沖田くーん、ちょっと手伝ってー」

廊下から白衣を来た先生らしき人が、大量のプリントを抱えながら沖田に呼びかける。

「嫌です、今急がしんで」
「あ、俺行きますよ」

土方が椅子から立ち上がろうとした瞬間、沖田がそれを制した。

「土方さんが行くなら俺が行きまさぁ。銀八と二人にすると銀八がなにするか分からねぇ」
「ちょっとー、沖田くん酷くない?まぁ否定はしないけどね」

そう言って笑う銀八に土方ははぁとため息をついた。
二人が出て行った後、土方の携帯のバイブが鳴る。
どうやらメールが来たようで、その内容を読み終えると、すぐさま教室から出て行った。


***

「高杉と一緒の中学だった奴っているんですか?」

銀八が持っていた大量のプリントの約半分を持ちながら職員室に向かう途中、沖田は質問する。

「あれ?知らないの?一人だけいるよ」
「まじでか。知らなかった。誰?」
「それはね―」

言い掛けた途中、沖田の携帯がバイブする。

「学校内は携帯禁止ですよー」
「学校内で煙草吸ってる奴が言うな」

そう言いながら悪気もなくポッケから携帯を取り出し、中を見る。

「あれ?土方さんからだ」
「なんて?」
「『ちょっと用事ができたから先に帰る』だそうです」
「ふーん」

その言葉に何かを理解したのか、銀八は意味の有り気な笑みを浮かべた。

「で、高杉と同じ中学って奴は?」

携帯をポッケに入れた沖田はもう一度聞く。

「あぁ、えっとね―」

***


「よぉ。遅かったじゃねぇか、待ってたぜ」
「しんすけ・・・」

自分の家に帰り部屋に入ると、当たり前のように高杉はいた。
その光景を見ても土方はたいして驚きもせず、ため息をつきながら机に通学鞄を置く。

「女と一緒じゃなかったのかよ」
「ああ?女?知らねぇな」

そう言ってククッと笑う高杉を見ながら土方は「最低」と呟いた。

「お前が俺のこと見てたから女と出てったらどんな反応するかと思ってよォ・・・」
「ばっ・・・!見てねぇし!ていうか本当に最低だな!!」

「見てた」と言われ気付かれていたことに赤面しながら土方は大きな声で叫び否定をした。
ぷんぷんと怒りながらドスンと勢いよくベットに座ると、ひっつくように高杉も隣りに座った。
肩と肩が触れ合い、ビクンと反応した土方を愛おしく思いながら、土方の顎を自分に引き付け、口付けを交わす。

「ん・・・」

土方はその行為に嫌がろうともせず、受け止める。どうやらこれは二人にとって日常茶飯事に行われている行為のようだ。

深い口付けを交わしながら、ゆっくりと土方を倒していく。
制服のシャツのボタンを外し、露になった白い肌。
しかし、そこには赤い”しるし”が鎖骨から首元に点々とついており、白い肌はそのしるしを大きく際立たせていた。
そのしるしを満足そうに指でなぞりながら、高杉は土方の突起に吸い付いた。

「あ、やっ・・・!」
「お前、ほんとここ好きだな、小さい頃からずっと」
「うるさい・・・」

小さな時から。そう、高杉と土方は幼い頃からずっと一緒だった。いわば幼馴染。
家族付き合いも多かった二人は勝手に家に入っても何も言われない。
昔は泣き虫だった高杉。いつも土方が面倒を見るような状態だった。
しかし小学生の後半ごろからいつの間にか立場が逆転・・というより今ではやんちゃな高杉に振り回されている土方。という状態だ。
中学生の時にいきなり「セックスしよう」と言われ唖然とした土方だったが、流れと勢いによって男同士のセックスをしてしまう。
きっとそういう年頃なのだと思いその場は終わったかに思えた。しかし現状は今もダラダラと続いている。
実は、小学生のころから少し高杉に特別な感情を抱いていた為、行為自体、緊張はするが嫌では無かった。
けれど高杉はどう思っているのか分からない。別に高杉とは付き合っている訳でもない。
つまりはセフレ。そう思うと毎回辛い気持ちになるのも事実。

それでも土方は高杉のことが好きだった。だからこそもっと上の高校に行けたのにも関わらず、高杉の行くと言ったどこの高校かも分からない遠い銀魂高校というところに一緒に進学したのだ。
しかし高校に上がった途端、高杉は一切土方と話さなくなる。勿論学校から出ると土方の家に勝手に上がり込んだりして話はするのだが、その時高杉に「俺に話しかけるな。幼馴染なのも隠せ」と言われている。
どうしてこんなことを言うのか分からなかったが、怒らせて嫌われるのも嫌だったので従うしかなかった。

「おい、何考え事してんだ?」
「え?うわっ!」

いつの間にか下も脱がされていた土方は高杉の手によって両脚をくの字に曲げ顔までもっていかれ、赤ん坊のオムツを替えてあげているときのような格好にさせられてしまう。

「早く欲しいってよ」
「やめっ・・恥ずかしいって・・んあ!!」

どこから出してきたのかローションを指にたっぷりと付け、ぬぷっという音と共に土方の蕾へ中指と人差し指を入れる。
それだけで内壁はきゅうきゅうと指を締め付けた。

「そんなに俺の指が好きかよ」
「ちがっ・・・」
「何が違うんだ?あ?」

そう言って二本の指を起用に動かし中を犯していく。
何度もやってきたその行為はどこがイイ所かを完璧に把握しており、そのイイ所ばかりを攻める。

「はっあっあっそこ、やぁぁ・・」
「ったくお前は素直じゃねぇなあ!」

指を勢いよく引き抜くと、自分の一物を取り出し、乱暴に土方の中へ入れた。

「ああああ!!!」
「素直じゃないのと他のこと考えてた罰。・・・俺だけを考えてろよ」

考えていたのは高杉のことだったのに。そう言いたかったが、恥ずかしかったのと、もう今言っても遅いということ。
乱暴に抜き差しされた土方は、上手く言葉を発することも出来なかった。

「あ、あ、ごめんなさ・・い」

やっと出てきた言葉は何故か謝罪の言葉。
しかしその言葉に気をよくしたのか、ただ乱暴に腰を振っていた高杉だったが、今度は土方の気持ちいい所を重点的に攻めていく。

「やぁあ!!!も、イ・・くっ・・・!」
「あーもーお前の声最高・・っ」

二人はほぼ同時に果てた。
はぁはぁと息を乱しながら高杉は土方に乗りかかる。

「ちょ、重い・・・てか早く抜けよ・・・」
「うるせぇ。余韻に浸ってるんだろうが」
「ばっ・・!早く抜けってばか!」
「ばかばかうるせぇなあ!ったくどければ良いんだろどければ」

ブツブツと言いながら自分の一物を抜き取り後処理を始める。
土方は複雑な思いでそれを見ていた。
俺だけを考えろとか、余韻に浸ってるとか。そういう風に言われると割り切っている思いがどうしても崩れてしまう。
でも高校に入って話さなくなったり、幼馴染なのも隠せと言われたり、嫌われているとしか思えない。でも何故・・・

「どうして・・・?」
「あん?」

ずっと分からなかった疑問。いつの間にか口に出る。

「どうしてこんなことするんだよ」
「は?」
「なんで俺に、こんなこと・・・」
「は?え?・・ちょ、なんで泣いてる!?!?」

勝手に出てくる涙を止められるわけもなく。
おおきな涙をぽろぽろと流しながら高杉に問いかける。
当の高杉は意味が分からないというように、泣いている土方を見ながら慌てている。

「どうしてって・・好きだからに決まってんだろ?」
「へ?」

意外な言葉に驚き高杉の顔を見るが、高杉はさも当然のような顔をして言っている。

「え、なに、十四郎は俺のことが嫌いなわけ!?」

逆に泣きそうになりながら土方の肩をガッと掴み必死に問う。

「だって・・みんなに俺と晋助が幼馴染なの隠せとか、それに俺の家か晋助の家じゃないと話もしてくれないし・・・」
「だから俺のことが嫌いになったのか!?」
「いや、そうじゃなくて、お前が俺のこと嫌いなのかと・・・」
「なんで嫌いな奴にセックスしなきゃなんねぇんだよ!!俺らって付き合ってるんじゃねぇの!?」
「・・・・・・・・・・・・え?」

これはどう反応したら良いものなのか。付き合ってるとはどういう意味なのかすら分からなくなってきた。

「俺らって付き合ってるの?」
「は?俺らって付き合ってねぇの?」

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」


『えええええええええ!?!?!?!?!?!?』


土方は付き合っていると言われたことに、高杉は付き合っていないと言われたことにかなりの衝撃を受け同じように絶叫した。

「じゃ、じゃぁなんで「話すな」って言ったんだよ!」
「俺変な女によく好かれるからさ、幼馴染なの知られたらお前を利用してくる奴とか出てくるんじゃねぇかと思って心配だったんだよ、お前優しすぎるから」
「な、な、な、」

心配だったと言われ顔が急に熱くなる。それを察した高杉は土方の顔を見て笑うと、ちゅっと頬にキスをした。

「〜〜!?!?」

いきなりのことに驚き更に顔を赤くして高杉の方を見る。

「ククッ、お前ほんとちっこいときからウブだよな」
「うううううるさい!!」
「・・・・なぁ十四郎、俺のこと、好きか?」
「!!」

急に声のトーンを落とし、真剣な顔をして土方に向ける。
土方は素直に頷いた。

「・・うん。昔から、好きだった、大好きだった」

これは告白というものなのだろうか。そう思うと高杉の顔を直視できずにいる土方。
それをみた高杉は微笑み、今度は土方の唇に口付けを交わす。

「俺も、大好き。中学んときの”あの日”よりもずっと前から大好きだったんだぜ・・・?」


***

「最近トシと高杉凄く仲良くなってない?」
「っていうか幼馴染らしいですぜぃ、あの二人」
「うそお!?!?全然聞いてないよ!?」

ゴリラの顔した生徒が沖田の衝撃的事実に大げさと言っていいほどに驚いている。

あの後二人はもう誤解がないようにと、幼馴染であることを隠すのをやめた。
急に仲良くなったように見えた他の生徒達は驚きを隠せないでいたが、幼馴染だったという噂が流れ始め、今では驚く生徒もいなくなった。

「おはよー総悟、近藤さん」
「おはよートシ!」
「おはようございます土方死ねコノヤロー」
「てめぇ・・・」
「はっはっはっ!」

近藤、土方、沖田は席が近く部活も同じなので一緒にいることが多い。
そんな三人を高杉は睨みつけるように遠くから見ていた。
その視線に気付いた土方が高杉の方を向き、ニヤっと笑みを浮かべた。今度は俺の番だというように。
しかし、その視線が家に帰ると大変なお仕置きをくらうことになるのだが、それはまた別のお話し―。







END
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あとがき。

愛羅さまのリクエストで高土幼馴染パロでした。
もやもやと考える土方とアホなたかすg・・ゴホッゴホッすみません(笑)
小さいころ高杉はきっと可愛い子だったと思います。
なんでこんなアホ・・・ゴホッゴホッ
愛羅さまのみお持ち帰りOKです!
リクエストありがとう御座いました!!!!



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