「副長おおおお!!!今日何の日でしょう!」
「は?」

屯所全体に聞こえるぐらい大きな声で土方に問う。

「今日・・・・あ」
「思い出しましたか!?」
「思い出した!今日はマヨネーズの特売日じゃねぇか!」
「・・・へ?」
「おい山崎!今から買って来い!今すぐに!じゃねぇと切腹だ!」
「えええええ!!!!」

既に刀を手にかけてるのを見て「分かりましたー!」と急いで大江戸ストアへと走っていった。




「あれ?」

大江戸スーパーへとたどり着いた山崎だったが、マヨネーズの場所へと行くと値段はいつもと変わっていなかった。

「副長、日にち間違えたのかな?珍しい・・・・」

とりあえずどうせマヨネーズは必要だろうと、表に出ていた分を全て買う。
屯所へと戻る道、山崎は大きなため息をついた。

(今日は俺の誕生日なのに・・・)

本日2月6日。それは山崎の誕生の日。
この世で一番愛しいあの人に「おめでとう」と一言でも言って欲しかった。
やはり地味の中の地味。誕生日なんて覚えられていないのだろうか。
局長にさえ会ってもなにも言われなかったのだ。
地味なことに誇りをもっていた山崎だったが、今日はこの地味な自分を恨んでしまう。


「山崎ただいま戻りましたー」
「なんでぃ山崎サボりですかぃ?」
「・・・沖田隊長には言われたくないです。それより副長みかけませんでしたか?」
「あぁあのバカでしたら大広間にいますぜぃ」

バカ・・・あの人にそんなこと言えるのは沖田さんだけだろう。
しかし少し羨ましいなと思いつつ礼を良い大広間へと向かう。

「礼を言うならあのバカに言ってやってくだせぇ」
「へ?」

なんのことだろう。
よく意味が分からないまま大広間への入り口の襖を開けた。




パーンッ  パーンッ


「わぁあああ!?!?」


破裂音に驚いた山崎はその場でしりもちをついた。
一体何が起こったのだ。
混乱したままゆっくり立ち上がると、先ほどの破裂音はクラッカーだったことが分かった。


「「「誕生日おめでとう!!!」」」

「え・・・・」

真選組のみんながならんで山崎の方をみている。
土方も後ろの方でタバコを吸い、腕組をしながらこちらを見ていた。
その表情はいつもとは違うにこやかなものだった。

「みんな・・・・」

感激のあまり言葉が出ない。このまま喋ってしまったら泣いてしまいそうだ。
机にはケーキが置いてあり、壁には「山崎お誕生日おめでとう」という文字が貼ってある。
飾りつけも沢山してあり感無量だ。

「トシが発案してくれたんだ」
「え、副長が?」
「内緒にしてびっくりさせようって。だからさっきおつかいに行かせたのさ」

マヨネーズが安売りではなかったのはこのため。
土方の咄嗟に思いついた嘘。
しかし近藤の言葉に耳を疑った山崎は土方の方を向く。目があった。
すると土方はバッと顔を赤くし顔を勢い良く逸す。

「こんなに盛大にやれとは言ってない!」

顔を真っ赤にしながら言う土方に自然に笑顔になった。

(沖田隊長が言ってたのはこのことだったんだ)

先ほど言われたことを理解する。

「副長・・・・」


(もう、我慢ができない)


「副長おおおおお!!!!!!」
「おいいい!!飛びつくな!!!」


(俺はあなたが大好きです)


「副長おお!大好きです!」
「気持ち悪いこと言うなあああ!!!斬られてぇのか!!」


(この気持ちは絶対に変わらない)


「ったく・・・まぁ・・・山崎にはいつも感謝してるからな・・・」
「え・・・・?」




(素敵な誕生日を ありがとう)








END
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ザキぃ!誕生日おめでとう!大好きです!!



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